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18 執務室から神界へ

 1年1月28日


 久しぶりに地面が白く光っているが上が暗い空間に来た。

 なんだか懐かしい気持ちだ。

 あ、創造神様が手招きしている。その隣には見慣れない女の子が座っている。

 ちゃぶ台に向かうとしよう。


「創造神様お久しぶりです。ところで隣の子は?」


「マスター、私がナビィです」


「……かわいい」


 あまりにもかわいい女の子だったのでつい口から言葉が出てしまった。


「あ、ありがとうございます!そ、そんな事よりもお話を進めましょう」


 あ、照れ隠しかな?やっぱりかわいい。


「えーっと地球の天使の話じゃったかの?」


「あ、はいそうです」


「この世界に呼んだ時に地球の神と協議した話をしたじゃろ?実はその地球の神はワシの先輩での。色々と相談に乗ってもらったんじゃよ。スイス銀行に君の口座を作ったり1億ドル相当のスイスフランを入金しなくてはいけないからの。ワシもだがそこら辺、君も分からないじゃろうからどうしたもんかと。下手をすると地球の世界経済が混乱するのも懸念してな。そうしたら君専属の天使を創るからそこら辺の調整や役所等の雑務を任せれば良いと言ってもらえたのじゃ…そうじゃ!せっかくだから地球の天使もこの場に呼ぶかの」

 そう言うが早いか、もう1人ナビィにそっくりなかわいい天使が表れた。まるで双子のようだ。

 ナビィの髪は少し薄い赤で、もう1人は少し薄い青い髪の女の子だ。かわいい。


「はじめましてマスター、地球からやってきました!よろしくお願い致します!」


「あ、はい。どうも小鳥遊光一です。こちらこそよろしくお願いします…君の名前は?」


「私はまだ名前がないのでマスターが名付けてください」


 名前かぁ…難しいな。ネーミングセンスに自信があるわけでもないからな。

 うーん、助手、副官、補佐官という意味の英語の「エイド」でどうだろうか。

 一文字だけ違う似た名前の人もいるしありだよね?本人に聞いてみよう。


「助手、副官、補佐官という意味でエイドはどうだろう?」


「エイド…いい名前だと思います!その名に恥じぬよう補佐させていただきます!」


「うん、よろしくね」


 いやぁいい子だなぁ。癒やされるわ。イカンイカン話の途中だった。


「創造神様に一つ確認したいんですが良いですか?」


「構わんよ?なんじゃ?」


「魔法にインベントリというのがありますよね」


「おぉ、あるぞ?それがどうかしたかの?」


「よくゲームのインベントリではクラフト機能があるんですけど、この世界のインベントリにはないんでしょうか?」


「むむ!?その発想は無かったのぉ!この世界のインベントリにはそういう機能はないが、君のインベントリにはクラフト機能を追加しておこう!今後、建国する際に役立つじゃろうしのう。ワシが求めていたチートはそういうものだったのじゃ!…代わりに経験値取得量アップのチートは外すが構わんよな?」


「えぇ、構いませんが…ちなみにどれくらいアップしていたんですか?」


「えーっと…そうじゃのぉ…スーッ2倍じゃな」


 2倍って…つい先日、取得経験値が2倍になる「経験値上昇の御守」をゲットしたばかりなんですが。


 まぁ損はしていないどころか個人的にはクラフト機能は非常に重要だから得しているな。


「ちなみにクラフト機能で作れないものってありますか?」


「そうじゃのぉ…設計図や素材がないものは作れないが後は何でも作れるようにするぞ?例えば…君のインベントリはかなり広いからのう、素材さえあれば家でも作れるぞ」


 期待していた通りのまさにチート能力キタコレ!

 これで「ある計画」の実現に一歩前進した。


「エイドに質問なんだけど地球で『ペーパーカンパニー』とか作れたりする?」


「はい、一瞬でつくれますが…どうしてですか」


 一瞬で作れるんだ…そこに驚きなんだが流石天使と言うことか。


「実は異世界で生活していて気付いたことを基にある計画を考えた。異世界には娯楽が一切ない。そこで建国して色々と整備をしたらの話ではあるが国営放送やインターネットの構築をしようと考えている。しかしコンテンツが無ければ意味がない。ペーパーカンパニーを作って地球でコンテンツの輸入などの活動をしたいなと思ってね。…そこで創造神様に確認になるんですが良いですか」


「なんだね?なんでも言ってみれば良い」


「1億ドルの給与に関して『それだけの働きを期待している』とおっしゃっていましたが、そのお金を使って地球からコンテンツや資材を輸入するのは駄目でしょうか?…もちろん資材は地球から消費する形で輸入するのではなく、お金を対価に生み出す形で。1億ドルという大金の使い道を考えた時にそういう使い方が適切なのだろうと思ったのですがどうでしょうか。」


「なるほどの。給与に関してはワシは深い意味は無く単純に報酬のつもりだったのじゃがな。君は随分とストイックだのぉ。う~ん、世界間の輸出入は本当はいけないのじゃが…そういう形であれば可能かもしれんな。ワシの世界もダンジョンでアイテムを生み出しておるしの。悪いがエイド、地球の神に確認してきてもらえんかの」


「分かりました。スミマセン。ですがその前に一点確認させてください。資材は分かりますが『コンテンツ』とは例えばなんでしょうか?」


「今の所、バーチャルアイドルの事務所と契約してネット上の動画を輸入したいなと考えている。そして国営放送やインターネット上にアップロードしようとね。まだ建国してすらないがこれは今の内から動いておきたい」


「重ね重ねスミマセン。バーチャルアイドルとはなんでしょうか」


「バーチャルアイドルとは主にネット上で活動するアイドルのことで、自分の分身となるアバター…つまりキャラクターを使って動画配信サイトで雑談をしたりゲーム実況をしたりしてファンと交流しながら人気を獲得していく感じだね。後はライブで歌とダンスを披露していたりするよ。スマートフォン1つで誰でも簡単にデビュー出来るからバーチャルアイドルは今やまさに星の数ほどいるね」


「な、なるほど…なんとなく分かったような気がします。それでは確認に行ってきます」


 ついつい熱く語ってしまった。僕の悪い癖だな。気を付けよう。


「戻ってきました。特に問題ないとの事です」


 はやっ、一瞬で戻ってきたよ!


「うむうむ、これでとりあえずの問題は解決したかの?これからどうするんじゃ」


「はい、解決しました。ありがとうございます。これから地球に行って準備してきます」


「そうか。それでは気を付けての。引き続きよろしく頼む」


「はい、それでは失礼致します」

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