見覚えないやつに恋をしたらしい蒼井さん。
「はぁ・・・」
青く晴れた空を眺めながら
蒼井 梨香子はため息をつく。
「1時間目から算数とか・・・」
梨香子は大の算数が苦手であった。
その実績は小学生のテストなのに見事に0点。
キーンコーンカーンコーン
「はいはーい!皆さん席に着いてー!」
ややテンション高めの先生が笑顔で言う。
「今日は算数の授業もするんだけど
前半は席替えをしようと思うの!」
先生の言葉に皆酷く反応しわーいだのやったーだの叫んでいる。
「席替えね・・・」
梨香子も算数の授業が潰れるなら嬉しくはあった。
「蒼井さんはここですね。教卓の前」
仕方なく梨香子は教卓の前へ・・・すると・・・
いい香りとともに梨香子の隣に現れたのは色白の美少年。
なのに梨香子はその少年に見覚えがなかった。
「よろしく・・・」
少年がそう言うもんだから梨香子も慌てて
「ふぁっ・・・よ、よろしくお願いします!」
となかなか片言な日本語で返す。
「それでは授業始めますね!早速ですが問題です!
教科書46ページを開いてください。」
「うわ・・・早速難問」
梨香子は算数が苦手なもんだから
問題はなんでも難問だと感じてしまう。
しかし、時間も時間
他の生徒はどんどんこの難問??にクリアしてしまうわけだ・・・
「どうしよう・・・」
そのときだった・・・
「ここの問題・・・6cm²じゃなくて12cm²な・・・」
そう、隣の席の少年だった。
「は・・・はっはい!」
少年の教え方もまぁ珍しいこと珍しいこと
後ろから見たら梨香子に抱きついているかのようにも
見えるような体勢で教えている。
そんな体勢で教えられても緊張してなかなか頭に入ってこない。
そして、その距離も近いこと近いこと。
梨香子は緊張して顔が真っ赤なりんごのように熟れた。
「で、そうすると答えが12cm²になる。」
「あ・・・ありがとう!その・・・教えてくれて。」
片言だったが梨香子なりに感謝を伝えたと思われた。
「・・・」
少年は少し頬を染めて目をそらす。
梨香子も俯いたまま顔を上げきれない
キーンコーンカーンコーン
ねぇ、梨香子?これが恋なの?
わからないけど梨香子は違和感があった。
その少年に恋をしたかも・・・なんて考えたり。
蒼井梨香子(小4)無事 恋に溺れる
なを恋した少年の名前は未だわかっておらず。