チームで語ろう
ー学園寮 舞花と千路の部屋ー
チーム結成後 今後の話をするために3人は部屋に向かう 舞花側のベッドの上に舞花と千路 机の椅子に孔雀が座っている。
「…さて、月組戦へ向けての作戦会議を始めます」
「作戦会議て、そんな事しなくても ただ勝てば良いんだろ?」
「…ふう、何故こんな大雑把な物事の考え方しか出来ない人に付いたのかしら、チーちゃんは」
「だって姐さま面白いから、クーちゃんイヤなら他に行けばいいのに、ウチらは困らないよお」
「…まったく、相変わらず悪意なくズケズケと言いたい事言ってくれて、私だってそうしたいけど、あの時点でスカウトがないって事は、もう他の方々はチームが決まっていて、余り物は私達だけだったって事よ」
「あれ?ウチがスカウト断ったチームは?」
「…恐らくチーちゃんが了承すれば誰かと入れ替えるつもりだったのでしょう、人が足りないなら私や陽桜さんに声かけるはずですし」
「なるほど、そういう訳だからアタシにはスカウト来なかったったのか、ところでさっきからチーちゃんとかクーちゃんとか、あなたたち知り合い?」
「…幼少からの腐れ縁よ」
「幼稚園からずーっと同じクラスだよお」
ふと気になる事が浮かぶ
「そういえばあの時点で余り物がアタシ達だけって気づいてたのに 待ちなさい!とか声荒げて声かけて来たんだ孔雀ちゃんは」
半笑いで舞花は孔雀を見る。
顔を少し赤らめて孔雀が喋る。
「…だってあのまま放置されたら恥ずかしいじゃない。どうせあなた達と組むのがわかっているのにずっと立ってるのがイヤだったのよ!」
「クーちゃんは昔から誰かと組んでって言われたら最後まで残る人だったよお」
「へー、昨日バトルした時は冷静な奴だと思ってたけど孔雀ちゃんは可愛い奴だったんだねえ」
「…陽桜さん孔雀ちゃんとか名前呼ぶのをやめてくれる!?」
「いいじゃん孔雀ちゃん、アタシも陽桜さんじゃなくて舞花でいいからさ仲良くやろうよ」
「…!?もう好きに呼びなさい」
「クーちゃん照れてますよお」
「…チーちゃん黙りなさい!」
その後もくだらないやり取りは続き夕食の時間になったので、作戦会議はまた明日という事になり解散する。
その夜 部屋を暗くして互いにベッドの中
「姐さま、クーちゃんはあんな感じで捻くれてるけど良い子ですから仲良くしてくださいね」
「仲間と仲良くするのは当たり前だよ。これから3人で戦うのが楽しみだねえ」
翌朝
トントン。扉をノックされ目が覚める
「子犬見さん実家から荷物が届いたので置いていきますよ」
寮の管理人が大きな段ボール4箱を次々に部屋の中へと運び去っていった
「へへー待ってました!」
千路が嬉しそうに段ボールを開ける。中からは犬のぬいぐるみや肉球のデザインの入った小物が出てくる。
「チロ、まさか、この荷物全部…」
「これがないと落ち着かないんですよお」
そう言って黙々と千路はぬいぐるみを自分のベッド、棚、机に並べ埋め尽くすと、舞花のベッドにまで並べ始めた。呆気にとられている舞花。千路が段ボールの中身を全て並べ終える。
何ということでしょう。あれだけ小ざっぱりとしていた部屋が一面、犬だらけの素敵なお部屋にー。 そこへ孔雀がノックして入ってくる。
「…相変わらずの犬好きぶりね、クーちゃん」
「だって犬大好きだもん!」
千路は笑顔で答える。あまりの光景に固まっていた舞花が我に返る。
「アタシの場所まで埋め尽くすなよ!」
これだけは姐さまでも譲れないと駄々をこねる、千路に譲歩して舞花の棚のスペースだけ置くことを許可し、それ以外は片付けさせた。千路は渋々入りきらない分を段ボールに戻し、備え付けのクローゼットの中に入れる。
「ヤバっ!気がついたらもうこんな時間じゃない!遅刻だ!早く校舎へ行こう!」
「…この学園は月組生徒は自由登校よ」
「えっ?そうなんだ。」
「…少しは自分の学園のこと位調べておきなさい」
説明孔雀。略して孔明さんの話では、闘姫学園は表向きは進学率の高い女子校であり、舞花達のように一番星制度で学園に来る者は少ないのだという。
陽組は なんら普通の女子校と変わらず、陽組生徒の中には、難関の入学試験を突破して入学してから一番星制度を知り興味本位でチャレンジする者も少なからずいるらしい。
そして月組は一番星を目指すために競い合うクラスなので勉強は二の次、トレーニングを重視してもらうため自由登校で学びたい者だけ陽組で授業を受ける事も出来るようだ
「へぇ、道理で簡単に倒せる相手が多かったわけか。んで学校も出席する必要はなくトレーニングに励みなさいと。説明ありがとう孔明さん」
「…孔明さん?変なあだ名をつけないでくれる」
「アハハ良いじゃんクーちゃん。いや孔明さん!」
「…チーちゃんまで…良いわ好きにお呼びなさい」
孔雀さんのお許しが出たので、今後 説明モードの孔雀さんを孔明さんと呼ぶことにした。
「じゃあ月組校舎でトレーニングするとしようかねえ」
3人は月組校舎へ向かった