04 はじめての異世界
0年12月28日
「就活…求人……ハッ」
光一が目を覚ますと深い森の中で一本の大木の根元にもたれかかって眠っていたことに気付いた。
鏡がないから分からないが気のせいか若返り、力がみなぎるように感じる。
服装はスーツではなく見たことのない異世界っぽい服に着替えていた。
まずは周りの様子を窺い状況の確認をすることにした。
「記憶は…うん、問題ないな。鮮明に覚えている。この状況から考えて夢ではないだろう。森の中かな?…実はドッキリで地球の森の中という可能性は…うん、ないな。とすると…おぉ!ここが異世界か!」
深呼吸をしてきれいな空気を味わう。そして土や森の匂いを感じる。
「とりあえず街に行ったほうが良い気がするが、どっちに行けば良いのやら…そう言えばサポート役の天使を付けてくれると言っていたがどこにいるんだろ?おーい!僕のかわいい天使ちゃーん!どこにいるのぉ!」
見知らぬ場所で不安感もあったせいか、つい勢いで若干気持ち悪いセリフを言ってしまったな。…天使が男だったらどうしようね。
『……マスター、創造神様からサポート役として任命されました天使です!これからよろしくお願い致します』
ふぁぃっ!こいつ直接脳内に…!良かった女の子だった。創造神様ありがとう!男だったらどうしようと一瞬焦ったよ。
「あ、どうもご丁寧にありがとうございます。小鳥遊光一と申します。こちらこそよろしくお願いします。ところで天使ちゃんのお名前は?」
『私はまだ特に名前はないですね。マスターが決めてください』
う~ん名前かぁどうしよう。天使だからテン子…ないな。アシストでシス子…SE的にはありだけどないな。導くものという意味でナヴィ…いやナビィにしよう!
「考えてみたんだけど導くものという意味でナビィというのはどうだろうか?」
『良いですね!マスター気に入りました!それではこれからはナビィとお呼びください』
「ナビィ早速質問なんだけど良いかな?」
『はい!なんでもどうぞ!』
「ナビィの権限レベルっていくつなの?この世界のあらゆる情報や地球の情報にアクセス出来たりする?」
『私は天使なので権限レベルはLv8です。この世界のあらゆる情報へのアクセスは可能ですが…地球は……少々お待ちください』
やっぱり地球のあらゆる情報へのアクセスは難しかったかな…でもなぁ建国して技術レベルを上げるには地球の情報がないと、僕の知識では無理があるんだよなぁ……何しろただの元SEだし。
『……お待たせしました。地球の神様から許可を得られたので地球の全ての情報にアクセス可能です!ハッキングからマスターのPCにある今晩のおかずまでを手広くカバーします!ペンタゴンだろうとDURPAであろうと余裕です!』
「ぎゃぁあああ俺のPCのデータはみるなぁああ!」
この天使こわい……悪魔の間違いじゃね?うん、話題を逸らそう。
「ところでこの世界で収納系の魔法が使える人って珍しかったりするのかな?」
『この世界の多くの人がインベントリという魔法を使えます。しかしインベントリでは内部の時間が経過し容量も限られています。マスターもイメージするだけで使えると思います』
イメージか…ゲームでよく目にするインベントリをイメージしてみると…おぉゲームでよく目にするインベントリが目の前に表示された!あ、何か入っている。「初心者応援パック」ってなんだ?
開いてみると着ていたスーツと短刀、モーニングコート、燕尾服、硬貨が入っている。
硬貨は小銅貨、銅貨、小銀貨、銀貨、小金貨、金貨がそれぞれ10枚ずつ入っている。
「ナビィ…質問なんだけどインベントリって普通、目の前に表示されるものなの?僕のインベントリ他の人にも見えていたりする?」
『一般的には脳内にリストが浮かぶみたいですね。マスターのインベントリはマスターだけにしか見えていないので安心してください』
「質問ばかりで申し訳ないんだけど各硬貨を日本円にすると何円程度の価値なのかな?」
『小銅貨は1円、銅貨は10円、小銀貨は100円、銀貨は1,000円、小金貨は10,000、金貨は10万円という感じですね』
………1,111,110円!初心者応援パックってなんだろうね。いやもう本当にありがとうございます!
おっと呑気に質問ばかりしていたが今はそれどころではなかった!今がどこで街への行き方を聞かないと!
「ナビィ!僕は今どこに居て街へはどう行けば良いのか教えて!」
『今は”ウトピー”という世界の、”アーシア大陸”にある”リーベ王国”の”ブナの森”という場所にいます。この森は強い魔獣や獣が少なく比較的安全です。最寄りの街まで案内します。まずは魔法でマップ表示をイメージしてください。よくゲームで左上にあるアレをイメージすれば良いと思います』
なるほどマップか…せっかくだし色々な機能をイメージしよう。
特に魔物がいる世界だから索敵は重要だろう。
【マップ】
・レーダーのように自分を中心にサークル状に魔力の波を放出し索敵する。
・放出する魔力の量で探知範囲が変わる。
・例えば最初は50mで探知し、探知範囲内に何も無ければ100mと段階的に探知範囲を伸ばす。
・魔獣はマップで赤丸表示、敵意のある人は赤三角表示、中立の人は白表示とする。
・通過したエリアを自動的にマッピングし地図を作成する。
段階的に索敵範囲を伸ばす理由は敵にバレにくいようにするため。
最初から100mに届くような強力な魔力を放出したら50mにいる敵に魔力を感知される恐れがあると思う。
とりあえずこんな感じで運用して問題点があれば改良していけば良いや。イメージ、イメージ…出来た!
「ナビィ問題なく出来たよ!案内よろしくね!」
『索敵機能も付けたんですね!流石マイマスターです!それでは案内します!』
街はどんな感じなんだろうな楽しみだ。