二呪 歴史教師の小さな復讐
「――今のが歴史上、最古の能力者と言われているレハム・オクヴェルが記したとされる言葉です」
等、と目の前――教卓に立っている歴史の女性教師が、皆に説明しながら授業をしている。
この教師は教え方が上手く、質問をしても丁寧に教えてくれるので非常に評判のいい教師である。
そのためか、皆――即ち、生徒は真剣に授業を聞いている。
・・・・・・ある男子以外は
◇ ◇ ◇ ◇
「では、皆さんに聞きます。最古の能力者と言われているレハム・オクヴェルの能力は、何だと言われていますか?」
教卓に立っている教師が俺たち生徒に問題を出してくる。
普通の教師なら、すぐに手を挙げて答えるかもしれないが、この教師は違う。 この教師の場合は、すぐに手を挙げさせずに時間を取り、生徒同士で話し合いをさせる。その後に手を挙げて答える。というやり方である。
そして今回も案の定、何時ものやり方になった。
俺こと夜眞棊郁斗は、皆が近くの人と話し合いをする中、窓の外を見ていた。
別に、俺が嫌われているとか嫌っているとかそういう訳では無い。何時も話している奴が今は、いないからである。 それなら他の奴と話せばいいと思うかもしれないが、それはやりたくない。 理由は、真剣に話した所で意味が無いからだ。俺が真剣に話をした所で、殆どの奴がどうでもいいとか、適当でいいや、と思っているからである。
そんな奴らと話をした所で損するのは俺である。
(……いや、違う)
俺は自分の理由を否定した。自分の理由は、自分を正当化したいからに過ぎない。先程は嫌ってないと、言ったが心では俺は奴らに負の感情を抱いている。
嫉妬?
否、違う恐怖だ
何故なら――
「夜眞棊君」
思っていた所で俺の名前が呼ばれたので、向いて見ると歴史の教師がこちらを向いていた。
「聞いてましたか?」
「……レハム・オクヴェルの能力ですか?」
「そうです」
俺の方を向いてニッコリと笑顔で言ってくる。そして俺は教師の笑顔を見て、引き攣っている事に気付き、一瞬にして察した。
この教師、絶対この前のこと怨んでやがる!!
一週間程前に俺は、この歴史教師と、あるバトルを繰り広げたのである。その時、この教師は一切の手加減もせずに俺を能力で攻撃してきたのである。(バトルは最終的に俺が勝った)
そして今、明らかにこの教師の笑顔は俺に対する純度の怨み百パーセントで、構成させている。
「夜眞棊君、早く答えて下さい。さもないと、宿題出しますよ」
こいつ、これでも教師か!?
そして俺に対する怨みにより、この授業中の問題は全て俺が答える羽目になった。