【※ ごめんなさい、お月さま。】
たぶん、好きだったんだと思う。
よくわからないけど、たぶんそう。
好きで、なんだかとても大切に思えて。
なんだかとても可愛く見えて。
そばにいて欲しいと、思えて。
消えちゃうのが、なんだかとても悲しくて。
悲しいけど、それだけじゃなくて・・・。
それから、それから、どう思ってしまったんだっけ?
「人魚さん、」
呼びかけられて、なんだかとても嬉しかった。
そうだ、そうだ。
彼女はずっと自分の傍にいる、離れるなんて許せない。
消えてしまうなんて、絶対にさせない。
「好きだよ、人間さん。」
誰がなんと言おうと、彼女を離しなんてしないから。
想いを言葉にしながら、彼女を抱きしめた。
絶対、離さない。逃がしてなんかあげないし、ここから帰すつもりもないんだ。
きっと彼女を見つけた時から、こうなることは決まってた。
そんな言い訳をして、泣いている彼女の涙を無視した。
好き、好きだよ。
ごめんね、好きになっちゃったんだ。
許してなんて言わないよ、だからどうか消えないでいて。
星に祈るなんて迷信だけれど、見えない星空の星に祈った。
最終話、人魚視点のおはなしでした。
これでおしまいですが、思いついたらまた続きや小話を書くと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!