入学式開始
四月 桜舞い散る新たなスタートの月
人里離れた山奥 辺り一面桜の木に囲まれた場所に闘姫学園はある
「ふーやっと着いたぁ、一本道だけどこんな山奥じゃ下手したら遭難しそうな場所じゃん。」
セーラーカラーが付いた学ランを模した前ボタン式の白い上着と黒のプリッツスカート、これが闘姫学園の制服だ。肩までギリギリ届かない黒髪セミロング 両耳の前の髪にはサクランボを形取った丸く赤い玉が先に付いた緑色の髪ゴム。足にはゴム底に改造した白のリングシューズ姿の主人公 陽桜舞花が呟く。
周りにも同じ制服の少女がちらほらと学園を目指している。少し歩いていると学園のスピーカーから声が山に響く。
「よくぞ集った夢見る乙女達よ!私は闘姫学園学園長の姫流院梅香だ!これから入学式の説明をする、闘姫学園の入学式は組編成の試験も兼ねて新入生、二年陽組の在校生とのタイマンバトルを行い、胸元の校章を一つ賭け勝者が敗者の校章を奪い日暮れまでに多くの校章手にした上位6名が月組、その他の者は陽組となる。校章がある限り負けてもバトルが出来るが、校章がなくなったらその時点で失格 陽組入り確定だ」
へーっ戦闘体制で入学式に来いって話はそういうことか、良いねぇ…熱いねぇ…
「なお勝負の立会人として黒子が付く学園に入って対戦相手を見つけたら、黒子の合図でバトルスタート、黒子無しで獲得した校章は無効なので必ず黒子の前でバトルを行う事。それとやり過ぎや学園指定以外の武器の使用時には黒子からキツいお仕置きがあるので気を付けてバトルするように、それでは諸君の健闘を祈る!」
校章がゼロになったら終わりって事は最初の勝負は負けられない訳か、良いねぇ…熱いねぇ…この陽桜舞花さんのデビュー戦だ!
舞花は学園へ向けて走り出す、気付けば周りにいた少女も走っている、しばし走り学園に付くと至る所でバトルが始まっていた。
早く相手を見つけなきゃな。
舞花が周りを見渡すとナイフを手に戦おうとする少女がいた。
刃物もありなのか。
ナイフ少女が相手に飛びかかろうとした時、黒子が鳩尾に拳を一撃加えナイフ少女を沈める。
「反則です。この武器は学園指定ではありません。」
学園指定だったら刃物もありなのかな。
まあいいや、対戦相手探さなきゃ。
「そこの新入生!私と勝負しな、陽組二年の吉田マリだ」
オールバック黒髪の少女が声をかけてくる。
「二年生か、アタシは陽桜舞花、よろしく先輩!」
間も無く黒子がやってくる。
「それではバトル開始です!」
「ちょっと待った!質問なんだけど勝敗てどうやって決めるの?」
「相手をKOするか、ギブアップをとるか、カウント10で戦闘意思が見れなければ負けです。」
「へぇ、分かりやすいね、ゴメンね 先輩始めましょうか!」
「折角ルール聞いてもすぐに負けるから意味ないよ!」
マリのパンチが舞花を襲う。が舞花は楽々躱す。
「ほっほっと、ジャブ、ジャブ、ストレート、先輩はボクサーですか?」
無言でマリはラッシュを続ける。
「ボクサーなのに素手でなぐったら拳壊しますよ。本当は何発か受けたいんですけど、この後 何戦するか分からないので極めさせてもらいますね。」
マリのストレートが来た瞬間、舞花はその腕に飛び付き逆十字固めを極める。
「いてぇよ、離せ!」
「ギブアップして下さい、しないと折れますよ。」
「…ギブアップ。」
「勝負あり!勝者 陽桜舞花!」
「くそ!新入生なら勝てると思ったのに。」
「先輩そんな気持ちとテクニックじゃ勝てませんよ。」
校章を受け取ると次の相手を探しに行く舞花。
ーー数時間後ーー
攻撃されながらも校章を10個まで増やした舞花。
順調、順調、でも手ごたえある人いないなあ。
舞花の夢、それはかつてブームだった女子プロレスラーになって自分の団体を旗揚げする事。
そしてあわよくば この学園の生徒をスカウトしようとしていた。
大分 日が落ちてきて校章を失った者、校章を持っているが負傷してリタイアした者、気付けば学園内は実力者が残る状況になっていた。
「アタシの目に適う相手と戦いたいなー。」
「そこのお姉さん、ウチと戦いません?」
目の前に舞花より一回り小さく、茶髪のサイドツインドリルヘアー、肉球マークの鉢巻に、同じく肉球マークの付いたボクシンググローブを着けた少女が声をかけてきた。
「へーアタシより小さいのに、校章がアタシより多い12個か、これは期待出来そうだね いいよ戦おうか」
「ウチは子犬見千路よろしくね!」
「私は陽桜舞花だ、よろしく!」
「それではバトル開始です」
どこからともなくやってきた黒子の声でバトルが開始される。
「グローブからみてボクサーだろうけど、さて」
舞花が様子見で最初のパンチを躱そうとするが、その動きに合わせて千路が舞花のボディを捉える。
「グフッ…」
ボディを入れると間髪入れずにくの字に曲がった舞花の顔面にフックフックストレートとコンビネーションを決める、全て喰らった舞花は後ろに倒れる。
見た目から想像出来ない程 千路のパンチは重かった。
「ヤバッ、危うくKOされる所だったよ。」
舞花はその場で飛び起きる。
「へー、ウチのコンビネーション喰らって立ち上がるなんて舞花さん丈夫だね!」
「じゃあ第二ラウンドと行きますか」
「じゃあ、次は本気で行くね!」
「もう一発来るのか…良いねぇ…熱いねぇ…」
千路はうれしそうに間合いを詰めてくる、舞花の前にくるとその場でしゃがみ込み飛び上がる。
「千路アッパー!」
これを喰らったらマズイと、とっさに舞花は両手で下から上がる拳を止めようとするが両手ごと、アッパーが顎に当たり舞花は倒れる。
直撃は避けたものの大分ダメージが残る。少しよろめきながら舞花は立ち上がる。
「凄い、凄い、ウチのとっておきを喰らって立ち上がるなんて!」
千路は笑顔で喜んでいる
「でももう一発耐えられかなぁー」
千路が再び間合いを詰め、先程と同じように舞花の前でしゃがみ込む、舞花も両手で拳を抑えるが、それを予期していた千路はガードごと吹き飛ばそうと、前より力強く飛び上がる。…が抵抗がまったくない事に気付く、舞花は千路のアッパーに合わせて後転し、その力を受け流していた。一人高く飛ぶ千路。
後転が終わり体勢を整えた舞花は、アッパー空振りした千路をベアハッグのように抱え込む。
「捕まえたぜ、じゃあ今度はアタシの必殺技見せてあげるよ!陽桜散花!(ようおうさんか)」
ベアハッグ状態からフロントスープレックスを放ち、流れで相手方向へ倒立し後転 倒れる相手正面に少し離れた位置で立つとすかさずフライングニードロップを千路の腹に決める。
ドンという音と共に千路は倒れたまま立ち上がれない
ダメージで一時的に体が動かないようだ。
「…8.9.10!カウント10により勝者 陽桜舞花!」
「よっしゃあ!いい勝負だった、今度はアタシの団体で試合しようぜ!」
「ウチの負けです…あの舞花姐さまと呼んでいいですか?」
「ああ、いいぜ!だけどアタシの団体に参加するならな!」
「はい、ウチは姐さまに着いていきます!」
千路は起き上がると舞花に抱きついた。
主人公がプロレス技を使うので分からない人用に軽く補足
ベアハッグ 向かいあった相手を両腕で抱き背中で両手を組み、そのまま力強く締め上げる
フロントスープレックス 上記のベアハッグ状態から持ち上げて真後ろに放り投げる
フライングニードロップ 倒れている相手の上に 立て膝ポーズになりながらジャンプ、立てていない膝を相手めがけ落とす