修行
あれから3日経ちケガも治り俺は老師の道場で修行し始めた。剣の修行はほとんどが素振り等の基本をしばらくは続ける事になった。
魔力は老師と二人っきりの時以外は使用禁止だ、暴走しない為とテレスが獣王の魔力で恐怖しないためだ。あと老師が獣王の魔力で恐怖しないのは老師も祝福を受けて魔力を使えるかららしい。入門試験の時戦った刀の見張りはあれ以来恐怖が拭えず剣が持てなくなり山を降りたそうだ、彼には悪い事をした。
テレスとはあれからろくに話してない。相変わらずの仏頂面である。しかし、老師といる時のテレスのは違った、真剣に話を聞き時折笑顔を見せていた、とても可愛い。
「ダイン君、場所を変えて開けた場所だ。
「魔力とは何だと思う?」
老師は唐突に聞いてきた。
「わかりません。でも、体の中に有るのは感じます。」
「そうじゃ。体の中に有るのは感じる。しかし、それをどうやって引き出すかは実は個人のイメージしか無いのじゃ。様々なイメージ方法を試し自分にあった方法を見つけイメージを強くしていくのじゃ。」
アバウトだなぁ。
「老師はどのようなイメージなのです?」
「わしの場合は血をイメージしておる。血のように自然と身体中を巡り満たしていくイメージじゃ、ここの聖域に居られる力の精霊様の魔力は身体中に満たし身体能力を強くするのが得意な魔力じゃ。身体強化の魔力にはこのイメージの者は多いぞ。試してみなさい。」
目を閉じてイメージする、身体の中に感じる魔力を心臓の鼓動に合わせて引き出し血のように身体を巡らせる。今まで以上の魔力を感じる。ゆっくり目を開けると僅かに黒い霧を纏わせていた。
「どうじゃ?」
「前よりは大きな魔力を感じます。」
「ではそこに動きのイメージを足していくのじゃ。」
「動き…、ですか?」
「そうじゃ。今は魔力を纏わせているだけじゃ、それだけでも力は上がるが動きのイメージを足すとより強い力が出せるのじゃ。」
老師の話をまとめると魔力は掛け算だ。
(纏ってる魔力量)×(動きのイメージ力)=(攻撃力)
そこに身体強化が得意な魔力だと効果が上がり逆に飛ばしたり癒すのが得意な魔力だと効果が下がったりする。そんなところだ。
「注意しておくが、魔力を纏わせるイメージで単純に力を求めるのはダメじゃ。魔力に呑まれてしまうからの。」
そんな感じで魔力の修行も終わっていった。