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渇いた夜に  作者: ナッツ外道
第1章
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ノアについて

 あぜ道を…まぁ、街道らしいんだけど、とにかく道を街だと教えられた方向に歩いていた。なんかもう悩んで「うぁぁあああ~」っていう時間は過ぎたらしい。俺って単純だったんだな~、と思う。


 「お前さ」


 「ノアです。」


 「…ノアさ、ノアって結局、どういうモノなわけ?」


 「簡潔に言えば、魔導具です。魔導式インターフェースの11型。ユーザーと融合して、あらゆる事態に対応する事が目的として製造されています。」


 「なんだよ、あらゆる事態って…おっかねぇ。じゃあ、機能について教えてくれよ。」


 「了解しました。第一にユーザーと意思疎通を可能としている、核となる機能を<コア>と称します。魔導具として世界で唯一、知能を持ちます。」


 「…世界で唯一って、じゃあこの世界に魔導式インターフェースはお前だけって事か!?」


 「肯定します。私の知るレイスには、私以外の魔導式インターフェースは存在しません。私は、転移魔法を個人で使用するため、マナの運用効率を上げるため、魔導式インターフェースを所有する者との情報共有、索敵などを目的として製造されています。」


 「なるほどな。聞く限り、限りなく軍事目的な感じがするのだが。」


 「肯定します。軍事利用が製造目的です。」


 「ふーん。でも、それだったらお前が失敗して戻って来なかったとしても、お前の後継機というか、さらに改良されて新しいものが研究されるんじゃないか?」


 「否定します。<コア>の原材料は、ノア・ディーンの主有する11の<テクノス>と呼ばれる鉱物です。それは、太古に製造されたもので私が最後のテクノスを使用して造られました。世界最高峰の魔導士と謳われたノア・ディーンですら、テクノス自体やそれに相当するものは製造出来ませんでした。」


 「そうか。じゃあ、お前で打ち止めだったって事なんだな。」


 「肯定します。しかし、その後の120年でノア・ディーン以上の魔導士が生まれていれば、私以外の魔導式インターフェースが存在するかもしれません。しかし、今のところ私のセンサーにはそのような反応はありません。」


 「へ~。…センサーって、どういうものなんだ?」


 「マナを感知する機能から、マナの反射で地形や障害物を探知、レイス圏外の周回衛星などを使えば、およそ半径300セルまでの探査が可能です。しかし、魔導式インターフェース、共有を目的とした魔導具であれば、レイスのどこに居ようと探査可能であると推測されます。これは、テクノスを媒介とした魔導因子である私が固有のマナ信号を発信していることに起因し…」


 とりあえず、詳しく聞いたが理解できたのはそのあたりまで。セルとは大体キロメートルと同じらしく、ノアは半径300キロのあらゆるものが探知可能だという。わかりずらいから、今後は地球の法則で言うように注意。ノアは、地球でインターネット情報とリンクしたらしく、そのへんのことは知っているらしい。洞窟のような閉鎖空間でも、マナを反射させることによってかなり正確に地理や障害物を調べることが出来るらしいとも言っていた。


 レイスが惑星と認識するレベルの科学力というか魔法科学は存在していて、星の周りには無数の自然衛星があるらしい。そこにマナを反射させることによって、GPSバリの位置情報を得ているのだという。


 「また、私と融合している生物は水のみで活動が可能です。水から私のエネルギーと、ユーザーのエネルギーを確保します。ユーザーのあらゆる破損も、水からマナを吸収することで修復可能です。」


 なんでもありか。


 「そういうことは、もっと早く教えるべきじゃないのかな。」


 「聞かれなかったので。」


 コイツってさ。嫌なヤツだよね。ていうか、言葉の端々が人間臭くない?


 「とりあえず、もう頭痛くなってきたからいいや。アトゥム?だっけ?それってどのくらいで着くのかわかるか?」


 「このままの速度だと、およそ2日です。」


 「ふっ!?ふ、2日!!??」


 「このまま歩いていくと、休息無しで2日です。」


 勘弁してくれよ~…。あの鎧の男も、そんなとこに置いてくか!? ていっても、この世界では2日ぐらい普通のことなのかな…。なんか、休息無しとかサラッと言ってるけど。ていうか、あれ…?


 「そういえば、お前って転移魔法を個人で使う機能があるとか言ってなかった?」


 「転移は可能です。転移しますか?」


 「・・・・・先に言え!!!」


 「聞かれなかったので。」


 だめだ。機械仕掛けのモノと会話している気がしない。そもそも機械仕掛けなのかどうかも、俺にはわからないのだけれども。


 「じゃあ、アトゥムの街まで転移しろ。」


 「転移魔法を起動してください。」


 「・・・・は?」


 もう、この俺が言われたことに驚くくだりもいい加減飽きたので説明する。転移魔法はそもそも魔導士が20人以上集まって行使する魔法である。個人では行使できない理由としては、転移に必要なマナの量もそうだが、転移する位置情報の捕捉や身体を情報化する作業がとても1人では難しいらしい。それを個人で使うために魔導式インターフェースでサポートする。が、当たり前だが行使するのはユーザーであり、インターフェースはただのサポート。俺自身が転移魔法を起動出来ない限り、こいつはどうしようもないのだ。


 「…はぁ。じゃあ、別の案を出せ。」


 「走る。」


 「魔導式インターフェースを壊す方法を教えろ。」


 しかし、結果的にノアの言っていることは間違いではなかった。というのも、マナを放出した状態というのは超人的な活動が可能なのだという。


 「超人的って、100mを9秒台で走れたりするのか?」


 「雪緒。それはベン・ジョンソンのことですか?」


 「せめてウサイン・ボルトにしとけ。」


 兎にも角にも、まずはマナを放出してみる。身体のまわりに、うっすらと膜のようなものが張ったことに気がつく。なるほど。これがマナってやつなのか。


 「なぁ、これってどの程度放出すればいいんだ?なんか、まだまだいけそうなんだが。」


 「マナの計測値では、一般的なものですが。一度、限界まで放出して下さい。計測する必要があります。」


 そうか。ノアって計測器にも使えるのね。てことは、俺って普通の人よりマナが多いのか?


 「…よっこいしょーっ!っと、こんなもんか?もうちょっといけそうだが…。」


 その一瞬、右手にある森の木々が吹っ飛んだ。10本くらい。


 「・・・・・・・なんだ?また、魔物…?」


 身構えて、まわりを警戒する。


 「おい。ノア。何が起こったんだ!!」


 「計測完了。現在、およそ320000マナです。これは、一般的な数値の1万倍に相当します。」


 ん?


 「てことは、この木って…?」


 「雪緒のマナが放出された衝撃で吹き飛んだんでしょう。」


 それって、すごいんじゃないんでしょうか。


 「私のデータ上は、史上最高値です。雪緒。あなたは人間ですか?」


 うん。たぶん。

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