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転生チートってお約束じゃないの?  作者: ちょき
少年期
9/18

解放

後ろを振り向くとカイがサリーに剣を突き立てていた。

カイはサリーから剣を抜くとサリーの体が地面に崩れ落ちる。

「なぜサリーを殺したんですか…?」


「邪魔だったんだよ、君を殺すのにね。」カイは笑いながら話している。後ろの森からはさっきの山賊達が出てきた。

「僕はね、もう少ししたら領を出てこうと思って色々計画してたんだよ。君のその腕輪を売ってね。しょうがないから君を殺して腕輪を手に入れる事にしたんだよ。」


「セグメ様はどうするんだ?」


「もちろん死んでもらうよ。ここにいる全員ね。」


何か手は無いかと必死に考える。しかし、良い案が出てこない。(セグメだけは守る。)そう思い剣を構える。隣には団員達が同じ様に山賊に向け剣を構えている。


「俺達が隙を作るからその内に逃げろ!」団員の一人が自分にそう告げた。彼らもまたセグメを守ろうとしている。

「分かった。」

「セグメです頼む。」


そう言うと団員達は山賊に向かっていった。自分はセグメの背中を押し逃げ出した。だがすぐに山賊達に阻まれた。活路を開くため剣を振るう。しかし、自分の力では山賊達に及ばない。セグメにも山賊の剣が襲う。自分は慌てて山賊とセグメの間に割り込むとセグメを抱えた。背中に激痛が走り力が抜けていく。山賊は再び剣を振り上げてセグメにもう一度降り下ろそうとしている。


自分に力が無いせいで守るべき者を守ることが出来ない。自分に力があれば…。力が欲しい…。どんな犠牲を払ってもセグメを守りたい…。腕輪が光だし声が聴こえた。


『その願い、叶えてやろう。』


気が付くと自分の腕が山賊を貫いている。力が身体中から溢れて来て、気持ちが昂る。


もっと力を振るいたい。もっと暴れたい。そして、人を殺したい!


自分は思うがまま力を振るった。頭を殴ると首が飛んでいく。地面を踏みしめれば風の様に移動できる。目に入る人を端から殺していく。楽しくて仕方がない、自然と笑みが溢れる。大男の胸を貫き、カイの首を飛ばした。山賊を全員殺し終わると隅っこで震えるセグメを見つけ、ゆっくりと近付いていく。


「こ…、来ないで!」セグメは体を震わせその表情は怯え切っている、顔は血の気が引いて真っ青になっている。


「来ないで! 人殺し!!」自分の手は山賊達の血で真っ赤に染まっている。セグメの言葉で自分の居場所がもう無いと思いその場を去って行った。


大勢死んでしまった、サリーや団員達はみんなセグメを守ろうとした。でも、セグメを守ることが出来た。セグメの近くに居ることは出来ない、セグメは自分の姿を見るたびに今日の事を思いだし恐怖するだろう。それにまた自分が暴れたら屋敷の人を殺すかも知れない、セグメすらも。


でもセグメを守ることが出来た。十分だ…。


自分は森の中を歩いていく、特に目的地は無い。どこに行くのか自分でも分からなかった…。



次回はセグメ視点の予定です。

それで第一章を終わりにします。

読んでいただいた皆さんありがとうございます。

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