【駕籠の中で踊るよほうき星】
「ん・・・。」
どうやら気を失っていたようだった。
なぜか気を失う前より怠くもないし辛くもない。
あれ、もしかして私死んだ?なんて事はないと思うけど。
「あ、起きた。」
「・・・人魚さん?」
「うん、なに?」
「ここ、どこですか。」
声がした方を振り返ると、人魚さんがいた。というか、浮いていた。
水中を泳ぐように、すいとこちらへ寄ってきた。
螢石のような、なんかぼんやりと青白く光る水晶のようなものがあちこちにある。
明るいし、とてもファンタジー。
とりあえず私がさっきまでいた場所ではないことはわかった。
「海の底。」
「は?」
「人に必要な空気がちゃんとあるんだよ。あとね、植物とかもあるんだ。」
昔すごい魔法使いが作った“箱庭”なんだって。
そう、楽しそうに語った。
楽しそうに。おかしいなって思った。
なんで、そんなに笑顔なんだろうって。
さっきまでそんなに楽しそうに笑うなんてこと、知らなかったのに。
「ねぇ、人魚さん。」
「なに?」
「どうして私、元気になってるの。」
また、嬉しそうに笑った。
「人魚の血をのんだから」
「それって、あなたのをってことですか?」
「そうだよ。」
また、にこりと笑った。