プロローグ 終点の始点
初めまして。シラス王です。今回はこの拙い小説を読もうと思って下さり、誠に有り難うございます。初めてで色々と分かり辛い部分があると思いますが、何とぞ宜しくお願いします。分かり辛い部分や変な部分があれば、幾らでも指摘して下さい。改善するよう努力します。宜しくお願いします。
此処は名も無き小さな森。
遠方には山が見え、川が流れている、ザ・森と言った感じの森だ。日は既に沈み、夜空には雲一つ無く、満点の星空が広がっている。
そんな森からは、煌々と輝くオレンジ色の炎が見える。其の炎の正体は、火事。何が燃えてるのか。目を凝らせば分かる。
燃えてるのは、森の中にポツンとある教会だ。教会の周りには、白銀の西洋風な甲冑に身を包んだ騎士達と、神父と思わしき者、そして何人もの子供達が騎士達に保護される形で居る。子供達は皆、教会の方を見ながら、「シスター!シスター!」と叫ぶ。
直後、炎の中から黒い触手が何本も飛び出してきた。其の触手の先には胴体を貫かれた騎士達が。
恐らく、燃えてる教会内に取り残された者を探していたのだろう。何とも不安な事だ。触手が何本も出て来た事により、教会の壁の一部分が崩れた。そうして見えた物は、凄惨たる現場だ。
何人もの子供達が、斬撃で体を切られたのか、そんな傷を負いながら倒れており、其の直ぐ近くには、1人の美しい修道女が血の海の中に倒れていた。修道女は胴部に幾つもの刺された跡が残っている。一つ一つの跡は、剣で刺された物にしては少し大きな物に感じられる。其の修道女の側に居たのは、黒い人型の何か。人型の何かから黒いオーラが放出されてる様に見える。
その人型から先程の触手が伸びていた。
全身黒色で、誰かを特徴付けるパーツは殆ど見受けられない。唯一の特徴として、目の部分が赤く光り、一筋の赤い線が両目尻から頰にかけて光っている。
そんな中、ある声がその場に響いた。
「返せ!」
まだ幼い少女の声だ。煤に汚れてもなお美しい白髪と、金色に輝く虹彩を持った少女だ。続けて叫んだ。
「シスターを返せ!みんなを返せ!」
其の声を聞いた黒い何かは、少女の方を振り向いた。
「何より…何より…お兄ちゃんを返せ!私だけの…私だけのお兄ちゃんを返せ化け物!」
如何やら、此の少女の兄は、教会内で転がっている死体のどれかの様だ。其れを聞いた黒い何かは、少女の言葉が癪に触ったのか、少女に近付く。其れを見て少女は最後にこう叫んだ。
「来るなバケモノ!死んじゃえ!シスターを…みんなを…お兄ちゃんを殺す様なお前なんか…」
少女の心にドス黒い感情が噴き出す。
「絶対に…許さない…殺す…殺してやる…地の果てまで追い詰めて殺してやるっ!」
そう叫ばれた黒い何かは動きを止め、直後に消え去った。其れを見た少女は泣き叫んだ。そうして其の場に残ったのは、少女の叫び声と、騎士達と子供達、修道女の死体と、焼けてる教会から発せられてる焦げ臭い臭いだけだった。
…
此の時、世界の運命の歯車が動き出した。
元より歯車は其処にあった。しかし、歯車は今まで動かなかった。無かったのだ。動き出す為のきっかけが。
其のきっかけとは何だったか。
少女の叫びか?黒い何かの出現か?少女の兄の死か?
其れとももっと別の何かか?
何がきっかけだったかは、誰にも分からない。
今迄動かなかった歯車達は、其の何かも分からぬきっかけに敏感に反応した。
ある歯車は納得した。
「…なるほど…遂に…約束は…果たされなかった…のか…」
ある歯車は激しく怒った。
「…奴か!クソ!クソ!クソ!ふざけるな!我らがせっかく…クソ!今度こそ!今度こそは!」
ある歯車は悲しんだ。
「……ああ…何と言う事でしょうか…こんな事が…」
ある歯車は歓喜…いや、狂喜した。
「…クククク…ガハハハハハハハハ!!ハァッハッハッハ!ようやく!ようやくだな!二千年間も待たせやがって!何が来る!何が起こる?!そんなにこの世界が憎いか?!そんなにこの世界が恋しいか?!じゃあ、この世界の行く末は何処なんだろうな!ガハハ!!こいつは愉快だぜ!ガハハハハハハ!!」
後に、少女は勇者となり、黒い何かと再開する事になる。だが其れは少し遠い未来での話。此の物語は、母代わりとなった修道女と親しい友達、そして最愛の兄を殺された少女と黒い何か、そして世界を巡る、最後の物語だ。
少女の目の色を金色に変更しました。
他の話で少女の目が黄色になってたら、誤字報告として教えて頂けると幸いです。
気に入って頂けましたら高評価宜しくお願いします。