休息2
士郎とイグナそしてサラは、とある科学者が結成した組織の末端に属している。
組織の名は知らされていない、そもそもないのかもしれない。
イグナと士郎が入院した病院も組織の抱える施設の一つだ。
組織のことで分かっているのは、第十番小隊までの戦闘部隊が存在し、その中の何人かは強化細胞によって身体能力が高められていると言うこと、目的は、どこかに存在する研究のホムンクルスを破壊することだということ。
そして、イグナは強化細胞を例の病院で埋め込まれた人間だ、、よって機密を守るためにイグナは例の病院のみでしか治療を受けられない。他にも組織のお墨付きの病院はあることにはあるのだが、イグナたちにはやはり居場所は知らされていない。なにはともあれ、イグナたちはその病院を出て、街に出た。
この街も実は組織の管理化にある。ちなみに第十番小隊のメンバーはここに住むことを義務付けられている。
つまり、イグナたちは第十番小隊に当たるわけだ。
実は組織の手は世界に転々と広がっているのだ。
そんな街で士郎達は次の任務が来るまで時間を潰すことにした。
「どこに行きましょうか?ショッピングモールとかありますけど?」
「私は、ユリアのお家に行きたい!」
「そうね、私はいいけど。」
「士郎にイグナさんは?」
「いいよ。」
「いいぜ。」
四人の意見は合意し、ユリアの家に向かうことになった。
少し遠いのでバスを使うことになった。
バスに揺られて、約十五分、そこからしばらく歩いて、小さなアパートに着いた。
部屋に全員入ると、イグナは言った
「・・・もしかして、一人暮らしなのか?」
「ううん、正確には士郎と二人暮し。」
サラとイグナは意外そうな顔をしていた。
「でもよ、組織に組み込まれたなら、ある程度金が入るはずだろ?
なんでこんな小さいアパートに、それも二人暮ししてるんだ?」
「それはね、私たちの育ての親を助けるためなのよ。」
「どういうこと?」
サラが間髪入れずに問う。
「うん、私たちを育ててくれた人はね、協会で神父をやっていたんだけど。
職業柄、私たちみたいな孤児を引き取って育ててくれてたの、士郎とはその時からの幼馴染。
それでね、ある日神父さん・・・、ううん、お父さんが病気に掛かってしまったの。」
白血病だったの、と、ユリアは付け足した。
「それで、組織に入って、治療費を稼ごうと?」
「うん、僕が勧誘されたんだよ、彼を助けたくないかって、僕達の学費やら何やらでずっと迷惑をかけてましたからね、ぼくは組織の話に乗ることにしました。医療機関まで向こうが用意してくれるんですからこれほど上手い話はないでしょう?」
「そっか、それじゃあ治療のためにお金を使ってるからこんなとこに住んでるのか。」
「ええ、そんなとこ。」
少し辛気臭い空気が流れてしまった。それを断ち切るようにユリアは立ち上がると、
「さ、サラちゃんの着物だったわね、こっちきて。」
サラを手招きした。二人はバスルームに入った。
数分後、少し恥ずかしそうにして振袖姿のサラが出てきた。
「これしかサラちゃんに合うのはなかったのよ。」
ユリアは少し残念そうだったが他の三人は違った。
サラの着物姿は思った以上に画になっていた。