表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と闇 〜終わりの始まり〜  作者: シラス王
学園編
24/34

学園編① 〜編入〜 冒険者登録(㊙︎)

ユナが転移トラップに巻き込まれた翌日、アシリカ、メリカ、嵯峨徒の3名は朝早くから冒険者ギルドの前に立っていた。

そんな、ここ、ウルベモルティスにある冒険者ギルドの建物は二階建ての超大型酒場の様だ。木造然り、スイングドア然りだ。勿論建物全体が酒場と言うわけではなく、様々な施設が入っている。現在ドアには『営業時間外』という掛け札が掛けられている。

日がこれから出ようとしてるくらい早い時間だ。当然、周りに人影はほとんど無い。


「…本当に大丈夫なの?」


不安を口にするのはメリカだ。理由は簡単。何と言ってもバロル達だ。バロル達から許可をもらえるまで、冒険者のライセンスは取ってはならないと告げられているのだ。


「大丈夫ですよ。何とかなります」


何の根拠もない事を言うのは嵯峨徒。


「そうですよメリカさん。朝礼には間に合う筈です」


強気な事を言うのはアシリカだ。だが、メリカが気にしてる事とはズレている。


「そっちじゃ無くて…はぁ、あんた達のその自信は何処から来てるのよ…と言うか、嵯峨徒って学級委員じゃ無いの?クロームにバレたら怒られるんじゃ無いの?」

「問題ありません。最悪、寝坊と言い張れば良いんです」


自信満々な嵯峨徒に、メリカは溜息を吐くのだった。

それを横目に、アシリカは嵯峨徒に問う。


「それにしても、冒険者登録は本当に可能なんですか?私達、まだ12歳ですよ?」

「それに関しては事前に調べて来ました。冒険者登録は12歳から可能なので、ギリギリ問題ありません」

「ギリギリ…」

「善は急げ、ですよ」


嵯峨徒の言葉に、アシリカは首を傾げる。


「ぜんはいそげ?どう言う意味ですか?」

「私の国の言葉で、『良いと思った事はためらわず、ただちに実行すべし』と言う意味です。私の座右の銘…じゃなくてスローガンです」


意味を聞き、アシリカは少しばかり考え、首を振る。


「だいぶ危険じゃ無いですか?」

「それが楽しいんです」


そんな会話をしてると、傍から1人の女性が覗き込んできた。

濃いピンクの髪と目を持ち、垂れ目で、いわゆるわがままボディ、整った顔立ちをしている。

身に纏う制服は豪華とは言えないが、落ち着いた深い緑色を下地に、慎ましく主張する刺繍が施されている。


「あららあれれー?こんな早い時間からお客様ですか〜。まだ営業時間じゃ無いですが〜、御用件は何ですか〜?」


マイペースかつ眠そうな声で突然話しかけられて驚くが、アシリカが落ち着きを取り戻して答える。


「冒険者登録をしたくて来たんです」

「冒険者登録ですか〜。確かにお嬢さん達の年齢なら登録自体は可能ですね〜」

「失礼ですが、貴女はここの職員の方ですか?」


嵯峨徒が当然の質問を投げかける。

それに、目の前の女性は応える。


「あ、はいー。私は冒険者ギルド総本部所属の受付嬢、フェニと申します〜。見たところ、お嬢さん達は第一学園の生徒さん達ですねー?


3人とも頷く。


「なるほど〜。腕試しに、と言う訳ですか〜。向上心があるのはとても良い事ですね〜。参考までに尋ねるんですが、ダンジョンに挑む予定はありますか〜?」

「潜る気しか無いです」


アシリカが即答すると、フェニは少しばかり眉を顰め、すぐに戻した。


「よく分かりました〜。ただ、やめておいた方が良いですよ〜」

「…はぁ…」

「なんで?」

「最近、ダンジョンで異常現象が見られると、多数の冒険者から報告が上がって来てるんです〜。ゴブリンの希少種が見られたとか、幽霊が出現したとか…昨日なんか、第二階層に『サング・オース』が出た位ですから〜」


3人とも少し顔を暗くする。


「それはそうと、第一学園といえば、『虚構の錫杖』が講師として雇われた所でしたね〜。全く、生徒の皆さんは幸せですね〜。なんせ、Aランク冒険者に稽古をつけて貰えるんですから〜」

「バロルさん達をご存知なのですか?」

「おやおや?その口ぶりから察すると〜、お嬢さん達がその生徒さん達ですか〜。羨ましい限りです〜。訓練はやっぱりスパルタですか〜?」

「うーん…どちらかと言えば緩い方だと思うわ」


メリカの答えに他2人も同意するように首肯する。


「…となると、お嬢さん達は失踪した方のお知り合い、ですか〜?」

「!!!」

「やっぱりそうでしたか〜。これは困りました〜」

「困る…?」

「ええ。もし、その失踪した方のご学友が来たら、追い返せって言われてるんです〜」


その言葉に、恐る恐る嵯峨徒が問いを投げかける。


「…私達を追い返しますか?」


ただ、恐れていたような返事は返って来なかった。


「御安心くださいー。私達冒険者ギルドはいつだって人員不足です〜。なんの理由があって、未来ある子達を追い返したりしましょうか〜。いつでも冒険者登録は大歓迎です〜」

「…つまり…」

「もちろん、登録するのになんの問題もありませ〜ん。お嬢さん達がよろしければ、今済ませちゃいましょ〜」

「良いんですか?!」

「はい〜。朝礼には間に合いたいですよね〜?」

「もちろん!」

「ではついて来て下さ〜い」


フェニはそう言うと扉に向かい、営業時間外の札を外して中へと入って行く。それに続いて3人も中に入る。

3人が入ったギルドの内部構造は、円形の広間だ。石製の床に木製の壁と言う質素な作りとなっている。広間の中央には、重厚な輝きを放つ白い円柱があり、広間の奥にはカウンターがあり、その両脇に緑色のボードが貼られている。

広間の両脇には扉があり、現在は閉じられている。

左の扉はホールに併設されている酒場とホールを、右の扉は一本廊下と複数の会議室から構成されるエリアとを繋いでいるらしい。

上階にはホールを見下ろせる吹き抜けがあり、装飾の類から重役が居る事が伺える。

フェニはカウンターの傍からカウンター内に入ると、ガサゴソとカウンターの下あたりを探り、やがて一つの器具を取り出した。

天秤のような器具で、天秤を支える柱の天辺には針があり、天秤の土台に横長の穴が空いている。


「これは…」

「冒険者登録に必須の道具です〜。どちらかの皿に血を垂らせば〜、もう片方の皿にその人の戦闘力が表示されます〜。それを見て〜、冒険者としてやっていけるだけの戦闘力…下限は確か300でしたっけ〜…まあともかくー、戦闘力が算出された後に冒険者に同意するか否かお聞きしまーす。冒険者になる事に同意すれば〜、下の台から自身が冒険者である事を証明する『ギルドカード』が出て来ます〜。それを以って登録は完了でーす」

「次に、簡単に冒険者ギルドのルールを説明します〜。まず、冒険者同士の争いは当然の如く禁止でーす。恫喝やカツアゲに遭った場合は直ぐに知らせて下さーい。ただし、明確な敵対表示…抜剣とかですかね〜…をされ、知らせる暇も無い場合は応戦しちゃっても大丈夫でーす」

「次に〜、長期にわたって冒険者として活動されてない、もしくは法に抵触する事を行った場合、その方は除名処分とします〜。いくら人手不足と言っても、これは見過ごせませんので〜」

「最後に、依頼に関する事で〜す。人手不足という事はつまり〜、いつでも資金はカツカツです〜。その為、依頼達成時に幾ばくかの報酬はギルドの懐に入りまーす。勿論そのお金は冒険者達の支援の為に使われますので御安心を〜。こんな所ですかね〜。何かご質問は〜…なさそうですね〜。誰から始めますか〜?」

「私からでお願いします」


アシリカが即座に前に出る。


「天秤についてる針で指に傷を付けて下さ〜い。一滴で問題ないですよ〜」


指に傷を付け、片方の皿に血を垂らすと、もう片方の皿が淡く光り始め、やがて黒い文字が浮かび上がって来た。そこには520と刻まれていた。


「ほほう…520ですか〜。中々ですね。見た所、職業は支援系統とお見受けしますので、魔力量が高いのですかね〜。あとは知力が高そうです〜。ただ、筋力は少し心許ないかもですね〜」


流石は冒険者の受付嬢と言った所か。これまで何人の冒険者を見て来たのだろうか。一眼見ただけで職業を見分ける事は可能でも、簡単ではあるがステータスの特徴を見抜く事は容易とは言い難い。


「恐らく」

「良いですね良いですよ〜。噂が広がれば、是非パーティーに、と言う方は後を絶たないと思います〜。ではお尋ねしますが〜、冒険者になる気はありますか〜?」

「はい」


アシリカが同意の返事をすると、天秤から一枚の金属板が出て来た。出て来た金属板は少しばかり重く、触るとひんやりと冷たい。片面にはアシリカと名前が、その隣に『H』と刻まれている。

もう片面には特に何も無い。


「それが、ギルド所属の冒険者になった事を表す『ギルド冒険者証』で〜す。無くしても構いませんが〜、その場合は再発行の為の費用と時間を頂戴しますので悪しからず〜。結構高いので気を付けて下さーい」


フェニが注意点を告げるも、アシリカはただただギルド冒険者証を笑みを浮かべながら見つめている。余程嬉しかったのだろうか。全然聞こえてない。


「…さて、次はどちらにします〜?」

「私が」


メリカが歩み出て、針で傷を付けて、天秤の皿に血を垂らす。

すると、もう片方の皿に新たな数字が刻まれていき、『560』と出た。


「…ふむふむ。560ですか〜。戦士職は魔力が無い事が多いので〜、魔法使いと比べるとどうしても戦闘力が低く算出されがちなんですが〜、これは中々に良いですね〜。筋力と敏捷性…あとは気力ですかね?どれも同じくらいとお見受けしますが、普通の方よりも大分高いですよ〜。将来有望です〜」

「そ、そう?」


メリカは少し照れる。真正面から褒められた事は中々無かった為に、褒められる事に免疫が無いのだ。


「ただ、もし冒険者になるのなら、メリカさんは筋力よりも敏捷性を鍛えた方が良いかもですね〜。壁役としては少し心許ないかもです〜」

「えー…」


メリカ的には、素早さで敵を翻弄してチマチマ攻撃したり、地味な壁役に徹するよりも、一撃必殺が性に合う為、フェニのアドバイスには不満を表した。


「ではでは、冒険者になる気は…」

「あるわ」


冒険者証が出て来た。アシリカと同じく名前とランクが刻まれている。


「…最後に、サガトさんは如何なさいますか?」

「私ですか?勿論やります」


前の2人と同じ様に、針で傷を付けて皿に血を垂らす。するともう片方の皿に『760』と刻まれた。

この数字に、アシリカとメリカは驚きの表情をする。なんせ、自分らの値より200も高いのだ。今までの訓練で手を抜いた事は無いし、ましてや怠けた事もない。だと言うのに、軽く上回れた。純粋に訓練の質の差か、それとも元々持っていたか、もしくは両方か。


「ええーー?!」

「アンタそんなに強かったの?」

「…おやおやおやおや…!その歳で700を上回るなんて中々無いですよ〜。これは将来が楽しみです〜。冒険者になる気は?」

「勿論あります」


冒険者証が出て来る。名前が書いてあるのは変わらないが、ランクが『H』では無く『G』となっている。


「あれ?なぜ私のランクはGなのですか?」

「冒険者のランクは、ギルドに対する貢献度と戦闘力を総合して算出されます〜。戦闘力が600以上ならGランクでも問題無いですよ〜。それに、普通は最初からランクが表示されるなんてありませんから〜。普通は表示されずに、暫くは冒険者見習いとして活動するんです〜」

「つまり、私達はその見習い期間を飛ばしちゃった、と言う訳ですか?」


嵯峨徒が少しばかり期待の眼差しを向けるが、即座にに否定された。


「いえいえ。あくまでランク上の話です〜。キチンと見習い時代を経験して頂きますよ〜」

「で、では…ダンジョンに潜れるのっていつになるんですか…?」


アシリカが恐る恐る尋ねる。それに、フェニは難しい顔をした。


「……えー…ダンジョンと一口に言っても様々な物がありまして〜…ここのダンジョンの場合はですが〜…」


フェニが口籠る。

それを見たアシリカが答えを急ぐ様に強い口調で続ける。


「教えて下さい」

「…分かりました〜…ここのダンジョンの場合、ランクがE以上になれば入れます〜…」


Eランク。現在のアシリカ達のランクはHかGである事から、あと2、3回ランクを上げねばならない。Eランクは初心以上中級未満、プロの一歩手前あたりといった認識だ。その程度なら問題ないかもしれないが、Eランクに昇格する事は一つの冒険者の壁ともされている。故に、アシリカ達にとっては近いようで遠い壁なのだが…当の本人達はそんな事はつゆほども思っていない。寧ろ余裕とさえ感じている。その証拠に、アシリカは少しばかり安堵した表情を浮かべている。

そんな、舐めてるとでも言えよう様子を見たフェニはアシリカ達に忠告をする。


「皆さーん?ランクを上げる事はそんな楽なことでは無いですよ〜?」

「分かってまーす」


嵯峨徒が珍しくのんびりとした返事をする。3人の中で最も高い数値を出し、少しばかり浮かれている為だ。


「…アシリカさん達なら問題無さそうなので良いですかね〜」


アシリカ達には聞こえないように、フェニはそう呟く。通常であればキチンと釘を打っておくのだが、彼女自身もアシリカ達の通常よりも高い数値を見て、逸材が来たと少しばかり興奮していた。勿論、褒められた対応では無いが。

熱が冷めたのを見計らい、フェニはアシリカ達に依頼を薦めていく。


「どうです〜?早くランクを上げるのでしたら、何か依頼を受けます〜?」


フェニの問いにアシリカは意気揚々と応える。


「はい!」


ただ、他2人はギョッとしている。


「アシリカさん?!依頼を受け始めるのは放課後からだって話し合って決めたじゃ無いですか!

「何を言うんですか!一刻も早くユナさんを助けるには、一つでも多くの依頼を受けないと!嵯峨徒さんもノリノリだったじゃ無いですか!」

「私は冒険者登録にノリノリだったんです!」

「馬鹿!朝礼には間に合わないとダメじゃ無い!」

「メリカさんは朝礼とユナさん、どっちが大事なんですか!」

「それはユナだけど…」


因みにこのやり取り、これで2回目だ。1回目は事前の話し合いにて起こっている。


「て言うか、そんな無計画に事を進めても失敗するでしょ!」

「無計画じゃありません!どんどん依頼を受けようと言う作戦です!」

「それを無計画って言うのよ!」


そろそろ言い合いから喧嘩に発展しそうだ、そう考えたフェニは仲裁に入る。


「はいはいそこまででーす。つまり〜、一つでも多くの依頼を受けつつ〜、放課後に活動するのなら良いんですよね〜?」

「フェニさん!まだ朝礼までには時間が…」

「アシリカさーん?忘れてませんかー?一応、ギルドはまだ営業時間外ですよー?」

「あ…」

「それに〜、営業を始めるのは学園の朝礼の時間の少し後くらいだった筈です〜」

「ではどうやって!」

「私に言ってくれれば〜、アシリカさん達が放課後に受ける依頼を此方で確保しておきますが〜…どうです〜?」


アシリカはそれを聞いてしばし考える。放課後、アシリカ達が受けられる依頼が残っているとは限らない。だが、事前に確保して貰えるのであれば、依頼が無くて困る事態は極力避けられる。

結論、フェニの提案に乗る事にした。


「…お願いします」

「決まりですねー。ではでは、こちらが現在アシリカさん達が受けられる依頼です〜」


そう言うと、フェニは受付カウンターに5枚ほどの麻紙を並べた。


「これが、本来は彼処にある依頼ボードに貼られている依頼書です〜」


麻紙には、上部にその依頼のランクを、中部に依頼の内容や注意点を、下部に依頼の報酬が書かれる。

並べられた麻紙に書かれているランクは全て『H』で、報酬は僅差があれど殆ど同じで、大銅貨5枚ほどだ。内容は左から『迷子ペットの捜索』『薬の配達』『工事で使う建材の運搬』『薬草の採取』『ドブ攫い』である。

3人ともその5枚を見て、どれを選べば良いか分からずに唸る。

その時間すら惜しいと感じ、アシリカはフェニに尋ねた。


「フェニさん。ランクを上げるのに効率の良い依頼の基準ってありますか?」

「うーん…そうですね〜…基本的に、ランクはギルドや社会への貢献度と戦闘力で決められます〜。冒険者ギルドの依頼の殆どは市民の皆様から出される物ですので〜、効率の良い依頼、と言う物はありませ〜ん。強いて言うのなら〜、冒険者は自身より一つ上のランクまで受けられます〜。そういう依頼を受ければ〜、ランクが上がるスピードは上がりますね〜。それらを積極的に受けるのもアリですよ〜」

「では、Gランクの依頼は無いんですか?」

「今は無いんですよ〜。見習い期間を脱した人達はこぞってGランクの方を受けますからね〜。逆にHランクの依頼は溜まる一方です〜」


フェニの愚痴混じりの話を聞いて肩を落とすアシリカだが、すぐに立ち直り、捜索依頼と配達依頼の2枚を手に取った。


「これを受けます」

「他の御二方はどうします〜?同じのを受けます〜?」


2人ともアシリカが選んだのだから問題ないだろうと、同意の意を示す。


「畏まりました〜。あ、依頼を受ける際は私に声を掛けて下さいね〜」

「はい」

「どうします〜?今日は一旦戻りますか〜?」


その問いに3人とも頷く。


「分かりました〜。放課後までお待ちしておりま〜す」

「ありがとうございました。よろしくお願いします」


そう言うと3人は冒険者ギルドを後にした。


ギルドに1人残ったフェニは天秤をしまい、椅子に腰掛けて欠伸をする。


「うーん…本当は無謀なんでしょうけど〜…私に止める権利はありませんよね〜…」


1人天井を見上げ、1人呟く。すると、ギルドの正面の扉から誰か入ってきた。


「今日こそ私が一番乗り!…ではない様ですわね」


金髪の縦ロールと紫色の瞳を持つ女がフェニを見てガックリと肩を落とす。

女の背はフェニと同じくらいで、体付きは若干フェニに劣る。その代わりと言うと変だろうが、顔立ちは非常に整っている。


「残念でした〜。今日も私が一番乗りで〜す」

「あら?だいぶ眠そうじゃない。早起きの為に無理をしたのでは無くて?」

「私はいつでも眠いんです〜。平常ですよ〜」

「強がりは年寄りに冷や水ですわよ?」

「まだまだお肌ピチピチのお姉さんです〜」


女は何を言っても効果無しと悟り、溜息を吐く。暫く2人とも喋らなかったが、最初に女が口を開いた。


「そういえば先程、女の子が3人ほどギルドから出ていきましたが、何をしてたのでありますか?」

「うーん?登録手続きをしただけ〜」

「まあ、こんな時間に?」

「ビックリです〜」


フェニと会話してる内に、女はフェニの机にある2枚の依頼書に目をつけた。


「…フェニ?この依頼は…」

「はい?…ああ、さっきの女の子達が選んで行ったんです〜」

「…」


女は依頼書を確認し、ため息を吐く。


「この二つの依頼は、失敗者が続出したものでは無いですか。しかも依頼主が依頼を取り下げない物だから、お蔵入りになった筈ですわよ」


フェニはそれを聞くも、特に気にした様子はなくまた欠伸をする。


「タリア〜…貴女も分かってるでしょ〜?冒険者は〜…」

「自己責任、ですわよ」

「はい〜…それに、これはあの子達にとって良い経験になる筈です〜」

「ま、それもそうですわね。あ!それはそうと!」


この後、ギルドの正規の営業時間が来るまでフェニとタリアは世間話…と言うよりはじゃれあいを続けるのであった。



「クロームとかバロル先生にバレると思う?」

「大丈夫ですよメリカさん。下手に気にしたら怪しまれちゃいます。何食わぬ顔で過ごすんです」

「あんた学級委員じゃなかったっけ?」

「私、公私はキチンと区別してますので」

「…ま、お節介が2人に増殖するよりはマシね」

「良いでは無いですかメリカさん。嵯峨徒さんがメリカさんの、私がユナさんの暴走を抑えられて、私としては万々歳です〜」

「なんでさっきの受付嬢みたいな喋り方な訳?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ