768 法務神そしてぼたんと会話
地球:202X年8月10日
火星:1年2月30日
「光一さん、おかえりなさい」
「イブ、ただいま」
「ここが火星神様の住居用プライベートエリアですか。チョット失礼して。おー!眺めも良いですね!」
「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ」
「ところでここはどなたかに閲覧権限を与えていますか?」
「うん。異世界の創造神様と異世界の生命神さんに与えているね」
「まぁ、それなら大丈夫かな?あまり大きな声で言える事ではないので確認させてもらいました」
「うん?何かな?」
「はい。火星神様は地上で活動されるので色々な事があると思います。ですので改めて処刑の基準をご説明して安心していただきたいと思ったんです」
「おー!それは助かるよ!」
「まず、処刑対象は先程も言いましたがジェノサイドと、事故では無くわざと民間人に犠牲者を出す事だけだと思ってください。もちろん後者は襲って来たとか、その民間人が誰かを襲おうとしているとかは例外です。そういう方々は『何の罪もない人』ではありませんから。……地上の法的にも罪のない人を殺さなければ良いんです。それから軍事活動による致し方ない犠牲も大丈夫です」
「うん。分かりやすくて助かる」
「先程のは異世界でも同じだと思います。火星でも同じです。火星の法務神とも認識合わせをしました。ここからは大きな声で言えない内容です。火星神様の場合は処刑されても蘇生します」
「どうして?異世界でも僕は処刑されても蘇生されるんだけど、それは力が無く新たに神をつくれないからと聞いているよ。貴重な人材だからと。だけど、この世界ではその問題はないよね?」
「はい。ですが火星神様はこの世界でも貴重な人材なんです。地球と火星の神々からも人気がありますし」
「そうなの?またどうして?」
「それは異世界と同じだと思います。火星神様は人から自力で神になりしかも数々の実績があります。役職も複数ある上級神です。それもこの世界と異世界の両方でです。特別に地上での活動が認められているのも大きいですね。そういう事なので貴重な人材なのです。異世界の神様でもあるので、地球の事情で勝手に処刑出来ないというのもありますね」
「なるほど」
「人気がある理由は性格面が一番大きいですが、次に先程申し上げた貴重な人材だという事もあります。更に先日の事件対応。世界管理システムの調査と対応でも好感度アップです!実は地球の神と火星の神は仲が良くてですね。当然、事件対応についても情報共有しました。ですので火星の神からも好感度アップです!火星神様は神々から大人気なんです!」
「お、おう。嬉しいけど少し恥ずかしいなぁ」
「そういう事で処刑されても蘇生します。ただ、かなり痛いので気をつけていただきたいです。あーそれから先日の犯人と異なり、火星神様の場合は有利に法解釈します。私は火星神様の性格が変わらなければ大丈夫だと安心していますよ。もうないとは思いますが、先日の犯人の様にブチ切れて過失で神を瀕死にしてしまい、亡くなってもまぁ大丈夫ですよ」
「う、うん。ありがたいけど気をつけるよ。処刑の基準を理解したから多分、もう大丈夫だよ。ありがとう」
「はい。こちらこそありがとうございます。また話のネタが出来ました!あっ住居用プライベートエリアについて喋ったらマズイですか?」
「いや、大丈夫だよ。我々、人だからさ。景色を創らないと気がおかしくなっちゃうと思うのね。空も同じ。日本と同期させているんだ」
「おー!そういう事ですか!理解しました。話のネタが出来て助かります。疑問点とかありますか?」
「大丈夫。改めてありがとうね」
「いえいえ、お役に立てて嬉しく思います。それでは失礼致します」
「うん。お疲れ様~」
「はい!」
法務神ちゃんは消えた。
「光一さん、良かったわね」
「うん。少しだけ複雑な心境かな?それだけ責任が重いという事だからさ」
「まぁまぁ気楽にやって行きましょう」
「そうだね」
「光一」
「あっぼたん……ゴメン。言い過ぎたかもしれない」
「良いの。光一、離婚……」
はぁやっぱり離婚かぁ。
「離婚……しないから!しがみついて離れないんだから!」
「でも、ぼたん。性格や価値観の違いや不満等を無理して我慢するとストレスになって良くないよ?」
「大丈夫。……無理、していないから。光一は私の事、嫌い?」
「大好きだよ。愛している。だからこそ心配しているんだ」
「私は1億年経っても光一を愛するんだから!大好きなんだから!私は考えた。考えが甘かったかもしれない。覚悟が足りなかったと思う。だから舐められたのかもしれない。……ねぇ?光一。私、総理大臣に向いているのかな?」
「総理大臣には向いていないと思うよ。でも大統領なら向いているんじゃないかな?」
「どうして?」
「チョット先日、調べただけだけど、派閥に入っていないでしょ?」
「うん。あぁいうのは嫌いだし苦手だから」
「だからだよ。ぼたんは選挙の顔と『消えた内閣』という負の遺産を押し付けられる形で党首になったんだと思うよ。日本が安定すれば用済みとされる恐れがある。だから総理大臣には向いていないと答えた」
「でも大統領は議員に仲間がいないと法案通せなくて何も出来ない」
「そこはイブが対策したからへーき、へーき。与党にエテルノがいるからね~」
「……本当にあなた達は恐ろしいわね」
「私から言わせてもらえると。本当に恐ろしいのは国会議員よ?多数の国会議員が消えたという事は同盟国なのにそれだけ非友好的だという証拠でしょ?だから我々の協力者を送り込んでおかないと不安で仕方がない」
「ぼたん、あるいは我々が信用できる人が大統領にならなければ……というか落選したらそれが民意だと判断して我々は日本から撤退するという話になっている。この不安定な国際情勢の中、武力衝突が起きたら……ぼたん。最高指揮官として決断する覚悟は出来たのかな?」
「それが民意であるのなら仕方ないと思うわ。……覚悟は出来たと思う。その時にならないと分からないけど、多分、大丈夫。大切な仲間、部下を見殺しにはしたくないから」
「それなら大丈夫だ。ちなみにね、ぼたん。僕は罪悪感に苦しんだ経験があるから。色々な事に悩んでね、メンヘラかよっていう程には酷い時期があったから。神々に説得してもらったり妻に支えてもらったり、色々あって今があるんだ。沢山の方々に迷惑をかけた。だからさ、ぼたん。自信を失う必要はないよ」
「そうなの?泣いたら眠く無くなったから出来れば詳しく聞かせてもらえないかな?」
「僕も眠くないから良いけど……説明が下手だからイブ、代わりにお願い出来る?」
「光一さんの記憶データがあるから説明出来るけど良いの?」
「良いよ。少し恥ずかしいけどね」
「分かったわ」
そうしてイブは僕の過去について話し始めた。……改めて聞くとやっぱり恥ずかしいなぁ。





