自宅から回想
家に帰ってきた。自分の家にようやく帰ってきた。
俺の家は町から少し外れにある『元宿屋』である。五百年前から宿屋を経営していたらしいが、今はまったくやっていない。部屋は全部で十室あるが二つしか使ってない、荷物も裏の蔵に入れているので、残りの部屋は完全な空き部屋なのだ。
「はー、ただいまー……」
「うむ、邪魔するぞ」
「お邪魔します」
…………………………
「はっ?」
しばらく沈黙が続いていたが、俺は後ろを向く。
そこにはさっきまいたと思ったコスプレイヤー二人がいた。
「はっ?」
「何を二回も言っておるのじゃ」
「気分でも悪いのですか?」
なぜここが!?さっきまで後ろを確認しながら逃げてきたのに!
そう思い、俺は少し前のことを思い出す。
クレーターの真ん中に羽を生やした少女が二人いた。
「いたた……シエルよ!失敗してどうするのじゃ!」
うおっ!黒い羽の子が喋った!それも日本語で……
「いつつ……うるさいですよ、着地が失敗したのはあなたのせいですよ!」
なんか言い争い始めてるわ……どこかの妹と幼馴染を思い出すな……
「何じゃと!そもそもシエルが着地地点を良く確認しないのが悪いのじゃ!」
「あなただって確認しなかったくせに何を言うのですが!」
「うぐっ!し、しかし、シエルが『全て私に任せてください!』っていったではないか!」
「くっ!あなたこそ『いや、我は自分のことは自分で出来るのじゃ!』って行きこんでたではないですか!」
「うるさいのじゃ!うるさいのじゃ!」
「あなたこそうるさいです!」
二人は互いをにらみ合う。
っていうかこいつらマジで空から落ちてきたの?どこからどう見てもコスプレイヤーにしかみえないのだが……
「では元凶の人間に結論を決めてもらうのじゃ」
「それはいいですね、そうしましょうか」
二人の視線がこちらに向く、あれ?なんでこっち向くの?
「そこの人間!こっちにくるのじゃ!」
そこの人間?他にもコスプレ仲間でもいるのか?そう思い周りをみる。しかし、ここにいる三人以外は見当たらなかった。
「あなたです、あなた」
白い羽の子が俺を指差す。
「………俺?」
「「そうです(じゃ)」」
「いや、俺この後用事あるんで失礼します」
ここにいると、この|コスプレイヤー達(二人)に何をされるのか分からない、危機感を覚えた俺は、痛む体に鞭をうち、その場から離れようとする。
が、白い羽の少女に回り込まれてしまった。
……待て、どうしてこんな早く回り込まれた?
「逃がさんぞ人間」
後ろから声をかける黒い羽の少女、
「……一体どんな手品だよ」
俺は精一杯の虚勢と作り笑いを浮かべる。
「別にたいしたことはしてませんよ、あなたにも危害を加える気はありません」
「そういうのであれば今すぐ開放してほしいのだが……」
万全の状態であれば『あれ』を使えるが、得体の知らない奴に使うのも危険かーー
俺は頭の中で考えていると向こうから話しかけてくる。
「何、少しヌシに聞きたいことがあるだけじゃ、そこまで身構えなくても良い」
今の俺にはこいつらを叩きのめす力も何も無い……
そんな中で身構えないって事の方がおかしい
「一体何が聞きたいんだ?」
警戒を解かず、返答する俺
「なに……」
黒い羽の少女が俺に指を向ける。
まさか……指からあの某戦闘漫画の技でも使えるというのか!?
考えるより体が動く、顔を隠すように手を構える。
が、
「そいつと我、どちらが元凶なのかということじゃ!」
……………………
はっ?