855 コーヒー等の食品販売状況
1年11月5日
「結婚式の準備は大丈夫?話し合った方が良いかな?」
「光一さん、まずはナビィから報告するわね。港浜国際総合競技場関連工事は順調に進んでいて、今日の昼頃には完了する予定よ」
「おー!それは良かった!」
「工事が完了次第、結婚式会場の準備等をする予定になっているわ。今日の夕方には問題無く終わる予定ね」
「それは助かるよ」
「ナビィからは以上。後はイブさんお願い」
「了解よ。ナビィさん、後は任せて……まず、軍事作戦は問題無く完了したわ。犠牲者どころか負傷者はゼロ!結婚式や披露宴で使う動画も制作済み。ウエディングドレス等、結婚式や披露宴で必要な準備も完了。何の問題もないわ」
「えっ?軍事作戦の件は良かったし、動画もありがとうなんだけど……カラードレスの色も決まっているの?」
「決まっているわ。ブルー系とピンク系で丁度半々ね」
「そ、そうなの?ウィンドウちゃんとアクアオーラちゃんは?」
「ウィンドウがピンク系でアクアオーラがブルー系ね。話し合う事は何もないわ」
「お、おう。そうなんだ。そ、それじゃ結婚式以外の報告をお願い」
「結婚式について話し合う事はないけど、報告はあるわ。まず、11月9日の20時頃に地球に向かってもらえるかしら?結婚式は11月11日だけど、11日10日はゆっくりと休んでもらおうという考えよ。地球からのお客様は箱根温泉のVIP用ホテルに泊まってもらおうと思っているわ」
あっ……結婚式の報告はしてくれるんだ。まぁそりゃそうか。
「箱根温泉のVIP用ホテルは今、画面に場所等を表示するわね……光一さん、この情報で行けそうかしら?」
「うん、地図とホテルの写真があれば行けると思う」
「良かったわ。地球での1週間だけど、原則、午前中は全ての妻と温泉に入る事。午後は1日6人の1人あたり2時間、順番に光一さんは妻と2人きりの時間を過ごすように。例外は災害等の非常事態発生時、それから、ぼたんさんが仕事の日はぼたんさんを除いたメンバーで、温泉に入るようにしてね」
「もちろん、良いけど……どうして?」
「結婚式の前日からしばらく、光一さんの妻のハロメンには親御さんと一緒の時間を楽しんでもらいたいからよ。その為に光一さんの愛情の補給をするという事よ。あっ、光一さんは親御さんと一緒に過ごさなくても大丈夫よ」
「ところで、ブリタニアの案の時も思ったけど……どうして『携帯プライベートビーチと温泉へのドア』を使わないの?」
「光一、それは私達なりの優しさよ?1日12時間以上は光一の体力が持たないでしょ?それに、あなたもさっき使わない案を言っていたじゃないの」
「配慮はありがたいけど……時間が決まっていると、時間が気になってゆっくりお話とか出来ないかなぁって思うんだよね。僕が使わない案を言ったのは、何か理由があるのかなと思ったからだよ。それじゃ1日6人で時間制限無しという事にしよう。僕の案もそれに変更!」
「私達はその方が嬉しいけど……大丈夫?倒れない?」
「ブリタニア、大丈夫だよ。倒れそうになったら『携帯プライベートビーチと温泉へのドア』で寝るから」
「そう?それじゃ無理はしないでね?」
「うん、心配ありがとう。それで……結婚式等の流れの説明は?」
「はいはーい!光一さん、それについてはメイドちゃんと、まつり達から自分の親に説明するから問題ないよ」
「そうなの?僕と僕の両親と弟には?」
「それは結婚式の前日に私から説明するわ」
「えっ?イブ、前日まで僕にも教えてくれないの?」
「……分かったわ。この会議が終わったら教えるわね」
「それじゃ、後でよろしくね。結婚式等については良いや。他の報告をお願い」
「了解よ。まず、11月1日からSNSの免許制度を開始したわ。それから11月2日には様々なサービスの利用料等により、国に大金が入って来たわね」
「人工知能等、新サービスを色々と始めたし……黒字かな?」
「黒字よ。というか黒字かどうかを気にする必要がない程、かなり稼いでいるわ」
「そっか。それなら良かったよ」
「稼いだと言えば……ふふっ、光一さん、神力がどれだけ増えたか見てみたら?」
「いやいや、イブ?そんな頻繁に見ても……あまり増えていないでしょ?」
「良いから見てみなさいよ」
「そこまで言うなら見るけど……はぃい!?約180万の神力が、約1.2億に増えている!?」
「そう。業務用プライベートエリアで生産した商品を、大量に寄付して地上の市場で売ったからね。特に神力の増加に貢献しているのは、業務用コーヒー豆250グラム400円ね。コーヒーは一般消費者向け商品として……Sランクコーヒー180グラムで400円、オリジナルブレンドコーヒー400グラムで440円で販売しているわ。一般消費者向けの商品は中挽きの粉ね。業務用とは異なるブレンドよ」
「そんなに売れているの?」
「そりゃもう、かなり売れているわよ。その為に宣伝を頑張ったんだから」
「業務用コーヒー豆は店にコーヒーマシンを置いて使うのかな?」
「その通りよ。カップの大きさはホットは3種類。小、中、大ね。小が100円、中が150円、大が180円。アイスは2種類。小が100円、中が180円。この価格設定をオススメしているわ。使い方は簡単よ。お客様はまず、カップを購入してコーヒーマシンにカップを入れる。そうするとコーヒーマシンのセンサーがカップのサイズ、ホットかアイスかを自動的に判別するわ。タッチパネルを搭載していて、後は画面の指示通り、お客様は画面に表示された開始ボタンを押すだけ。そして、コーヒーが完成するのを待つだけ。とっても簡単でしょ?」
「誤操作がない親切設計だね。でも何でアイスコーヒーも3種類ではなく2種類なの?水はどうするの?」
「そうでしょ?……アイスコーヒーが2種類なのは主に場所の問題よ。冷凍ショーケースに入る量は限られているからね。在庫管理の観点から、種類が少ない方が我々カップを生産する側、店側の両方にとって良いと判断したわ。いくらアイテムボックスがあるとは言え、氷の入ったカップの生産量の調整や、冷凍ショーケースにカップを補充する手間があるわ。場所を取るから輸送の効率も悪い」
「あー、そういう事」
「そう。それにカップだけでなく蓋も補充しないといけないからね。ホット3種類、アイス2種類の合計5種類が丁度良いと思うわ。店の利益を考えた時にコーヒーは……特にアイスコーヒーは微妙なのよ。氷の分、カップのコストが高いから。コーヒーフレッシュ50個で350円、ガムシロップも同じ。スティックシュガーは50個で100円。この差もあるわね」
「つまり、100円台ではコーヒー単体での店の利益は微妙だけど、値段を上げると今度はお得感が無くなると……ついで買いも狙いとしてあるからね。だからカフェラテ等の他のメニューはないのかな?あまりコーヒーに力を入れても効果が薄いから」
「それもあるわね。だけど、カフェラテに関しては衛生的な事も考えて止めたわ。コーヒーマシンも出来るだけ単純な構造にしたかったし。だからカフェラテ等は工場で大量生産して、商品として冷蔵ショーケースに陳列する事にしたの。他にも様々な乳製品や清涼飲料水を生産して販売しているわ。アイスコーヒーのカップの種類が少ない分、冷凍ショーケースにアイスや冷凍食品を入れる事が出来る。それらの商品の方が店の利益になるのよ」
「なるほど」
「それで、コーヒーマシンの水についてね。これは水道直結にしたの。タンク式だと手間だし、水道水の方が常に新鮮で美味しい水だから。ただし、ただの水道水ではなく、フィルターを通してコーヒーに合わせた水にしているけど」
「それは工事が大変そうだね」
「その通り。エテルノでも出来なくはないけど、時間がかかるし大変な工事。だけど、天使なら簡単に出来ちゃうから、天使にお願いをしているというわけね」
「これは食品冷却サービスだったよね」
「そう。食品冷却サービスで冷凍ショーケースと、コーヒーマシンの設置から運用管理まで行う。コーヒー豆の補充は店側にお願いするけど、清掃やその他のメンテナンスはブルーローズテクノロジー社が行うわ」
「でもお高いんでしょ?」
「それが何と!?店側に定休日が週に2日あるとしても、1日たったの495円で冷凍ショーケースと、コーヒーマシンを導入出来るの!月々9,900円と聞くと高いと思うかもしれないけど、1日たったの495円で良いのだから激安よ。簡単に元が取れると思うわ。工事費は無料だし。ただし、契約期間は最低2年。2年過ぎたら無料でいつでも解約可能」
「やっす!清掃やその他メンテナンスって1日、1回以上でしょ?いくらエテルノとは言え安いね」
「まぁ魔法があるから大した手間でもないからね。逆に店側で下手に機械をいじられて壊されたり、コーヒーの品質が落ちたりする方が面倒。機械を理解しているエテルノだからこそ、簡単にメンテナンスが出来るのよ。店側に手順書を渡しても良いんだけど、覚えるのって大変でしょ?覚えたとしてもメンテナンスをする手間がある。それなら我々がサービスの一環として対応しますよと。そして普及させる事が目的だから、1日495円という価格設定なの」
「店が小さいから冷凍ショーケースは置けない……等の理由でホットコーヒーだけ売りたいというお店もあったりするの?」
「あるわね。その場合は月々3,300円。店側に定休日が週に2日あるとしても、1日たったの165円。定休日無しなら110円ね。この価格設定なのは、食品冷却設備に比べたらコーヒーマシンは単純なつくりでメンテナンスが楽だからよ。まぁだけど基本的には冷凍ショーケースとセットで契約する店が多いわね。既にかなりの店と契約しているけど、まだ増加傾向にあるわ」
「おー!凄い……でも何で神力がこんなに増えたの?」
「その要因の1つは業務用コーヒー豆の売り方にあるわ。5袋買うと1袋、10袋買うと2袋、15袋買うと3袋……という風にまとめて買えば買う程おまけするの。例えば10袋買った場合は、5袋のおまけ1袋と10袋のおまけ2袋の合計3袋、おまけする」
「という事はおまけの数は5個毎に1,3,6,10,15……と増えていくんだね?えーっと。『x=1/2n(n+1)』だったかな?『x』がおまけの数で、『n』が5の何倍かだね。数学は嫌いだけどプログラミングの勉強で少しやったから、うっすらと覚えているよ」
「そう。それで市場で殆どの人が、まとめて50袋以上を買うの。キリが良い数字だし、50袋を買うとおまけが55袋と購入した数とおまけが逆転するから。そして2万円の代金を払う。約26キログラムね。カップで言うと小なら約2,100杯分。大なら約1,000杯分よ。2万円の代金は2万の神力になるという訳よ……ちなみに豆1,000グラムあたり、小なら80杯分、中なら50杯分、大なら40杯分ね。オススメの価格設定ならカップのサイズが大きければ大きい程、儲かるはずよ」
「それって大きな店であればある程、有利じゃない?スーパーマーケットとか。というかそんなにまとめ買いされたら、しばらく売れないんじゃ?」
「いえ、どの店も同じ価格設定よ。我々から強制した訳でもないけど、オススメした価格設定にしているわね。というか出来ないのだと思うわ。まとめ買いをしてコーヒー豆の原価を下げても、コーヒー1杯の価格が安いからね。1杯あたりの利益はあまり変わらないのよ。それにお釣りが出やすい価格設定にはしたくないだろうし」
「なるほど?」
「次にスーパーマーケットだけど、コーヒーマシンは導入していないわ。何故なら導入するメリットがあまりないからね。既に品揃えの良さで儲けているでしょ?それにコーヒー自体はあまり儲からないし、コーヒー目的にスーパーマーケットに来るお客様もあまりいないだろうから」
「まぁそれもそうか」
「それに1店舗あたり1日平均で約130杯売れているから大丈夫よ。扱っている店舗が多いから、飲みたい時に気軽に手に入り、本格的な味が楽しめてリフレッシュが出来るという事で売れているの。まぁ今まで無かったから物珍しさから買う人もいると思うけど、気に入ってもらえて定着すると良いわね」
「他に特に売れているものってあるの?」
「さっき話に出たコーヒフレッシュ、ガムシロップ、スティックシュガーは店頭で一般消費者にも販売していて売れているわね。それから、デカフェティーバッグ20袋300円も売れているわ。さっき、コーヒの粉の一般消費者向け商品を言ったけど、それもまぁ売れてはいる。だけど、どちらかと言うとデカフェティーバッグの方が売れているわね。日中は少し歩けば本格的なコーヒが簡単に買えて飲めるし、夜はデカフェの紅茶でリラックスという生活ね」
「そういう感じの宣伝をしたのかな?」
「その通りよ。後、売れているのはカレールー6皿分200円とレトルトカレー1皿分200円。それから冷凍食品にアイスやスイーツという感じかな?お酒について生命神さんに聞いてみたら、ドワーフを含め18歳未満は止めてほしいという事だったから、世界各国で法整備をしてから販売したわ。だからお酒も売れているし、その他のドリンクも売れているわね」
「カレールーという事は八百屋さんも儲かってそうだね」
「そうね、儲かっているわ。今、世界各国は好景気よ。儲かっていない店は何かしら問題を抱えていると言えるわね……という事で、光一さんの神力もかなり儲かったのよ」
「はいはーい!まつりからしつもーん!光一さん、その神力はどうするの?」
「創造神様に1.2億渡そうかなと思っているよ。ただ、業務用プライベートエリアからの寄付について1つ気になるんだよね。やり過ぎると逆に処分の対象となるみたいだけど大丈夫かなって心配」
「光一は相変わらず心配性ね。そんなんだとハゲるわよ」
「紗也華~!心配性なのは認めるけどハゲないって!まったく……また髪の話してる」
「……お待たせしました!その疑問は私がお答えします!」
「おっ?魔法神のエルザちゃん、わざわざ来てくれたんだ。ありがとう」
「いえいえ、それでお答えしますと心配要りません。大丈夫です。システムから『やりすぎでは?処分すべきでは?』と申告がありましたが、情報通信技術神と私、システム監査神の方で却下しておきました!」
「あっ、やっぱり?却下してくれてありがとう」
「いえ、当然の事をしたまでです。地上は混乱しているどころか好景気。これは好ましい事だと思います。そして、光一様は地上の開拓の努力を放棄した訳ではありません。地上の開拓に時間がかかるのは仕方のない事です。開拓が完了するまでの間、寄付という仕組みを使い、世界の為に貢献する。素晴らしい事であり、何ら問題ないと判断しました。誰も損をしていませんからね」
僕は何もしていないんだけどね……。
「今後もよっぽどの事が無ければ却下してきますのでご安心ください」
「うん、ありがとう。今後ともよろしくね」
「はい!……あっ!そうでした。光一様のお蔭で人々に私の事を知ってもらい、評価される様になりました!本当にありがとうございます!嬉しいです!これで私も創造神に恩返しが出来ます。私の代わりにサーバーを増強していただきましたからね」
「おぉ!そっか。それは良かったよ。お役に立てて光栄だよ」
「はい、良かったです。それでは私はこれで失礼致しますね」
「改めてわざわざ来てくれてありがとう」
「はーい!また、遊びに来ますね。失礼致します!」
そう言うとエルザちゃんは去って行った。
「光一、処分されなくて良かったわね。危うくハゲるところだったわよ」
「だ~か~ら~!紗也華はどうしてハゲ、ハゲ言うの?そんなに僕がハゲるところを見たいの?」
「う~ん……それは嫌だなぁ。だって、光一は悩んでばかりいてハゲそうなんだもん。やっぱり若返る前はハゲていたでしょ?」
「失礼だなぁ。皆も笑いを堪えているけど、笑うところじゃないからね!ハゲないし、若返る前もハゲて無かったよ!」
「まぁ、そういう事にしておこうか。それで光一、創造神様に神力を譲渡するんでしょ?」
「納得いかないけどまぁ良いや。そうだね、済ませてしまおう。そしたら……よしこれでオッケー!うわっ!相変わらず身体がダルくなりますなぁ。数百万の神力は残しておいたのにこれか」
「光一、大丈夫?」
「うん、ブリタニア。大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
「大丈夫なら良かったわ」
「世界各国の王族へのプレゼントはどう?」
「あぁ、それならとても喜んでもらえたわ。特にドワーフの国のデルバート国王は大量のお酒に大興奮よ」
「そっか。それなら良かった。イブ、他に報告はあるかな?」
「大阪府とエクセポートシティは、今日の昼頃にオープンする事になっているわね。これも宣伝を頑張ったのよ?」
「いつの間にだね~。問題は無さそうかな?」
「既に多数の移住希望者がいて、町は完成しているから問題ないわ。この移住希望者により既存の町が機能不全に陥る事もないし、新しい町の方も機能に問題無し。新しい町は非常に効率的な町になっているわ。とは言え土地に余裕はあるから、建物と建物が殆どくっついているとか、そんな事はしていないわね。緑豊かで住みやすい町だと思うわ」
「良いね~!問題ないなら良かった。色々と対応ありがとう!」
「お役に立てて嬉しいわ。報告は以上ね」
「それじゃ会議は終了!イブ、結婚式関連について教えて」
「分かったわ」
その後、僕はイブから結婚式の流れ等を教えてもらった。
それが終わると、時間が余ったから僕達は温泉に入った。もちろん、イブとのぞみ以外でね。
そして、昼になると昼食を摂った。
いやぁ幸せな時間を過ごせた。午後も忙しいけど楽しみだなぁ。





