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こんな異世界、お兄さんは認めません!  作者: アカポッポ
第三章 『6.05 常明学園襲撃事件』
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Part7 オモシロ高のやべーやつ


 約束の水曜日。俺は時間の10分前に待ち合わせ場所に待機していた。

 ちなみに調査の件をアリスに話すと『私も行きたい』と言っていたのだが、流石に学校をサボる訳にはいかず、あえなく却下された。


「おはようございます! やー、何とか天気も持ってくれましたね。良かった良かった」


 と、ぼんやり山とかを眺めていた所にニーナが到着。こっちが何も言っていないのに勝手に話し出すとは、相変わらずやかましい。


「おや、どうかしましたか?」

「いや、何でもない。じゃあ行きますかね」


 ......おまけに着てる服まで、上はチェック柄のシャツ、下はジーンズと来た。

 いや、そりゃ『女子だからオシャレしろ』とか言うつもりは無いですよ? ないんだが......

 なんだろう、()()()()()()()を抱かせる余裕すら与えないのは、一周回って凄い気がしてきた。


「そう言えば前言いかけたんだが、ニーナは学校ないのか?」


 西に向かう電車での移動中、気になってた事を聞いてみる。


「私ですか? もちろんありますよ?」

「え、それじゃあ抜けて来てるってコトか?」

「ま、そうとも言いますね」


 そうとしか言えんだろ!


「でもご安心を。本日の主代高校 二年生は、課外授業で外出中なのです!」

「つ、つまり?」

「鈍いですねぇ、抜け出してもバレにくいってコトですよ!」


 顔の前でグーサインをスライドさせるニーナ。

 んー、全然安心できない。

 これもし補導されたら、俺の責任にもなり兼ねんよな。マジでコワイんだが。


「と言うか、わざわざ学校抜ける必要なんて無かっただろ。休日に友達と出かけてる所を追いかけるとか、そう言う考えは無かったのか?」

「おや、公然とストーカー推奨発言ですか? ここ公共の場ですよぉ?」


 ニシシ、と笑うニーナ。平然と学校抜け出してるお前には言われたかねーよ。


「ま、確かにその意見は分かります。これまでならそうして来たんですけど......ソラさん、とてつもなくガードが高いんですよ」

「ガードが高い? ソラが?」

「おや、ハルトさんと居た頃はそうでは無かったのですか? まあ今はどうでも良いのですが。端的に言うと、学校から外に出ようとしないんです。放課後は高校の学生寮に直行してますし、休日に出掛けている様子は一切なし。学校が無かったらずーっと籠ってるんです」

「エ゛ッ、マジか......」


 なんだその準引き籠りみたいな生活スタイル。

 確かに女性だってバレないようにするには良い手だとは思うが、少々行き過ぎてる感がある。

 こりゃ益々心配だな......。


「その反応、昔は違ったんですね?」

「あ、ああ。地元に居た頃は、普通に友達とも出かけてた。と言うか、そっちの方が多かったと思うんだが」

「ほうほう、つまりこちらに来てから様子が変わった、と。情報提供ありがとうございます......」


 手帳を取り出し、熱心に書き込むニーナ。

 余計な事を喋った気がするけど、これぐらいなら許してほしいな、ってお兄ちゃんは思います。


「しかしアレですねぇ、んふふ」

「? 何だ?」

「いやねぇ、ソラさんの事になれば目の色が変わるな、と。なーんかあるんですか? ん? ん?」

「......どういう期待の仕方をしてるのかは敢えて口にしないが、多分そう言うのじゃないぞ」

「えー、ホントですかぁ~?」


 コイツ、息を吐く度に気持ちを逆なでしないと死んだりする人種なのか?


「ホントだ。ソラとは小さい頃からずっと一緒だったし、家族の一員だ。それ以外の何でもないよ」


 父さんや母さんが忘れていたとしても。

 異世界に来て名前を変えていたとしても。

 これまでの絆や思い出が無くなる訳じゃない。

 無くすつもりもない。これは決定事項だ。


「仲の良い兄弟のようなものだ、と?」

「まあな」

「そうですか。んー、兄弟姉妹なんて、ソリが合わないか或いは喧嘩ばっかりするものだと思ってたんですけどねぇ」

「間違ってはいないと思うけど、ま、こういう兄弟もあるんだよ」


 ふーん、と声を上げるニーナ。


「でも気を付けてくださいね? ソラさん相手だと、そういう目を向けられるかもですから」

「どういう意味だよ、そりゃ」

「ハルトさんにもその内分かりますよ♪」


 何だその意味深な発言。まあ分かるなら良いんだが。......いや、分からない方がいいやも。


 などとやり取りしていると、目的の駅に着いた。

 ソラが通う高校は名前を常明学園と言い、私立の高校らしい。

 場所は駅から歩いて10分ぐらいの場所で、交通の便には困らない感じだ。


「なんか学校ばっかりだな。いわゆる学園都市、ってやつか」

「ええ。ソラさんが通う学校は、まあ普通の進学高校ですね」

「そりゃオモシロ高校と比べたら何でも普通になるんだろうけど......ちなみに、主代高校もこの辺りにあるのか?」

「いえ、我が母校は別の場所です。ハルトさんの住んでる場所からちょっと西に行って、その後南にある小島に渡る感じですねー。さて、と。着きましたよ?」


 そう言って、ニーナは足を止める。

 目の前にあるのはただの公衆トイレだが......


「ん? あそこの高校ってコトか?」

「いえ、そこじゃないですよ。常明学園までは、もう数分歩かないといけません」

「だよな、じゃあどういう......あ、そうか」


 右手には、少し高めの雑居ビルがある。

 なるほど、ここの屋上から様子を観察するのか。

 高校の内部を盗み見するのは気が引けるが、ソラが高校から出ない以上、こうするしかない、と。

 まあでも、ニーナの性格的に高校に殴り込むとか言いそうだったし、それと比べればマシだな。

 良かった良かった。


「じゃあ、私は準備に取り掛かりますので。ちょ~っと待っててくださいね?」


 そう言って、ニーナはトイレの中へと入る。

 トイレで準備? 少し大げさな言い方だが......


「よっ、ほっ」


 トイレの中からドン、ガタンと言う音が聞こえる。かと思ったら、今度はガサゴソと衣擦れの音。

 な、何が起こってるんだ?


「ふぃー、お待たせしました~」

「何してた......って、誰だお前は!?」


 再び目の前に現れた者の姿を見て、俺は思わず声を上げる。

 そこに居たのは、食堂のおばちゃんが被ってそうな帽子に黒のサングラスとマスクを装着し、ヒョウ柄のシャツとぶかぶかのジーンズを着たニーナの姿だった。

 あと、よほど詰め物でもしているのか、かなり着ぶくれしている印象がある。

 某大物オカマ芸人を一段と怪しくしたような感じのルックスだ。


「な、なんだその恰好は......」

「よくぞ聞いてくれました! これはニーナさんの変装レパートリーの一つ、『伝説の清掃員 クリーナーマスターニーナ』です!」

「違う、そうじゃない」


 確かに方にモップを担いでいるから、清掃員っぽい感じはあるが。


「なぜこんなものを隠していたのに気付かれ無かったのか、という事ですね! 仕方ありません、教えてあげましょう! この公衆トイレに清掃員が来るのは、毎日朝六時と夕方の六時。つまり、その間に清掃用具入れに何かを隠していたとしてもバレないんです!」

「そーじゃねーよ! 何でそんな恰好してるのか、って話だよ!」

「虎穴に入らずんば虎子を得ず、です!」

「訳わかんねーよ!」


 さっきから全然答えになってない。

 ツッコミすぎて酸欠になりそうだ。

 

「まあまあ、そう興奮せずに。いいですか、ハルトさん? ソラさんは高校からは出てこない、ガードの固い方なんです」

「それはさっき聞いたけど......え、まさか」

「聞き直す必要ありますか? この恰好で、常明学園に突撃するんですよ!」

「はあああああああああ!?」


 ターゲットが高校から出てこないなら、こっちから殴り込めばいいじゃない、という話らしい。

 ナールホドォ~......じゃねーよ!

 こんな奇天烈な恰好で凸るとか、ヤバイ奴以外の何物でもねーよ!

 ぶっ飛びすぎだろ、オモシロ高校舐めてたわ!


「近くの建物から観察するとか、そういう穏やかな方法は無かったのか!?」

「もうそんな段階じゃないんですって。外から見て分かる事は、もうクールフォトP1000を使って押さえてあるんですから。さ、行きますよ~」

「おい嘘だろ! おい!」


 流されるようについて来た、ソラへの取材。

 だがその内容は、予想の遥か斜め上を行くものになりそうだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ニーナさん、面白すぎる!! 今までで一番、生き生きしてるキャラクターな気がします(笑)。 妹好きなハルトくんすら振り回す強烈っぷり(*≧∀≦*)!! 主代高校が「オモシロ高校」としか読めな…
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