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光と闇 〜終わりの始まり〜  作者: シラス王
出立
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門出5-2

何故か途中から話がループし出してるのに気が付いたのでループ部分を消しました。


家事王がキッチンに向かった後、2人は大人しくテーブルについた。


「…」


先程のロボットは言葉を発した。無機質な声では無い、人の様な声だ。ただ、男とも女ともとれない声ではあるが。そして感情の様な物まで兼ね備えている。

メルネスにはゴーレムと呼ばれる、土や岩、金属類で出来た生命体が存在するが、皆一様に大きく鈍重、何より会話は不可能。

しかし、先程のロボットは小さく軽快、会話が出来る。高性能なゴーレムか、はたまた別な物なのか。2人は頭を悩ませると共に、警戒の姿勢を取った。


「…私達の部屋のアレと…同じ?」


口を開いたのはメリカだ。


「いいえ。私達の部屋のゴーレムは一般的なゴーレムの大きさです。話せないし。けど、アレは違います。恐らく、ロストテクノロジーの類です」

「もう…ロストテクノロジーばっかりね…」


アシリカはふと、テーブル上の絵に目が行った。


「…メリカさん。此の絵…」

「ん?…何よ此れ。随分と綺麗な絵ね」

「おや?其の御方の美しさに、食い入る様に見てしまいますか?」


いつの間にか家事王が隣に居た。


「きゃあ?!」

「準備が出来る迄少しお話したくてですね。来ちゃいました。ほら。ちゃんとポットとコップも持ってきましたし」


そう言うと家事王はポットとコップをテーブルに置き、アシリカ達の反対側についた。


「…お茶も入れられるのね」


メリカが呟いた。


「当たり前です。家事ロボットですから」

「ロボット?」

「ゴーレムでは無いのですか?私達の部屋にいる様な」

「はは。そんな岩の塊と一緒にしないで頂きたいですね」

「す、すみません…」

「…ふむふむ。職業が聖女なのに、次期聖女候補とは、不思議ですね」


唐突に家事王が変な事を言い出した。アシリカは家事王に、自身の職業を明かしては居ない。


「え?」

「…聖女様だからか、筋力、持久力、敏捷性が低いですね。しかし、器用さ、知力、運、後は魅力が高い。もし支援専門を目指すのであれば、敏捷性を高めた方が良いですよ。紙装甲ですから、逃げられた方が良い」

「え…あ、あの…」

「ふむ…メリカさんは、戦士にしては筋力が少し低めですね。で、敏捷性と器用さ、持久力、魅力は高い。これなら、盾なんか持ってタンクに徹するよりは、打って出た方が良いです」

「…何を言ってるのよ」

「簡単です。ステータスを覗かせて貰いました」

「す、すてーたす?」

「其の人の能力を数字化して可視化した物です」

「そ、そんな物があるんですか…」

「はい。あれ?となると、まだ自身のステータスを測った事が無いので?」


アシリカがハッと何かを思い出した。


「…あ、聞いた事があります。一部の人は、相手の強さを数値化して見る事が出来ると…」

「そうです。何の魔法だと思います?スキルではありませんよ?」

「?!」


アシリカが驚いた理由。つまり、目の前のロボットは魔法を扱えると言う事になる。

魔法を使えると言う事は、実はとても凄い事なのだ。全ての生物は魔力を多かれ少なかれ有している。

だが、魔法を使うとなると、体内に『魔力回路』を有さなければならなくなる。

此の魔力回路が無ければ、決して魔法は使えない。

そして、魔力回路を有する人は非常に少ない。

1万人居たら1人居るかもと言う確率だ。

更に言えば、アシリカは魔力を感知出来る魔法を使ったのだが、ロボットからは魔力が感じられないのだ。


「そんなにペタペタ触られては、くすぐったくて仕方ありませんよ」


此の言葉で、アシリカはすぐに魔法を解いた。


「…私達の事はジロジロ見たではありませんか」

「気付かなかったでしょう?」

「う…」

「アシリカ様はとても澄んだ魔力をお持ちですが、澄んだ魔力を全然活かしきれてません。ハッキリ言って雑です」

「…」


ボロクソに言われ、アシリカは俯いてしまった。


「…メリカ様は魔法回路をまだお持ちで無い様ですね」

「嫌味?」

「いえいえ…今の人達は知らないんですね」

「?」

「何でですかね。私共の計算では、今頃人類は新たなる技術を多数保持してても可笑しくは無いんですが…其れで、何故勇者様御一行がこんな安全地帯に?戦わなくて宜しいので?」


家事王にしてみれば、勇者は先陣を切って戦場に突撃して行く物らしい。


「…私達にはまだ魔族と戦う力が無い…と判断された為、学園で学び、信頼のおける仲間を見つけろと…」

「…ふむふむ。合理的な判断ですね。…あ。出来ました。熱いのでお気を付けて」

「ありがとうございます」

「…」


アシリカはちゃんとお礼を言うが、メリカは基本的にお礼は言わない。いつもはアシリカかユナが注意するが、其れを咎めたのは家事王だった。


「メリカ様。ちゃんと、ありがとうと言う様にして下さい」

「は?アンタには関係無いでしょ?」

「挨拶の一つも出来ない者は、見放されます」

「…」

「見放されたらどうなるか、身を以って感じたでしょう?」

「…訳の分かんない事をベラベラ続けるなら、バラバラにするわよ」


メリカはそう言いながら家事王にガンを飛ばした。其れを見た家事王は、特に動じず、淡々と言葉を続けた。


「1つ、釘を刺しておきます。貴女の目からは何かしらへの憎悪が見て取れますが、その憎悪は捨てる事をお勧めしますよ。でなければ、自分を捨てるのは貴女自身になる」


其の言葉を聞いた瞬間、メリカはバッと立ち、家事王に殴り掛かろうとした。


「メリカさん!」


アシリカが既の所で止めたが、メリカはアシリカの拘束を無理矢理にでも剥がそうとする。


「黙れ此の鉄屑!アシリカも離して!」

「ダメです!落ち着いて下さい!」

「メリカ様。本当に、憎悪は身を滅ぼします。実際、そうなった者は幾らでも居ます。私はメリカ様を挑発したいのでは無く、心配してるのです」

「…なら…」

「?」

「なら、ユナは如何なのよ!ユナにだって復讐したい相手が居るのよ!」


メリカは、いつしかユナから聞いた奴の話を持ち出した。

其の時のユナの顔は、とても日頃のユナからは想像出来ない、険しい顔だった。


「おやおや。ユナ様が?とても綺麗な目をしていらしたのに…」

「話を逸らすな!」

「…その話が本当なら、メリカ様みたいに行動に移さない分、爆発した時が怖い」

「…」

「だからこそ、メリカ様。貴女が手本になってやって下さい」

「手本?」

「そう。手本です」

「具体的にどんな?」

「さあ」

「はぁ?!」

「私が教える事ではありません。御自分で探して下さい。ユナ様の何の手本になれるのか」

「…アイツの為になる事なんか、死んでもゴメンだわ」

「ありゃりゃ。アシリカ様も苦労しますね」

「全くです…」

「ま、お茶でも飲みつつ愚痴って下さい」

「いただきます…」


アシリカはそう言うとお茶を飲みつつ、愚痴を零し始めた。


「…ユナさんは少し自由過ぎるんですよ…其の癖、色々とダメな所満載だし…前なんか洗濯手伝うとか言って大惨事起こしたし…外での実践訓練でも1人突っ込んでっちゃって危なくなったし…直ぐにサボろうとする癖に変な所だけは真面目だし…はぁ…」

「…」

「メリカさんもメリカさんです…喧嘩する程仲が良いとか言いますけど、喧嘩し過ぎなんです…周りへの被害とか考えて下さい…と言うかしょうもない事で喧嘩しないで下さいよ…何ですか…ソーセージとハンバーグの為に、お皿何枚割ったんですか…訓練でもそうです…ユナさんと何回も口喧嘩するし…其の度にモンスターに襲われそうになるし…」


其の後も、時々頭を抱えたりしながら、アシリカの愚痴は続いた。

メリカも時々ムッとしたりしたが、日頃から世話になってる為、言い返す事は無かった。

家事王は特に何も言わずにアシリカの愚痴を聞いた。


……


殆どの愚痴を言い終えた所で、アシリカは紅茶を一口飲み、1つ溜息をした。


「…ユナさんのお兄さんも、こんな気持ちだったんですかね…」

「ユナ様の兄上の?」

「全然言う事を聞かない…我儘で、手が掛かって…でも放って置けなくて…まるで出来の悪い妹を持ったみたいなんです」

「…成る程」

「いえ…もしかしたら…未だ顔も名前も知らない妹の姿を、ユナさん達に重ねてるだけかも知れないんです…勿論、私が勝手に思ってるだけです…」

「…それで良いんじゃ無いですか?」

「え?」

「勝手に思ってて良いんです。別にユナ様もメリカ様も、そう思われても不快では無いでしょうから。ね?」


家事王はメリカの方を見た。


「…まあ、別に良いわよ」


メリカは照れ臭そうに答えた。


「…お姉ちゃんって呼んでくれて良いんですよ?」


アシリカが揶揄うように言った。


「全力で拒否するわ」


勿論メリカは拒否する。何故なら、メリカが姉と慕うのは1人だけだからだ。


「…」


其の光景を家事王はまるで、何かを懐かしむ様に眺めた。基本的に表情などは家事王には無いが、雰囲気で分かるのだ。


「…ふあーーー…うーん…」


其の場に、呑気な欠伸をしながらユナが来た。


「あ!ユナさん!」

「随分と眠そうね…」

「…あれ…何でアシリカちゃんとメリカが居るの…?」

「御教授します」


…かくかくしかじか…


「うーん…良く分からないけど凄いんだね…」


未だ眠そうだ。話の九割九分は理解していないだろう。


「アシリカちゃんが大変そうにしてるのは分かった…」

「ユナさん♪私の事、お姉さんって呼んでくれても良いんですよ♪」

「お姉さんはシャロンお姉さんだけだもん…」

「…」


ユナなら自分を姉と呼んでくれると思ってたのか、アシリカは酷く落胆した。


「ユナ…お世辞でも良いからお姉さんと呼んであげて…」

「うーん…アシリカお姉さん…」

「はい!」


アシリカが一瞬で元気になった。


「(チョロいわね。)」


メリカは、アシリカに怒られた際には、上っ面だけでもお姉さんと呼ぼうと考えた。

悪知恵だけは一丁前なのだ。


「ふあーーー…」

「…そろそろお帰り下さい。明日から学校でしょう?ゆっくり休んで下さい。あ。キチンとお風呂には入って下さいよ」

「ありがとうございました。お茶がとても美味しかったです」

「今は手元に安物しか無くてすみません。今度来た時にはもっと香りの良い物を用意しておきますので」

「安物ではアレ程の香りと味は中々出せませんよ…」


アシリカは紅茶の味と香りを思い出しつつそう告げた。いつか、聖都アルターに居た時に飲んだ最高級茶葉を使った紅茶に匹敵するレベルなのだから。


「その…じゃあね」

「偉い偉い。何時でも…とは言いませんが、いらして下さい。キチンと成長していればお祝いしますので」

「またねー…おやすみ…ふぁー…なさい…」


大きな欠伸をしつつも、キチンと挨拶はする。


「おやすみなさい」

「おやすみ」


2人は詠唱を始めた。


「ちょっと待って下さい何やってんですか?」


家事王が2人の詠唱を聞いて慌てて止めた。


「何って…部屋に戻る為の詠唱だけど…」

「リターンと唱えれば戻れます。誰かの部屋に行く際は、トラベルの後に其の人の名前。外に出る際は、リーブです」

「え?そうなの?」

「長ったらしい詠唱をするより楽でしょう?」

「…確かにね。ありがとうね、助かったわ」

「ありがとうございます」

「いえいえ」

「リターン」


2人とも消えた。


「さ。ユナ様、ベッドに…」

「ううーん…」


少し唸ると、ユナは家事王にもたれ掛かった。


「…あったかーい…」

「…やれやれ…手の掛かる方ですよ」


また器用に6本の腕でユナを抱え、ベッドに寝かし付けた。


「スー…スー…」


家事王はユナの心地良さそうな寝顔を確認した後に、ユナにクリーンの魔法を掛け、家事王は寝室を後にした。


例え夜でも、家事王の仕事は終わらない。飲んだ後を片付け、食器を洗い、テーブルを拭き、洗濯物の渇き具合を確認し、床を隅々まで拭く。

部屋の主が何時でも快適に暮らせる様に。誰に見られても恥ずかしく無い様に。



………



夜が明け、日が昇る。ユナの朝は早い。日の出と共に起きる…筈だった。


「ユナ様ー!日が昇りました!起きて下さい!」


そう言って家事王は大声を出すが、ユナは布団から出て来ない。


「後10分…」

「アシリカ様の愚痴にありましたよ!日の出になっても起きないって!起きて下さい!」

「いやーだー…」

「…」


家事王は無言で寝室から一回出ると、フライパンとお玉を持って来た。

其れを名一杯鳴らした。


「お、き、て、く、だ、さ、い!」


流石に煩いのか、ユナは布団から渋々出て来た。


「耳がキーンってする…」

「早く起きないのが悪いんです!さ!朝の歯磨きですよ!」

「はーい…」


家事王に引っ張られながら洗面所まで連れて行かれた。


「歯ブラシと歯磨き粉です!」

「…ナニコレ…?」

「何を言うんですか!使って下さい!」

「…」


ユナは歯磨き粉が入ったチューブを見て、暫くしてから歯ブラシに付け、磨き始めた。

が、唐突に歯磨き粉を吐き出した。


「ペッ!何これ?!辛い!」

「辛くありません!」

「なんかスースーしてやだ!」

「文句言わずに付けて下さい!」

「…うう…」


歯磨き粉のミントに我慢しつつ、歯を磨いた。


「舌がヒリヒリするー…」

「慣れて下さい」


磨き終わった後はリビングで朝食だ。


「ホットドッグです」

「ほっとどっぐ?」

「ソーセージを挟んだパンです」

「頂きまーす!」


ソーセージ好きのユナにとっては堪らない食べ物だ。


「美味しい!」

「良かったです」

「おかわり!」

「早!」


結局ユナは6本のホットドッグを平らげ、リンゴジュースを飲んだ。


食事の後は食器洗い。時々危なそうになるが、良い塩梅で家事王が止め、ダメな所を指摘する。


食器洗いが終わったら制服に着替える。


ユナは制服を着た自分の姿を鏡で見て、時々ポーズを取ったりしている。

気に入ったのだろう。

時々家事王に感想を求めたりもする。


「…そろそろ外に出た方が宜しいですかね」

「本当?」

「はい。アシリカ様もメリカ様も御自分の部屋を出て、外に居ます」

「分かった!えーとえーと…」


ユナは自分の鞄を探すが、見付からない。


「あれ?!何処言っちゃったの?!」

「鏡の影に隠れてますよ」


見ると、それなりの容量がありそうな鞄が隠れていた。

中身は何も入ってないが。


「あ!本当だ!ありがとう!」

「早く行って下さい。待たせるのは褒められた行為ではありません」

「そうだよね!行って来ます!」

「行ってらっしゃいませ」

「リーブ!」



景色が部屋から草原に変わる。


「ユナさーん!此処でーす!」


声がした方を見ると、アシリカが手を振って居た。


「今行く!」

「ユナさん制服似合ってるね!」

「でしょ?アシリカちゃんも良いじゃん!」

「其れ程でも〜…えへへ…」

「…ふん」


メリカは不貞腐れたように鼻を鳴らした。

2人が見てみると、何か言って欲しそうな雰囲気を出して居た。リボンが付いてないのは御愛嬌。


「メリカも似合ってるんじゃないの?」

「私もそう思います」

「ふ、ふん!」


褒められて嬉しかったのかそっぽを向いてしまった。


「おーい!」


クロームが来た。


「一番乗りな自信があったんだがな。こりゃ残念だ。さて。早速学園内を案内してやる。ついて来な」


今日この時から、ユナ達の波乱万丈な学園生活が始まるのであった。




前回に引き続き長くなってしまいました。


ユナ達の学園編(仮)の前に、此れまで登場した人物紹介を書きます。


決して、忘れた時の確認用ではありません。

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