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こんな異世界、お兄さんは認めません!  作者: アカポッポ
第一章 いざ異世界へ!
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Part5 第一・第二少女発見!

 デービスが居た砂漠とは打って変わって、俺は鬱蒼とした森に放り出された。

 いや、どこですのん、ここ?


「おいパース、どういう事だ!?」


 そう問い詰めてみるも、彼も棒立ちするばかりで直ぐに返事は返ってこない。

 もしかして、こいつにとっても想定外なのか?


「すまない。どうやら、君を転送させられるのはここまでが限界のようだ」

「ど、どういう事?」

「どうも、強いオドを持っていなかった君を転送させるのに多量のマナを使ったようでね。今の君のオドは強くなっているが、それでもここまでが限度といったところか。これまでこんな経験は無かったから、自分でも少し驚いている」


 驚いているなんて言う割には、えらく無感情に話すよなぁ、アンタ。

 ま、それはともかく。


「そうか、まあそういう事なら仕方ないか。その、アンタのマナが回復するまで――」

「だが私には、時間が惜しい。役割も果たしたことだ、君とこれ以上一緒に居る意味もない」

「え?」


 いやいやいや、俺自宅に帰れてないよ!?

 何勝手にミッションコンプリートした気になってんのさ!?


「――ふむ、そうか。なら大丈夫だ。彼から授かった力があれば、君も元の世界に帰れる事だろう」


 突然変な電波を受信して、勝手に納得しないで貰えます!?


「い、いや、ちょっと待てって!」


 慌ててパースの手を掴む。このままどっかに行かれたら大問題だ。


「どうやったらここから出られるんだ?」

「ああそうだな、いくら何でも不親切と言う物か」


 わ、分かってくれたのか......?

 マントの中に手を突っ込み、何かを探すパース。

 羽織っている厨二マントは物が仕舞えるような感じには見えないが、マントから出た彼の手には白紙とペンが握られていた。

 と、パースは流れるような速さでペンを走らせる。横から見る限り地図のようだ。


「これが、この周辺の地図だ」


 ほうほう。


「私達が今いるのは、この森の中だ」


 ......めっちゃ森広いんですけど。


「そして、この建物にある鏡が君の部屋の鏡と繋がっている」


 どの方角に向かって進めば、その建物に辿り着けるか分からないんですけど。


「以上だ。 私はこれにて」


 結局何も分からないんですケドッ!?


 いやいやふざけるなし! キチンと説明を――

 って、ボッシュートされるひ○し君人形みたく、地面にヌル~っと沈んでいっとるし!


「ちょいと待てやぁい!」


 あともう少しで完全に消えてしまいそうなパースの、その髪の毛を鷲掴みにして詰め寄る。

 傍から見れば砂埋めした人間を脅すヤクザみたいな構図になっているが、そんな事を気にしていられる場合じゃない。


「何だね」


 謎空間から首だけニュッと出したパースの声からは、若干の不満が表れていた。

 というか、初めて感情っぽいものを表にしたな、コイツ。


「もうちょっと話す事があるんじゃないか?」


 見ず知らずの森の中に突然放り出されるなんて、詰みゲーも良いところ。

 せめてここが何処なのか正確に掴まないと、俺の人生が異世界でひっそり幕を閉じ兼ねない。

 それだけはマジ勘弁。


「ああ、肝心な事を言い忘れていた」

「と、言うと?」

「私や先日の彼、デービスに会った事は一切口外しないように。それと、君が異世界人だという事も言わないように頼むよ。話そうとするとペナルティがあるから、気を付ける事だ」

「え、それってどういう......」

「では」

「ちょまっ――」


 戸惑う俺をよそに、パースの髪はスルリと手を通り抜け、彼は文字通り地面に消えていった。

 や、やりやがった! マジで放置して去りやがったぞ、アイツ!?

 ザッケンナコラー!


◇◇◇◇◇


「くそぉ、パースの......ワトソンの分際でよぉ!」


 不機嫌な俺は、喚き散らしながら森の中を彷徨っていた。


「知らない森の中に放置しやがって。お前は本当に案内する気があるのかとと問いたい。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい」


 もうマヂ許さん。ハルトさんカム着火インフェルノですよ。

 で、何故ここまで不満をぶちまけながら歩いているのかと言うと、ぶっちゃけ寂しいからである。

 鬱蒼とした森の中、黙って進むの怖いじゃん? 

 大声出してると誰か気付いてくれるかなー、なんて期待しているが、全然反応ないんだなこれが。


[バリバリバリッ......ドドーン]


「およ?」


 と、突如森の中に鳴り響く轟音と振動。もしかして誰かいるのか?

 ひょっこり茂みから顔を覗かして様子を見ると、木の幹に寄り掛かった二人の少女が、少しばかり開けた場所で中型犬に取り囲まれている。

 一人は中学生ぐらい、もうひとりは高校生ぐらいだろうか。

 ワンコの後ろには倒れた木があり、その断面からして鋭利な刃物で切られたようだった。

 さっきの音はコレが原因らしい。

 で、問題のワンコの数は三、四、五.....


「!?」


 うお、地面からにょっきり出てきた!? このワンコら生物じゃなくて魔物か!?

 と言うか今大声で叫んでしまったが、よく襲われずに済んだな、なんて。

 その強運がマークテストで発揮されれば……

 いやいや、そんな事考えてる暇じゃない、あの少女達を助けなくては!


 しかし、どうやって?

 ......


 アレだ、もう一回気合を入れて、右腕を思い切り振ってみるんだ。

 それで無理なら……どうしようか。

 等と考えている内に、魔物の一匹が少女達に飛び掛かる。

 ええい、ままよ! もうどうにでもなれ!


「おりゃあ!」


 若干の不安を抱きつつ、俺は犬の魔物目掛けて右手を振る。


 ――結論を言えば、心配する必要は無かった。


 俺の右手からは火炎放射器もビックリな火力の焔が放出され、それに飲み込まれた魔物は一瞬にして塵と化したからだ。


「おおお......!」


 すげぇ、すげぇぞ魔法の力!

 思わず、感極まってその場で棒立ちしてしまう。

 本当は反撃に備えるべきなのかもしれないが、その火力にビビったのか、残った魔物は森の中に退散して行った。

 それと、忘れてはいけないのがもう一点。というかコレが本題か。


「えっと、大丈夫か?」


 茂みから身を出して、少女達に駆け寄る。


「ありがとう、助かったわ」


 一人の少女――中学生ぐらいに見える子の方――がやや吊り上がりつつもパッチリ開いた目をこちらに向け、俺の手を取り立ち上がる。

 もう一人の少女は少女が倒れないよう、胴に手を優しく添えていた。


 触れた少女の指は細く、柔らかな感触や白い肌も相まって、品の高さを感じさせる。

 肩まで伸びるやや栗色を帯びた黒髪は、しっかりと手入れされているのが一目で分かる程、黒く艶やかで。

 胸元には黒色のリボンを付け、控えめにもフリルがあしらわれた白地のブラウスと、灰色のスカートを身に纏っていた。

 ブラウスの前襟にはボタンが無い仕様になっているし、いわゆるお嬢様というやつだろう。


 もう一人の少女は黒く細長いネクタイを首から下げ、白地のシャツをインナーに黒の燕尾服を着ていた。下もスカートではなく、黒のズボンだ。

 ニキビ跡やシミ・ソバカスが無く、大人しい形の目や鼻が小さな顔に収められている。

 ショートボブの髪も綺麗に整えられており、普通に女の子の格好をさせれば、こちらも中々の美少女だろう。


 だからこそか、スーツ姿にも映えがある。

 スラリと伸びた手足も相まって、引き締まった雰囲気を感じさせた。

 女性なのに、メイドと言うよりバトラーのよう。

 が、そんな凛々しい雰囲気にアクセントを加えるが如く、右の前髪には小さな造花の付いた髪留めを刺している。


「えっと、私達の顔に何かついてる?」

「ああいや、なにも」


 お嬢様の方が、ぼーっとしている俺の様子を伺ってきた。

 ザ・お嬢様って感じで凄く絵になってたから、つい見とれてしまってたみたいだ。


「それで、どうしてこんな所にいた訳?」

「ど、どうしてとは?」

「さっきやっつけてくれたけど、ここって魔物出るじゃない? 特に用事がないんだったら、入らないような場所なんだけど」


 え、そうなのか? まずったな、どうやって説明しようか。

 パースの事は話すなって言われてるし、なんとか誤魔化すしかない。

 ……そうだ、あの地図を見せよう。


「一人暮らししている妹に会いに行く途中でさ。この建物に行きたいんだ」


 お嬢様と言えど、来たばかりの俺よりかはこの辺りの地理に詳しいだろう。

 それか、お付きのバトラー少女が答えてくれたら良い。

 ごまかしつつ、目的もしっかり達成できる嘘だ。

 どうした今日の俺、結構頭が冴えているじゃないか、へへ......へ?

  

『「............」「............」』


 あら、お二人ともそんなにお眉間におシワを寄せて、お綺麗なお顔がお台無しですわよ? お? 


「この建物、私達の住んでるお屋敷なんだけど......」


 ヲッ!?


 マジかよ、てっきりちょいと大きなペンションか何かかと思ってた。

 ハルトさんびっくりしましたって。


「本当は何が目的な訳? アンタ、本当は私をさらいに来たとか......」


 お嬢様のジットリとした視線が突き刺さる。


 ヤバイ、疑われている。

 この様子だと道案内はおろか、この森を出られるかも怪しくなってくる。

 何とかなりませんかバトラーさん、今頼れるのはアナタぐらいなんですが。

 と訴えかける視線を送ると、やや眉をひそめたバトラーさんが口を開いた。


「お嬢様、それは無いかと。お屋敷の事すら知らないこの男が誘拐など、万に一つもありません」

「それもそうね」


 それは俺を助けてくれたのか? それとも小馬鹿にしているだけなのか?

 終始無表情なこのバトラー少女が何を考えているのか、イマイチ掴めない。


「確かにお屋敷だとは知らなかったけど......でも妹の事を知ってる人が、ここに行けって言ったんだ。信じてくれ」


 嘘()言ってない。

 これならパースの事をギリしゃべってないし、セーフなはずだ。


「ふーん......。まあいいわ、私達を助けてくれたのは事実だし」


 よっしゃ、首の皮一枚でつながった! 


「ありがとう、じゃあお屋敷に向かおうか」

「そうね」


 ふぅ、これでなんとか帰れそうだ。

 さあこんな森とはオサラバして、鼻歌混じりに帰路へ着き......?

 あれ、どうして歩き出さないんです? まるで俺が歩き出すのを待ってるような......


「あら、女性を前に立たせるつもりなの?」

「いや、向かうよ? 向かいたいんだけど......え、道知ってるんだろ? 教えてくれよ」


「............」

「............」


『「アンタ、もしかして迷ってるの!?」「お前、迷子になってるのか!?」』


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