学園編① 〜編入〜 晴れて編入
明けましておめでとうございます。
今年も、拙い作品ですがよろしくお願いします
「其れで?お試し期間では、私達が付き添った方が?」
着いて行きたいですよオーラを出しながら家事王が尋ねる。
「其処には制限を掛けてないから安心して頂戴」
「お。気が利きますねお嬢さん」
「あら?お嬢さんだなんて、もう!照れちゃうわぁ♡」
「教材を受け取った、多分説明も受けてる、見た所ステータス鑑定も受けた…となると、後は…」
「簡単な書類云々よ、ロボットちゃん♪」
頭の中で確認していた家事王にフルヘンシオが囁いた。
「書類。ほほう」
「一応、此の学園の生徒って事を書類にして残しておかないとなの」
「書類」と言う単語を聞いたユナが、ちょっと面倒臭そうな顔をした。
其れを見たフルヘンシオが、満面の笑みを浮かべる。
「大丈夫よ♪適当に名前のサイン書いて貰うだけだから♪」
そんな事で良いのか校舎長。
其れならと安心して3人とも簡単にサインをした。
「綺麗な字だわぁ。魔王討伐を頑張った後は、文官としても働いて行けそうね♪」
「丁重にお断りします」
「あらら…」
珍しくアシリカが積極的に拒否した。
「此れで此処での用事は終わりね」
「其れじゃあ私達は此れで…」
クロームが地獄から解放されたいのか、速攻で出たがっている。
「そう。此処での用事は終わりよ。けーど。まだ個人的な用事が終わってないのよねぇ」
「…」
クロームが絶望の表情を浮かべた。
「ユナちゃん達は外で待っててねぇ」
取り敢えずユナ達は外に出た。
何が起こったのかは、いうだけ野暮だろう。
暫くして扉が開くと、クロームが魂が抜け落ちた顔をしながらでてきた。
「じゃ、クロームちゃん。後は頼んだわよぉ〜!」
「は、はい…」
生きたアンデッドの様になったクロームが無言でトボトボ歩いて行くので、3人と3体は静かに着いて行った。
少し歩くと小さめな空き部屋に着いた。
「お前達は此の中でゆっくりしてろ…俺が呼びに来るまではな…俺は職員室で傷心してる…」
そう言うとササっと消えた。
部屋の中は、至って普通の部屋だ。ソファー2つとテーブル1つ、魔力の灯りがあるだけだ。
「と、取り敢えず、座りますか!」
アシリカの一声で、3人とも座る。アシリカが一つのソファーに、ユナとメリカがもう一つのに座った。家事王は壁際に、ゴーレム達は部屋の外に待機している。
「…あ、あの…何で私は1人…」
アシリカが訳が分からないと言う様子で尋ねる。
勿論、何故此の配置になったのか。何故、少なくとも傍目に見れば犬猿の仲とも呼べるユナとメリカが同じソファーに座ったのか。
原因がアシリカにあるからだ。
「アシリカちゃん」
切り出したのはユナだ。
「何か嫌な事があったら、私達に話して」
其れを言われた瞬間、アシリカは表情を強張らせた。
「い、嫌な事?そんな事ないよ、そんな事ない。ユナさんが考えすぎなだけ…」
「本当?」
グワっとユナが体を乗り出し、アシリカに近付いた。
ユナはアシリカの目を、金色の瞳を以ってジッと見つめる。
暫く2人は見つめ合ったが、気圧されたアシリカは、そっと目を逸らした。
そんな様子の2人を見て、メリカが口を開いた。
「ユナ。そんなに強引に行ってはダメよ。話したくないなら、まあ、それでも良いじゃない。ユナにも話したくない事、沢山あるでしょ?私にもある。其れと同じ」
「…」
メリカに言われ、自分の行動がアシリカを追い詰めてると気付いたユナは、急いで座り直した。
「アシリカちゃん、ゴメン!」
当然謝る。
「うん、良いよ。…私も御免なさい…心配させちゃって…」
「けど、本当に嫌な事があったら、何時でも言ってね!」
「…うん…」
話の区切りを見つけた家事王が声を出した。
「皆様。待ってる間ボーッとするのは生産性が無いですので、魔力を使った、ちょっとしたゲームをしましょう」
「は?何其れ。私をハブるつもり?」
当然だ。メリカからすれば、此れからハブりますよと言われた様な物だ。
だが、家事王は意味も無く、そんな生産性の無い様な事はしない。
「別にそう考えて貰っても結構です」
「は?」
「だから、魔力が無いと思ってるなら、別に其れでも良いですよ」
「…意味分かんないんだけど。ステータス鑑定した時、私の魔力は0だったわよ?」
其の事に、家事王が呆れた声を出した。
「何馬鹿な事言ってるんですか。魔力を使えないなんて…如何やって戦うんですか?そもそも生物として大丈夫ですか?魔力が無ければ、使い物になりませんよ」
其の事にムカッときたメリカが早口で反論した。
「…はっ…何言ってんの?魔力は生まれながらにして、其の有無が決まるの。で、魔力を持ってる確率は低いの。分かる?」
「成る程。分かりました分かりました。其れを踏まえた上で、此のゲームをやります」
「だから…」
「メリカ様。私と両手を繋いで下さい」
メリカの事は無視して、ゲームの説明を始めた。
「…」
渋々家事王の側により、手を繋いだ。
「繋ぎましたね。此れから、私がメリカ様の魔力を奪うので、抗ってみて下さい」
「いきなり何…っ?!」
メリカは突然、途轍も無い脱力感に襲われた為、倒れて動けなくなってしまった。
「あ…う…」
「魔力切れの症状ですよ。酷い目眩と頭痛、吐き気がするでしょう?」
「か…あ…た…助け…」
「アシリカ様。メリカ様に魔力を供給してみて下さい」
「え?!」
「早く」
「は、はい!」
急いでアシリカはメリカに駆け寄り、メリカの手を握り、魔力の供給を試みる…が、上手く行かない。
「…はぁ…」
家事王がメリカに触れると、メリカの顔に生気が戻った。
「はぁ…はぁ…」
「ちょっと予想外でした」
「アンタ!私を殺す気?!」
「本来ならば、手を繋いだ状態のまま魔力の引っ張り合いを行なって、魔力を強化する遊びだったんですけどね」
「あのー…質問良いですか?」
恐る恐るアシリカが手を挙げた。
「どうぞ」
「魔力の強化って…何ですか?」
其の質問に、ユナもメリカも頷いた。
魔力に強度みたいな物なんてあるのか。
「…はい?」
嘘だろ?みたいなニュアンスで家事王は聞き返した。
「だから、魔力の強化です…」
「…」
家事王は其の場に崩れ落ちた。
「…此の世界の人は馬鹿しかいないんですかね…はぁ…良いですか?魔力の強化とは即ち、魔力の『質』を上げると言う事です」
「魔力の…」
「質…」
「…」
「魔力の質を上げると言う事は、魔法の威力及び効果の上昇に繋がります」
其の事に、少し思い当たる節があるユナが手を挙げた。
「質問しても良い?」
「どうぞ」
「その魔力の質が高ければ、下級風属性魔法のウィンドカッターでも、猪の首を一撃で落とせるの?」
「…可能です」
「!!」
「とは言っても、下級魔法の威力なんてたかが知れてます。本来は、こけおどし程度にしか使えないんですけどね。猪の首を一撃で落とせるとなると、それなりに質の高い魔力と、其の魔力を操る技術が必要になってきますね」
「…」
兄には出来たのに、未だ自分には出来ない。
其の事が、ユナの中で別の感情として蠢いていた。
そんなユナの様子から、家事王は大体の事を察した。
「成る程成る程」
「私達にも、出来ると思う?」
此処がユナにとっては重要なのだ。
何時迄も兄の後ろにいるのは、御免である。
「勿論。誰かに出来て、別の誰かに出来ない事なんてありませんから」
そう言われたユナの顔はパーっと明るくなった。
「其処で先程の遊びである、『魔力の綱引き』が必要になってくるのです。原理は簡単です。魔力は外に出て行く事を嫌います。ですので、引き出そうとすると、より強く、宿り主の中に戻ろうとするんです。魔力の質とは即ち、宿り主と魔力との親和率です。簡単に抜き取れると言う事は、宿り主に魔力が馴染んでいないと言う事。此の塩梅が難しいんですよね」
「抜き出す…あの…」
何か引っ掛かったアシリカが尋ねる。
「魔力を引き抜く魔法で、マナドレインと言う魔法があるじゃ無いですか」
「ええ」
「けど、マナドレインって…人の身では使えないのでは…」
「其の通り。良く勉強してますね。アレはモンスターにしか使えません。理由は長くなるので言いませんが」
「では、どうやって魔力の綱引きを…って…ええ?!」
「どうしたの、アシリカちゃん?」
「と、となると…貴方はモンスター…」
「違います」
「ですよねー…」
「先程、私がメリカ様から魔法を抜き取れたのは…ほら、私の手を見て下さい」
見ると、掌の真ん中の部分が薄っすらと光っている。
「私の中の魔力を貯める所と直接繋がってましてね。魔力を補給する際は此処から魔力を吸います。先程は、単純に魔力を吸っただけです」
「私を食い物にしたって訳?」
「誤解を招きそうなので其の言い方やめて下さい」
「其れで、如何にして?」
「魔力を体の中で回す事は出来ますか?」
「?」
「此処もですか…」
其の後も家事王のレッスンは続いた。
魔力の体の中での回し方、引っ張り合い方などなど…
家事王監修の元、魔力強化の遊びの練習が行われた。
暫くして、少し生気が戻ったクロームが呼びに来た。
「おーい。クラス連中にお前らの事紹介するから、早く行くぞー」
いきなり扉を開けて何を言うかと思えば、此れである。
扉を開け放ったままスタスタと歩いて行ってしまうので、何時もの如く3人はついて行く。後ろに家事王達も続く。
廊下を歩き、階段を上る。
途中、此の校舎の教師と思しき何人かとすれ違う。
皆、珍しい物を見る目をしている。
確かに、此のメンバーは色々と珍しい組み合わせだ。
ユナの場合、生まれながらの白髪は殆ど居ない。金色の目も殆ど居ない。
アシリカなら、灰色と言う色そのものが珍しい。白色や金色程ではないが、かなり珍しいのだ。
メリカなら、やはり肌の色。褐色肌は珍しい。
と言った感じだ。
其の視線の大半は好奇のソレだったが、中には別の物もあった…
やがて、クロームがある教室の前で止まった。
廊下には多数のゴーレムが待機している。
「此処がお前達のクラスだ。入るぞ」
ガラガラと粋な音を立てながらクロームとユナ達、家事王が入って行く。
教室には9人ほどの生徒が座って居た。
皆一様に、如何にもと言った雰囲気を出している。
「えー…突然だが、今日から此の、1年2組に編入する奴らが3人程居る。なんか一体程変なのが入ってるが、まあ気にするな。おら、自己紹介しろ」
初めはユナだ。
「は、初めまして2組の皆さん!ユナです!…よろしくお願いします!」
ユナらしいと言えばユナらしい、元気溢れる挨拶だ。
途中から何を言ったら良いのか分かんなくなってたのは気のせいだ。
女子の何名かは其の様子を見て、かわいいと呟いてた。
次はアシリカ。
「初めまして、1年2組の皆様。アルター教次期聖女候補のアシリカと申します。不束者ですが、どうかよろしくお願いします」
そう言ってからの優雅な一礼。
無難な挨拶だろう。
アシリカなので、話し方や所作が上品だし優雅だ。
幾人かは感嘆の声を漏らしている。
最後はメリカ。
「初めまして。メリカよ。よろしく」
シンプル・イズ・ザ・ベスト。
非常に短くシンプルで、無駄の無い挨拶だ。
「で、其処にいる丸っこいのはユナのお付きのゴーレムだ。てか何でお前は此処に入ってるんだ。今は出てろ」
そう言われると家事王は何も言わずに出て行った。
ドアの開け閉めが雑だったのは御愛嬌。
「はぁ…と言う訳で、此の3人が編入する。分からない事も多いだろうから、其の時には随時教えてやれ。以上だ。後ろ側の席が空いてるから、其処にでも座ってろ」
見ると、一応3人とも席は離されてる。三列横隊で、各列の一番後ろが空いている。
3人とも座った。
前から見て左から、アシリカ、ユナ、メリカだ。
「其れじゃあお前ら。簡単で良いから自己紹介しろ。スタンから順番に言ってけ」
そう言われると、スタンと呼ばれた、チャラチャラしてる金髪で青い瞳の少年が立つ。
「チーっす!俺はスタン!宜しくな!」
人は良さそうだがチャラい。
次に紫色の髪と目の少女が立つ。
「アルメリアと申します。以後よしなに」
大人びた少女だ。
言い終わると、勢い良く、後ろの黄緑色の髪と目を持つ少年が立ち上がった。
「俺の名はガルジュ!宜しく!」
…熱血少年だ。
前に戻って空色の髪と目の少年が立つ。
「ぼ、僕はマルクス…よろしく…」
オドオドしてる少年である。
次に藍色の髪と目の少女。
「私はキャロライン!みんなはキャリーって呼んでるよ!宜しくね!」
クラスのムードメーカ的なポジションの少女だ。
お次は金髪で茶色の目を持つ少年。
「私はオルゴ。一言言っておくが、私はスパズザ王国の継承権第一位の王太子だ。分かったら、余り調子に乗らない事だな」
スパゲティーみたいな名前の王国の王子様にあらせられた。
また前に戻り、濃い緑色の髪と目の少年。
「私はグレゴリ。魔法研究部に所属している。魔法の事なら気兼ねなく尋ねてくれ」
どうやら部活の類が此の学園にはあるらしい。
next is … 桜色の髪と目を持つ少女。唯一、制服ではなくの紅色の着物を、特に下半身は動きやすい様に藍色の女袴を着用している。
「はじめまして、ユナさん、アシリカさん、メリカさん。倭ノ国十二代目将軍、嵯峨徒信康の娘、嵯峨徒春芽と申します。宜しくお願いします」
倭ノ国の嵯峨徒一族の娘だそうだ。
倭ノ国は、人族の大陸の北東…亜人達の大陸に比較的近い場所に浮かぶ島にある国だ。
最後に、海っぽい青色の髪と目を持つ少年。
「…マルコ…よろしく」
一風変わった雰囲気の少年の自己紹介を以って、クラスメイト達の自己紹介は終わった。
「よーし。じゃ、ホームルームを始める。起立。気を付け。学級委員」
「礼」
言ったのは嵯峨徒なので、彼女が学級委員と言う事になる。
「3個だけ連絡事項だ。まず、前までずっと空席だった戦闘科の教師枠だが、Aランク冒険者のチームが付いてくれる事になった」
皆ざわつく。何せ、Aランク冒険者だ。Aランクは、一般人が目指せる最高の冒険者のランクとなる。
「騒ぐな。次に、本当は3日後が科目選択の紙の締め切りとやらだったんだが、其処の3人が入って来ちまったから、再来週まで伸ばす。絶対に忘れるなよ?」
何人かが安堵の声を漏らした。
「最後に、近頃、変な奴が隣の区画で目撃されたとか、目撃されてないとか、だ。別に外に出るのは規制しないが、呉々も注意してくれ。以上」
なんとも適当な注意喚起だ。まあ、何ら問題は無いのだが。
「じゃ、座ったままでいい。学級委員」
「礼」
嵯峨徒の号令で皆が礼をしたのを見届けて、クロームは教室から出た。
そして始まるは、クラスメイトからの怒涛の質問攻めタイムだ。
先陣を切るは女子達。
続くは男子達。
「皆さんは何処からいらしましたの?」
「好きな食べ物とか嫌いな食べ物は?!」
「改めてチーっす!ユナちゃん可愛いねぇ!どう?!あとでこの学校を案内させてよ!」
「珍しい肌の色だな!あ!気を悪くしたのなら謝る!すまん!本当に今迄見た事が無かったのでな!」
「ご、ごめんね…この人は悪い人では無いから…」
「…ふん…下らん…」
「魔法に興味ある?」
「さっきはごめん…!緊張し過ぎた…!」
質問攻めと言うよりは、勢いよく話し掛けられてる。
どちらにしろ、勢いに呑まれて3人とも沈黙してしまった。
すると、パチンと大きな手を叩く音がし、場に落ち着きが戻った。
音の主は嵯峨徒である。
「はいはい皆さん落ち着いて。そう一気に話しかけたら、彼女達もどう返事をしたら分からないでしょう。順番に話しかけましょ?そうですね。最初はアルメリアさんから」
流石は学級委員。普通の言葉を選んでる筈なのに、一気に皆を落ち着かせた。
「えー…改めて、皆さんは何処からここにいらしたのです?」
「私達3人とも、聖都アルターより参りました」
答えるのは一番しっかりしてるアシリカ。
ユナに喋らせると、何を言い出すか分かったものじゃ無い。
「えー?!あの、アルター教の総本山?!」
順番が待ちきれないキャロラインが割り込む。
「ええ、まあ…」
「遠路遥々、御苦労様です。まさかあの距離を、馬車で移動…では無いですよね?」
「はい。魔導飛行船に3日程、乗せて貰いました」
「はいはい次私!」
キャロラインの番。
「好きな食べ物って何?」
「私はサツマイモの石焼が大好きです」
「へえー!意外!」
「よく言われます。ユナさんにもメリカさんにも言われました」
「ユナちゃんは?」
「私?私はお鍋の料理が大好き!特に猪鍋なんかもっと大好き!」
「ふむふむ。成る程成る程」
「メリカちゃんは?」
「メ、メリカちゃん?」
ちゃん付けされた事に衝撃を隠せないメリカ。
「あ、ゴメン!嫌だった?」
「嫌じゃ無いけど…そうねえ…猪肉のハンバーグが好きね」
「ユナちゃんとメリカちゃんは肉食だねえ!」
「おーい!そろそろ俺の番!」
12歳のチャラ男、スタン。
「ユナちゃん…いや、ユナさん!」
「?」
「僕と…付き合って下さい!」
本当に12歳か?と思われるかも知れないが、一応スタンも貴族の血を引いてる。
貴族の子息子女は、普通は一桁の年齢…下手したら生まれる前から婚約者が決まっており、付き合いしている。
ただ、この状況は其れを考えてもなお異質だが。
「さあどいたどいた!」
と、此処で熱血少年ガルジュが、時の止まった場の時を動かそうと声を上げる。
「3人は騎士に興味はあるか?!」
「ある!」
最初に声を上げたのはユナ。
「俺は皆の盾となれる騎士を目指してる!じゃあな!」
そのまま去っていった。
嵐の様な少年である。
お次はマルクス少年。
「み、みんなは魔道具に興味ある?ぼ、僕は魔道具が大好きなんだ…」
「魔道具ですか…余りお目にかかった事はありませんが、確かに興味はありますね」
興味を示したのはアシリカ。
魔道具とは、簡単に言えば、魔力を使って何かが出来る道具の事である。
実は道具いじりが好きなアシリカは、前々から結構魔道具に興味があったのだ。
聖都に居た時、小さい頃によく魔道具を分解しては15歳様に叱られ、結果、アシリカの周りには魔道具が一切無くなり、魔道具と接する機会は無くなった。
其処にユナとメリカも来て、彼女らの周りにも魔道具が無いので、まさか、聖女候補が魔道具を分解して遊んでた、などとは言えない。少なくとも、アシリカのプライド的な何かは許さない。
「そ、そうですか…じ、実は僕…結構魔道具を持ってるんだ…よければ…み、見せてあげる…け、けど、分解したり、何処かに持ってっちゃうのはダメですよ…いや、聖女様がそんな事しないとは思いますけど…はい…念の為…」
アシリカは終始笑顔ではあったが、マルクスが話してる最中、目をキラキラさせたり、動揺したり、落胆したりと、中々普段のアシリカからは想像出来ない感じになっている。
「…終わりです…」
マルクス少年の質問?タイムは終わった。
お次は…調子に乗るなと言っていたオルゴ王子。
「…ふん…」
…彼は一匹狼の王子らしい。
「ごめんねー!彼、ヤキモチ妬いてるだけだからー!」
「な?!はぁ?!」
キャロラインがユナ達に代わりに謝るついでに王子を煽る。王子もたじろぐ。
しかし、此のキャロラインと言う少女…一見バカにしか見えないが、ユナ達に、此処では王子とかそう言う身分は関係ない事を瞬時に見せた。
無論、キャロラインは平民や下級貴族などではない為、知ってる者からすればいつもの光景で済む。
が、ユナ達は幾分か気が楽になった。特にアシリカは聖女候補と言う立ち位置の為、王族貴族のしがらみはよく耳にする。警戒しない訳が無い。
まあ、其の警戒心も杞憂に終わった。少なくとも此処では。
次はグレゴリと其の次のマルコ、最後の嵯峨徒は、特に質問したい事は無いらしく、質問しなかった。
こうして質問タイムを終えた皆は、そろそろ9時になるであろう時計の時刻を見て焦り、各々が行きたい講義室へと向かう。
教室には、ユナ達と嵯峨徒が残った。




