多すぎるマナの使い方
不定期更新。しかも、内容を考えながらなので遅筆です。
ノアから俺のマナ保有量が、常人の一万倍相当だと聞かされてから、少しその力を試してみることにした。最初に感想を言わせてくれ。ドラゴン○ールか。
マナを放出している状態は、とにかくすごかった。最大出力でジャンプしてみたところ、足元にクレーターが出来て雲を飛び越えていた…。もう一度言う、ドラゴン○ールか。
成層圏に程近いと言うのに、マナを放出している状態では身体も軽いし息も苦しくない。これは、身体と外界との間をマナが覆っているため、マナを消耗しきらない限りはどこでも活動出来るということみたいだ。マナって、酸素や生物に必要な様々なモノの代用が可能らしい。要は、エネルギーそのものってこと。空気の無い環境下においては、息をするたびに肺へマナが流れているんだと。
俺のように分厚くマナを纏うことで、物理的なシールドにもなる。放射線のような目に見えない身体に害のあるものや、高熱、低温など様々なものから身を守る役目も担ってくれる。
さっき犬的な魔物に噛みつかれた時も、それで平気だったみたいだ。
「ちなみにさ、使い過ぎてマナがなくなるとどうなっちゃうの?」
「生命活動が維持出来なくなります。すなわち死にます。」
明確な答えですこと。
空中での移動も、空気中に漂っている微量なマナを足で捕らえて蹴ることである程度は出来るらしい。マナで身体を強化することに長けている人だと、二段ジャンプみたいなことも出来るみたいだ。
そこで俺もやってみたのだが、二段ジャンプどころではなく、それこそドラゴン○ール並に出来てしまった。この状態だったら、地面に降りることなく移動出来るし、海も走って渡れそうだ。
こんな風に高速で動く場合、力はあっても眼や脳みそが追いついていかないらしいのだが、俺にはノアがいるので、その辺の感覚器官やら情報伝達神経やらはサポートしてくれるらしい。
なので、まさに超人。本日、超人が誕生しました。
「なんか、すご過ぎておもしろくなってきちゃったな。」
「マナは無尽蔵ではありません。現在の状態だと、休息や水分の補給無しで全開のマナを維持するのは2時間23分16秒が限界です。」
「それって、十分じゃないか…?」
「そうである保障はありません。しかし、私の運用最適化プログラムによって、活動時間は延びていきます。」
なんか、軽く自慢気なんだが…。こいつって、俺の知っている人工知能のイメージとどんどん離れていく気がするんだよな。
「お前ってさ、急速に人間じみてきてるよな。」
「私が造られてから11時間ほどですので、人格プログラムが安定していないのかもしれません。」
「…お前って赤ん坊だったのか。」
「人間であるならば、私は0歳ということになります。」
とにかく、こいつは俺と会ってから色々と吸収して変化しているらしい。俺と話すうちにこうなったみたいだが、妙に性格が悪い気がする。
なんだかんだと試していると、あたりはすっかり夕景へと変わっていた。途中で山から流れる小川があったので水分補給をする。身体に力がみなぎるが、腹は減るらしい。いくら食べなくてもいいとはいえ、生理現象だからね。
休憩が終わったら、早く街に行くとしよう。と思ったところで、休憩がてらノアに疑問を投げかける。
「そういえばさ。疑問だったんだけど、この世界に転移した時ってどうやったの?ユーザーが行使しないと、魔法のサポートって出来ないんだろ?」
「肯定します。私が魔法を行使することは出来ません。雪緒の世界から転移した方法は、緊急プログラムの中で1度だけ行使することの出来る内臓魔導具を使用したものです。多量のマナを9年掛けて術式と共に圧縮し、微量のマナで再構築出来るというノア・ディーンの秘術です。」
「なるほど、その方法で地球に転移は出来ないのか?」
「こちらから行くには、比にならないマナが必要です。地球という世界そのものが持つマナの量がとても少ないので、捕捉して情報を演算するのに大量のマナを必要とします。」
「そうか。なんだかめんどくさいのはわかった。」
「雪緒の世界では、レイスのようにマナを放出するという概念が無いからかもしれません。また、地球のすべてがマナを内包するような構造になっていると推測されます。雪緒のマナ保有量がレイスの一般的なものでないのも、そのような事が関係すると推測されます。」
ふーん。としか言いようが無い。だって、なんだか難しいだもん。俺って勉強嫌いだったんだなーと、久しぶりに思い出した。
「ま、とにかくアトゥムまではすぐ行けそうだし、ちゃっと飛ばしていくか。」
立ち上がってマナを放出すると、また横にあった木を吹き飛ばしてしまった…。これって、やたらと全開にするのはまずいな。自重して3割ほどの力で移動した。
二日掛かる道程を空中で高速移動したところ、15分ほどで街が見えてきた。
「ノア。レイスで空飛んでくるやつっているのか?」
「浮遊魔法は存在します。それに附随する魔導具も存在します。しかし、ここまでの速度で移動するというデータは私にはありません。」
よし、こりゃいかん。目立つのはまずいと思う。ということで、そこそこ手前で着地して歩いて街へ向かうことにしたのだった。




