十六呪 WOC
今回はかなり短いです。
十年前、俺には家族がいた。
父親と母親と俺の三人家族。
何処にでも居そうな家族だった。
父親はサラリーマンで母親は専業主婦という普通の家族だった。
普通だったけど、幸せだった。
だけど、十年前。
両親は死んだ。
突如、起きた最悪の事件。
《WOC》によって。
《WOC》。正式名称《World・Over・Crisis》
歴史上、最も最悪とされる事件。
その内容は、一千万人の能力者がある日、能力を暴走させた事件。
暴走した能力者は我を失い、破壊の限りを尽くして世界は混乱した。
原因――不明
死者数――不明
負傷者――不明
全てが不明という最悪の事件。死者数・負傷者数が不明なのは、分からないのだ。世界中が混乱して正式記録さえ無い。前に一度だけ、調べようという話が出たが、もしかしてが、もしかしてを呼び、結局何も分からなかったらしい。
国連では二度とこのような事が無いように、各国それぞれに能力庁――軍を作る事にした。言ってしまえば、政府と同等の行政機関であり、今では軍が国のトップと言っても過言ではない。
しかし、《WOC》は人々に大きな傷痕を残してしまった。多分、それはこれから先も決して癒える事が無いだろう。
《WOC》はあまりにも人々の運命を変えすぎてしまったのだから。
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