3年後
「もうすぐ3年か…。」
俺が剣の聖地に来てもうすぐ3年になる。俺は10才になり身長も伸びて大人っぽくなってきた。自分で言うのも何だけど大分イケメンになったものだ。だがテレスの成長具合の方が凄まじい。元々可愛い顔が綺麗な顔になり、胸も大きくなった。可愛らしい少女はこの3年で見事に美しい女性になっていた。仏頂面さえ治れば完璧なのに勿体ない。
今は老師と道場の裏で魔法の修行中だ、修行と言っても最近は魔力を纏った状態での戦闘訓練ばかりしている。修行も一段落したとこで話し掛ける。
「老師、俺がここに来てもうすぐ3年になります。ですが俺は本当に強くなったんでしょうか?最近不安になるんです。」
「なぜそのような事を聞くのじゃ?十分に強くなっておるじゃろう。特に魔法の使い方はとても上達したぞ、わしが教えれる事はもう無い程じゃぞ。」
「でも俺の中で全然実感出来ないんです。剣の修行ではテレスに歯が立たないですし、魔法の修行では老師にボコボコにされてるだけじゃないですか!」
2年位前から剣の修行でテレスと戦うようになったが実はまだ1勝も出来ていない。テレスの流れる様な剣技の前にはどのような攻撃も受け流され受けに回れば鋭い連続切りで打ち砕かれる。まるで俺の考えが読まれてるんじゃ無いかと思う程だ。
「ほっほっほ。それは無理じゃ。テレスにはわしの培ってきた受け技、返し技の技術の全てとそれを扱う為の精神を教えてある。しかも最近はそれを物真似出はなく自分の技として振るえる様になってきた。剣技だけならば剣の聖地と言えどテレスと戦える者は少ない。」
「え?」
テレスってそんなに強いの?歳だって俺とそんなに変わらない筈なのに。
俺はこの3年間この道場の外にはほとんど出てない。ましてやテレスと老師以外とは戦ってもいない。
「ダイン君のおかげじゃよ。君が来てからテレスは今まで以上に修行に励むようになった。テレスも弟弟子には負けたく無いのかもしれんの。まぁ心配するでない、ダイン君も十分に強くなった。」
「そう言われても…。」
テレスが修行に励むようになったのはきっと俺が弟弟子だからではなく嫌いだからだろう…
「なに、聖域に潜れば自ずと分かるじゃろう。それと明日からテレスと戦う時は魔力を纏って戦うが良い。テレスにとってもいい経験になるであろう。もちろん解放はならんぞ。」
俺と老師は黒い霧が出ない状態を『纏う』、黒い霧が出てる状態を『解放』と区別している。
何かスッキリしない回答だったがそれ以上に明日のテレスとの戦いが心配だ。いくらテレスが強いと言っても魔力を纏って負ける訳にはいかない。負けないよね?負けたらどうしよう…
そして朝になりテレスと戦う時になった。