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それから月日は、流れルーシャは、美しい女性となりそして、あの老婆との約束を忘れず、誰にも優しく清らかな心を持ちみんなの人気者になるのです。
ある日の事です。あの時と同じ雪が降る日にルーシャは、水を汲みに森にある洞窟へと向かったのです。すると、近くを通ったクリスは、ルーシャの所へ向かい隣を歩き始めました。
「ルーシャ、手伝うよ」
「ありがとう。でも、おば様の手伝いは、終ったのかしら?」
「終わってるから大丈夫!」
ルーシャが持っていた水をいれる容器を一つ持ち二人で、洞窟へと目指したのです。
ふとルーシャは、黒い服を着た老婆が何かを持って走って行く姿が見えたのを不思議に思ったのです。
「クリス、この先に何かあったかしら?」
「何かって、この先には、洞窟の中にある魔法の水とドラゴンがいる神殿があるだけだけど、どうした?」
「何でもないわ。でも、胸騒ぎがするの」
嫌な予感がしたルーシャは、肌に離さず持っていたペンダントを握り少しだけ考え水をいれる容器をクリスに渡し
「クリス、必ず戻ってくるわ。だから、先に行って待っといてね」
「ちょ!ルーシャ!」
ルーシャは、止めるクリスを無視して走り出しました。走って、走って、走っていると煙突が見え煙が見えました。家があると思ったルーシャは、近くに行くとあの時と同じ家があったのです。
ルーシャは、ドアを叩き返事を待ちますが、返事が無いのに不思議とドアは、開きルーシャを迎い入れたのでる。
「誰かいませんか?」
一つ一つ部屋を見るけれど誰もいないけれど暖炉には、火があり、テーブルには、美味しそうなクッキーと温かいココアもあるのです。まるで、さっきまで誰か居たかようでした。
「うわ!大変だ!人間が居るぞ!」
すると突然、誰もいない筈なのにルーシャの後ろの方から声が聞こえました。ルーシャは、不思議に思い振り向くと、小さな小さな親指ぐらいの大きさの男の子がマグカップの後ろに隠れて居ました。
「見つかった!逃げろー!」
慌てた様子で男の子は、走りますが、隠れる場所も逃げれる場所もない。男の子は、ルーシャに小さな剣を向け攻撃をするとです。
「痛いわ!止めて!」
「人間め!神様の宝物を盗みに来たんだな!残念だが、此処にはない!」
「季節玉を奪いに来たじゃあないわ。私は、此処の白い服を着たお婆さんに会いに来たのよ!」
針に刺されたような痛さと言うか男の子が持っているのは、明らかに針だ。チクチクとルーシャを刺し一生懸命に攻撃をするが、地味に痛い。イライラしたルーシャは、男の子を持ちあげたのです。
「離せ!俺を食べる気だな!離せ!離せ!…っく!離さないならば、自我をするのみ!」
そう言って針の先を自分に向けるのですが男の子の手は震え怖がっていましたが、ルーシャがつけているペンダントを見て、針を下ろしたのです。
「それは、白の魔女の物!と言うことは…お前は、ルーシャだな!」
「そうよ。でもどうして私の名前を?」
「知ってるさ。白の魔女の婆さんが素敵な心を持った女の子がペンダントを持って此処に来たら力を貸してやれって頼まれているんだ」
そう言ってにっこりと微笑んだ。ルーシャは、男の子をテーブルの上に置き椅子に座り話を聞くことにしました。
「白の魔女は、神殿にいるよ。でも彼処には、大きなドラゴンが居るんだ。小さい僕にとっては、お前も大きいけど、更に大きいよ。それでも白の魔女に会いたいなら僕を連れて行け!」
「解ったわ。えーと」
「テック」
「テック、ヨロシクね」
そう言ってにっこり微笑みながら親指を出した。テックは、ルーシャの親指を握り握手をしました。ルーシャは、テーブルの上にあるクッキーを2、3個ハンカチで包みポケットへと入れました。
「どうして、クッキーを持っていくんだ?」
「ドラゴンにクッキーをあげるのよ」
「あげるって…根拠は、あるのか?」
「ないわ。でも、美味しいクッキーを食べれば、心も穏やかになるはずよ」
そう言ってにっこり微笑みテックにクッキーを一つ渡しました。テックは、少しだけ考え一口食べた瞬間驚いた顔をしたあと幸せな顔をした。
「おいひー!って違う!確かに美味しいけど、あの気性が荒いドラゴンのじいさんが、こんなクッキーを食べて大人しくなるわけないと思うぜ」
「あら、そう?でもやってみないと解らないじゃないかしら?」
「そうだけど…」
いくら老婆が作ったクッキーでもドラゴンにとっては、どうでも良いこと。テックは、少しだけ考えにっこり微笑みながら貰ったクッキーを全て食べ終えて針を取り出した。
「よし!解った。ルーシャがそう言うなら俺は、そうするぜ。大丈夫だって、俺がルーシャを何があっても守るからな!」
「ウフフありがとう。頼もしい友達が出来て嬉しいわ」
ルーシャたちは、ドラゴンが居る神殿へと向かうために家から出ようとドアを開けると、あの冷たい空気が肌を氷らす事もなく寧ろ心地よく暖かいのです。不思議な事に辺り一面は、草花が生い茂り目の前には、蝶が舞っているのです。
「ルーシャ!何処に居るんだよ!ルーシャ!」
そう呼ぶのは、クリスの声だ。ルーシャは、走って聞こえる方へ向かったのです。すると、慌てた様子でクリスは、ルーシャを見つけ走ってきて
「大変だ!魔法の水が乾上がってるんだ」
「魔法の水が?」
「冬でも凍らず夏も乾上がることも無かったのに…」
ルーシャは、少しだけ考えました。そして、クリスの手を握り
「神殿のドラゴンに聞いてみるわ」
「ドラゴンに!?危ないからダメだ!」
「でも、会わないとダメな気がするのの。お願いクリス、私に力を貸して…っ!」
クリスは、少しだけ考えました。あの大きなドラゴンに戦っても勝つことは、出来ない。でも、ルーシャを守ることが出来るのは、自分だけだと思ったクリスは、ルーシャの手を握り返しました。
「解ったよ。俺がいないと直ぐ無理をするんだからな」
「ありがとう。頼りになるわ」
こうしてルーシャは、テックとクリスを連れて神殿へと向かいました。春になったと思っていたルーシャだったのですが、少し歩けば、夏となりもう少し歩けば、秋になるのです。季節は、まるで元から無かったのに所々に不思議と夏とも感じ秋とも感じて春とも感じるのです。しかし、何故か冬のあの白銀の風景は、何処にも感じないと言う事にルーシャは、疑問に思いながら歩いて行くとやっと神殿が見えたました。
クリスは、重い神殿の扉を開けると、生暖かい空気が吹き上げてくるのです。上を向くと大きな瞳。下を向くと大きな足の爪。ルーシャの目の前にいたのは、ドラゴンが待ち伏せするようにこっちを睨み付けるのです。
「何者だ」
「はじめまして、こんにちわ。私は、ルーシャで貴方の目の前に居るのがクリス。私の肩にあるのは、テック。貴方に質問してもいいでしょうか?」
ドラゴンは、ルーシャを見てペンダントに気がつき鼻息をクリスに吹き上げた。
「質問のしてもいいがワシは、答えない。ただ、黒の魔女に盗まれた季節玉をワシの手元に戻ってきたら答えてやるぞ」
「解ったわ。黒の魔女に会いに行けば、良いのね。何処にいけば会えるのかしら?」
「…………」
ドラゴンは、目をそらし左手で地面に何か書き始めた。その文字は、東にある光の森にいると書いてあっのです。それを見たルーシャは、頷いたのです。
「解ったわ。ありがとうドラゴンさん。お婆さんのクッキーだけど持ってきたからお食べ」
「ワシは、甘いものなんて嫌いだけどお前がどうしてもって言うなら食ってやるからそこに置いとけ」
「ウフフ…解ったわ」
ルーシャは、微笑みハンカチで包んだクッキーを置きクリスの首根っこを掴み手を降ってその場を後にしました。
ルーシャとクリスとテックは、東にある光の森へと歩き続けました。山を越え海を越えやっとたどりついた黒の魔女が住む家。ふと、ルーシャ白い服を着た老婆と黒い服を着た老婆が立っていました。
「冬の季節玉を返しなさい」
「嫌だね。冬なんて寒いだけで何も良いことなんて無いだから!」
どうやら黒い服を着た老婆、黒の魔女が冬の季節玉を盗んだと言う事だと解りました。冬が無くなれば良いと思ったという理由で盗んだ事にルーシャは、疑問に思いました。
「違うわ、お婆さん。冬も夏も春も秋も素敵よ。春は、花が咲き乱れ、夏は、皮膚を焼き、秋は、葉が色づく。冬は、白銀の風景を見せて私たちの心を癒し魅了てくれるわ」
「ルーシャちゃんなのかい?」
「ええ、そうよ。お婆さん、ちゃんとこのペンダントを返しに来たわ」
そう言ってにっこり微笑みながらペンダントを白の魔女に渡すのです。白の魔女は、少しだけ考えました。
「黒の魔女。お前さんもこの子のように季節を愛した子。本当は、冬が大好きだから、独り占めにしたかったじゃろうて…サンタも季節が無くなったらきっと困るよ。さぁ」
そう言って白の魔女のは、手を出してにっこり微笑みました。黒の魔女は、戸惑いながら考え周りを見ました。あちらこちらに散らばった季節玉。右には、春が見え、左には、夏がある。真っ正面には、秋の風景が見えるのです。
「…………解ったよ。返せば良いんだろ?」
そう言って白の魔女に季節玉を渡したのです。白の魔女は、にっこり微笑みました。
「ありがとう。ルーシャちゃん。ありがとう。黒の魔女」
すると突然に季節玉は、光だし目が開けることがでしませんでした。ルーシャは、白の魔女の近くへと行こうとしましたが眩しく何処にいるか解らないのです。
「ルーシャ!ルーシャ!」
ルーシャを呼ぶ声。ルーシャは、目を開けるとクリスが心配そうに顔を覗かして見ていたのです。
「あれ?クリス?ここは、どこ?」
「何処って…お前の家だろ?たく…クリスマスイブだから何処か一緒に食べに行こうって約束したのに、なかなか来ないから心配して来てみたら寝てるし…」
ルーシャは、少しだけ考えました。今日は、12月24日。外は、雪が降っている。さすがに様子が可笑しいと思ったクリスは、ため息をはき
「ルーシャ」
「ごめんなさい。今、準備するわ」
そう言って立ち上がると目の前には、小さな箱。ルーシャは、クリスを見ると顔を赤くして言いました。
「メリークリスマス…!ルーシャ。俺と結婚してくれ」
「ええ。最高のプレゼントありがとう」