表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海に落ちた。  作者: fyin
5/10

【きっとあなたが望んだのです。】




 私がいたこの場所には、奥に湧水があった。

海水ではなく淡水だった。

でも食べ物はない。だから、衰弱して死んでいくのも時間の問題だろうなとは思っていた。

まさか三日とたたず、起き上がることもできなくなるとは思わなかった。



意外と脆弱だな、私は。





「どうしたの?」



「・・・なんでもありません。」




 なんでもないわけはない。

なんでそう強がってしまったのか、まぁ私の性格上仕方のないことだ。


 人魚が海から上がった音が聞こえた。

私のもとまでたどり着いたのか、頬に手を添えられた。

私は仰向けで寝ていた。薄く目を開くと、相変わらず無表情の人魚がいた。

彼は笑うことを知らなかったらしい。まず、表情を作ることを知らなかったらしい。

一人だったらしい。ずっと。


 楽しいも苦しいも悲しいも、虚しいも、何も知らなかったらしい。




「・・・消えちゃう?」



「・・・・消えはしません。死ぬだけです。」



「どうして?」



「何も食べていないからです。」



「なにも食べないと、死んじゃうの?」



「・・・そうですよ。」



 もう話すのも億劫なんだけど。

少し黙っていてくれないかなこの人魚は。



「人間って脆いんだね。」



「そうですね・・・。」





 なんで、ずっと無表情だったくせに今そんな悲しそうな顔するの。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ