獣王
読んで下さった皆さん。ありがとうございます。
書いていたら最初に思っていた方向とズレてきた…
まぁ いいか
『力と自由を求める者よ…』
不思議な声が聴こえる。身も凍えるような威圧の声だ…
『異次元の狭間で生きる者よ…』
圧倒的な威圧感に押し潰されそうになりながら目を開ける
目の前には鋭利な牙が見える その口は薄く笑っているようにも見える…
怯えながら目線を上げる。何もない真っ白な空間の中 そこに巨大な狼がいた。全身を漆黒の毛皮で包まれ目は燃えるように赤い…
怯えながら声を絞り出す
「じ… 自分を知っているのか?」
『…』
少しの静寂の後 目に見えて両方の頬を吊り上げた狼が声を上げる。
『お前は俺の器だ… お前に力を与える。此の獣王の力を!』
その言葉と共に再び光が溢れる…
気が付くと自分は元の宝物庫の中にいた。
右の腕には腕輪が有る。ピタリと腕について外せないように。
「なんだ! 今の光は!」ライスさんの声が聞こえる。
でも体は動かない。
ライスさんは状況が分からず辺りを見渡す。
ライスさんの手が自分の肩にかかり強引に自分を振り向かせる。そして自分の腕に目が止まる。
「どうなっているんだ。説明しろ!」ライスさんの声に怒りが感じられる。
自分は一度 深呼吸してから声を出す。
「自分にも分かりません。」
実際何が起こったか自分でも分からない、獣王と言った狼の話くらいは出来なくは無い。しかし それはしない方がいいと思った…
「とりあえず、ガイゼル様の部屋へ行くぞ!」
そう言って自分の腕をつかみ、引っ張って宝物庫を後にした。
ガイゼルはライスさんの説明を聞き、自分にも確認してきた。そして 腕輪が外れない事と自分の体調を確認してから喋りだした。
「その腕輪はこのシュバイン領の宝だ…」
ガイゼル曰く、この腕輪は初代の領主様が王様より頂いたらしい、本当かどうかは分からず何もない腕輪として宝物庫に眠っていた腕輪らしい、。 要するにこの腕輪が何なのかガイゼル様も知らないし、呪いの魔石の腕輪というのがありそれをはめると外れなくなるらしい。
ガイゼル様は余り気にしない様子で「しばらく部屋でおとなしくしてろ!」と言った。
部屋で1人になるとベットに腰を落とし、宝物庫での事を思い出す。あの凶悪な獣王のこと、それからその言葉を…
(アイツは自分が転生者だと知っていた…、そして力をくれると言った。)
そっと腕輪に意識を向けてみる、前に聞いた魔法の使い方を思い出しながら、不安と緊張になりながら… そっと