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読み子さん説明書

知ってる人は知ってる、知らない人は知らない作品です

昔連載してましたが、書けなくなったので

もう片方の連載が少しアレなので、イカン心が折れる!ということで気分転換に多少弄って再連載決定


ぎゃー!やらかしてるー!

酷いものをお見せしましたすみません・・・


一応3話は確定してますが・・・続くといいなー?

ではでは不定期連載、まったりとお付き合い頂けたら幸いです


・読み子さんに辛いものや熱いものを与えないでください

・読み子さんに話しかけるなどの刺激を与えないでください

・読み子さんを見るときは明るいところで離れて見ることにしましょう

 目覚ましのベルで目を覚ますと、まだ温もりが残っていて名残惜しい布団を丁寧に畳んで顔を洗う。真っ赤になりつつある手を擦りながらストーブを入れると、コーヒーの準備をして本を手に取る。ちなみに本のタイトルはくらげの百戦の歴史というわけわかんないもの。友人に何か暇つぶしになるものは無いかと聞いたら、コレがいいと渡された。内容は面白くもなくつまらなくも無いので何処でやめてもよく、確かに暇つぶしにはなる。

 しばらくの間、寝息とページをめくる音、そしてコーヒーのこぽこぽ音が静かな部屋に響いていており、彼女との会話の邪魔をするものは何もない。僕の一日の中で最も穏やかな時間。

 その数分限りの穏やかな時間も、一人の少女が目覚めることで終わりを告げる。少女はパジャマ代わりの麻色の浴衣に癖のある藍色のショートの髪、まだ幼い表情はしぱしぱと瞬きを繰り返しており、まだ夢現。

 彼女は我が六畳一間の同居人2号であり、正式な住民という意味で数えると2号の立場を得ている。呼びかけても誰一人来なかった僕の元に来た奇怪な存在。ちなみに本人は『コウノトリ君1号』とか名乗ってるのだけれど、誰もそんな長い名前で呼ばない。そして、2号以降が居るのかは永遠の謎であって欲しい、と僕は切に願っている。


「おはよう、よく眠れた?」

「あい…おにーさんおはようこざいます…」


 挨拶をした後、コウはのそのそと動くと僕の背中にぺターっとくっつき始めた。ちょうど後ろから密着するように抱きしめられる形になるのだが、幸か不幸か背中から感じる彼女の自己主張はとても少なく、僕の精神は穏やかな状態を保ち続けている。

 コウは格好の湯たんぽとなるので、冬場は手放せない存在となる。子供特有の高い体温と何処か甘いような不思議な匂いを背中から感じながら、そろそろ雪でも降りそうだな…とか後ろから襲い掛かってくる現実から目逸らして読書を再開する。

 しばらくすると満足したのか、ゆったりと背中から離れると、のたのたと四つんばいになりながら僕の前まで来るとごろん、と膝の上に頭を乗せた。


「…んー」


 男でも膝枕というのだろうか?とか考えながらコウの髪をサラサラとなでると、彼女は気持ちよさげにして二度寝の体勢へと移る。こうなるともう読書は諦めるしかないので、寝顔を眺めたり外を眺めたり、目で会話したりしながら、コーヒーのこぽこぽ音と寝息の静寂を楽しむ。

 やがてその静寂も炊飯器がご飯を炊き上げた音を合図に終わりを告げた。朝ごはんが遅れると不機嫌が加速する人物が我が家にはいるので、コウを起こして朝食の準備を始めることにする。我が家の神器、『何時でも何処でも春模様ストーブ』のおかげで部屋の中は春模様。購入するときは不安だったけれど、名前に偽りなしで安心。

 微かに後ろから聞こえてくる衣擦りの音をなるべく意識しないようにしながら、トースターにパンをセットし、フライパンにベーコンと卵をぶち込む。油も味付けもいらず、ただ焼くだけで出来るベーコンエッグは偉大だ。

 やがて着替え終わったのか、浴衣から割烹着姿になったコウも台所へと参戦した。とはいえ、僕はフライパンを持って木偶の棒の如く眺めるだけだし、彼女はそんな僕の腰に抱きついているだけなので、変わっていくのは体感温度と匂いくらいだ。


「君たちは朝っぱらから暑苦しいものを見せてくれるね…」


 そんな朝食風景も終わりに近づくと、件の人物が目を覚ましたらしく後ろから不機嫌そうな声が聞こえてきた。暖かくなるまで起きない彼女を見てると、いつもクマを思い出す。


「おはよーございます」

「おはよう、読み子さん」

「ん、おはよう」


 そう、彼女こそが今回の話のメインとなる読み子さんで、哀しむべき押し入り住人第1号。本人曰くホテルも取っているらしいけど、行った所を見たことが無い。名前は秘密で『自称未来が読み子さん』というらしいが、コウと同じく誰もフルネームで呼ばない。それにしても、何処までが名前なんだろう。

 読み子さんはクマさんのちりばめられたパジャマに身を包み、髪は長く、白に近い綺麗なグレー。本人曰く銀色ではないらしい。たとえ不機嫌そうにしていても、彼女の顔は整っており黙っているならとても美人に見える。

 だがしかし、その表情よりもパジャマからすらりと伸びている手足や、無造作に掛けられたボタンからちらりと覗ける柔肌へと目が行くのは、男としてしょうがないことだと思う。このまま読み子さんと生活し続けたら、いずれは悟りの局地へと達してしまうのでないか、と僕は日々戦々恐々としながら生活している。平穏な人生は望むけれど、そこまで平穏になりたく無い。

 とはいえ冬眠開けのクマさんが不機嫌となるのはいつものことなので、特に対処することもなくご飯をよそい、トーストと少し焦げたベーコンエッグを皿へと乗せ、牛乳、そして読み子さん用のオレンジジュースをちゃぶ台へと運んでいく。

 読み子さんは朝食は和食、という断固とした意思があるらしく、和食以外は受け付けない。ちなみに僕はおかずが何であろうとご飯さえあれば和食になる、と信じているので彼女の朝食はいつもご飯+何かとなっている。今のところ文句を言われたことは無い。

 朝食中、他の二人が静かなのは別に不機嫌だからとかではなく、単に眠いのが原因だろう。


「それにしても、君たちはよくそんな苦いものを飲めるね」


 僕がブラックのコーヒー、コウがミルク入りのコーヒーを飲んでいる様子を見た読み子さんが、私には信じられないなとでも言うようにぽつりと呟くと、ご飯を口に運んでオレンジジュースを飲んだ。私的にはオレンジジュースさえあればおかずが無くともご飯が食べれる読み子さんの方がよっぽど信じられない。味噌汁を作ってあげたらどうなるのだろう、今度試してみようか。

 そんな読み子さんの嫌いなものは苦いもの、辛いもの、熱いもの全般。好きなものは甘いもの全般、というその大きい見た目に反したお子様な舌を持っている。頭脳を使うと甘い物が欲しくなるというのは本人の談。それでもカロリーを気にしている姿を見ると、何ともいえない気分になる。

 過去に一度だけ、中辛のカレーを食べさせたことがあるのだが、読み子さんは一口だけ食べた後、涙目で僕を叩いて抗議してきた。普段見れない彼女が見れたのでとても面白かったのだが、それ以降食べさせたことは無い。

 ちなみにコウは見た目に反して嫌いなものは無いらしく、美味しそうに食べていた。



□ □ □ □



 僕と読み子さんの通っている学校に制服はあれど、私服登校も認められている。割合は半々くらいで、毎朝服を選ぶのが面倒な人は制服を着てくることが多い気がする。もちろん、律儀に制服を着てくる生真面目な人も居る。ちなみに僕は制服派。理由は言わずもがな。

 そういうわけで私服も認められているのだが、まさか学校側も学生で白衣を普段着にする馬鹿が居ることは予想外だっただろう。下に着ているセーターで白衣が少しもこもこしてる。


「それにしても、少年はよく飽きもせずに通えるな」


 その馬鹿(よみこさん)が僕の隣でぽつりと呟いた。

 読み子さんはちょこちょこ醤油の染みが付いている白衣を着ている。何故か洗濯するのは僕だ。

 ただ、知的に見える彼女の抜けているところがツボに入るのか、ころりとやられて読み子さんに告白をする兵たちは後を絶たない。そして、そのまま夢の跡になる者も後を絶たない。

 そして彼女の好物は甘いものの他に焼肉というものがある。ステーキではない、焼肉である。大量の肉を焼いて美味しそうに貪る姿は、見ている者に満腹感と胸焼けをプレゼントするだろう。お願いだから、焼肉の時くらい汚れてもいい服を着て欲しい。

 その様子を見た友人は食人植物みたいだ…というコメントを残した。読み子さんは必死になって否定していたが、僕は的を射ていると思う。

 そんな読み子さんと白い息を吐きながら並んで学校の中庭を歩いていると、水着一枚の男連中が身体を震わせながら走ってきた。何を隠そう、彼らこそ我が校の名物ともいえる水着サークルである。同じ水着同士仲良くすればいいのに、水泳サークルを敵対視していると言うもっぱらの噂。

 彼らは一年中学校に通うときは水着しか着ない、という鉄の掟を持っている漢のサークルであり、決して露出狂の変態集団ではない。当然、今は冬なのでとても見ていられないほどの姿になるが、なぜか入部するものが後を絶たない。その勢いは入部すると彼女が出来る様になる、という七不思議が出来上がるほどで、今日も夢に敗れた勇者たちが涙を堪えてサークルのドアを叩く。

 今はおそらく日課となっている水着マラソンの最中なのだろう。打倒水泳部を目指しているという話の彼らは今日もトレーニングを欠かさない。何故プールでしないのか?という疑問には水泳サークルに使わせて貰えない、という切ないストーリーがある。そんな彼らが水泳で水泳サークルに勝てるはずも無く、彼らは敗北の原因を己の体が弱かったから、という現実逃避へと置き換えて今日も陸上でのトレーニングを欠かさない。そして、そんな彼らに思わず涙を流すものも少なくない。


「…まるで変態だな」


 その勇者たちを見た読み子さんが呟くと、突如彼らの走る速度が上がった。ああ、彼らに幸あれ。


「少年はああいうのが好きなのか?」


 僕が悲しみと寒さを振り切って明日へと走り去っていく勇者たちを見ていると、読み子さんが半眼で聞いてきた。


「いえ、僕はいいです」

「そ、そうか」


 僕は村人Aを目指すしがない学生だ。応援こそすれ、勇者になりたいとは思わない。

 そんな勇者たちを見送り、やがて教室に付いたので席へと座る。読み子さんは席には付かずに僕の机の上に座り、しばし視線を宙へと浮かせたり窓の外へと向けたりと忙しなく動かし始めた。


「そうだ少年、泳ぎに行かないか?」


 そしてさも今思い付いたかのように言ってくる読み子さん。今は冬だけど、屋内なら平気だろう。真冬に泳ぐという思考が僕にはよくわからないけど。


「それはいいですが、水着がありませんよ?」


 当然ながら読み子さんは僕より年上で、ちゃんとした職を持ってる社会人の一人。年齢は教えてくれなかった。


「ああ、そうだな…それでだな…その…だな…」


 読み子さんはまたうろうろと視線をさまよわせている。ずっとその様子を見ていてもいいのだけれど、このままでは話が進まないので助け舟を出すことにする。


「それじゃ、今度の休みにでも水着を買いに行きましょうか?」

「そ、そうか!うん、少年がそういうならしょうがないな、付き合おう」


 僕が読み子さんを誘うと、彼女は思案顔から笑顔へと代わり足をぷらぷらと揺らし始めた。読み子さんの足と一緒に机がギシギシと悲鳴を上げているのは決して彼女が重いからではない。

 そして読み子さんはあくまで自然さを装って聞いてきた。


「それで、少年はどんな服が好きなのだ?」



□ □ □ □



 読み子さんと水着を買いに行く予定なんかを話していると、先生が来たので彼女は僕の隣の席へと座り、授業が始まった。

 読み子さんは授業中はとても退屈そうにしていて、もっぱら外を眺めている。気が付くと授業中に居なくなっていることも何度か。

 ちなみに僕の席は窓際の一番後ろという、夏と冬で天国と地獄が両方味わえるというベストポジションで、読み子さんはその隣なのだから外を見るには必然的に僕のほうを見ることになる。平凡な僕を眺めても何も楽しくないだろうから、彼女は外を見ているのだろう。しかし、読み子さんは僕と目が合うと笑顔を作って小さく手を振るくらいにはアピールをしてくれる。たとえ実際には外を見ていたとしても、健全な男子として美人にそうされるのは意外と嬉しいものだ。

 たとえ授業を聞いてなくとも、読み子さんはほぼ最上位の成績を取り続けている。そして、彼女は運動神経も良い。頭脳、運動神経、容姿という2物どころか3物も天に与えられている彼女は、素質しかない僕とは天と地ほどの差がある。

 人によっては素質があるだけで十分だ、という人も居るだろう。だがよく考えてほしい。

 たかが人より魔法に適応性がある、ということがあっても使いどころが無ければ何の役にも立たない。ましてやその素質の所為で他が失われるなら尚更だ。魔王が居ない世界に生まれた勇者はきっと農家にすら劣るだろう。

 唯一使える場所として研究所があるが、研究員として自分を売り込むならまだしも、自身の素質を売り込むのとでは同じ売り込むでも意味が違う。自ら進んで研究の実験体(モルモット)になるほど、僕は今の生活に見切りをつけてはいない。それに研究員は身近に居るので間に合ってる。


「私を呼ぶ声がする!」


 午前の授業も終わりに近づいたかという頃、突如読み子さんはそう叫ぶと窓から飛び降りた。ここは最上階となる4階であり、そこから飛び降りる人が居るとしたら自殺志願者かよほどの馬鹿くらいかだろう。

 彼女を見ていると、馬鹿と天才は紙一重という言葉がふつふつと沸いてくる。

 しかしそんな読み子さんの無駄とも言える行動もちゃんと理由があるらしく、どうも彼女は先生に当てられて前に出ることが激しく嫌いらしい。故に彼女は当てられる雰囲気が漂うと窓から外へと飛び出す。

 最初こそ皆大騒ぎをしていたものの、もう慣れた様で、まるで何事も無いかの如く授業は進んでいく。

 あの読み子さんが自分から飛び降りたくらいで怪我をするはずが無いのだ。

 黙って何もしなければ才色兼備、それが読み子さんに対するクラス内の共通認識である。



□ □ □ □



 授業も終わりお昼休みになると、僕は二人分の弁当を持って途中退場した読み子さんの元へと行くために屋上のドアを開いた。

 寒風の吹く屋上で、睡眠を取っている読み子さんと秘密の花園にいるクマさんが迎えてくれた。どうも僕の女性に対する幻想、というものは読み子さんに会ってからたちどころに壊されている気がしてならない。コレは由々しき自体だが水着サークルのドアは叩くことは無いだろう。

 そのまま嘆いていても時間と体温が失われていくだけなので、読み子さんを起こしてコウの作ってくれたお弁当を食べる。どうも真冬に屋上に来る人はいないらしく、この寒くて風通しの良いだけの場所は二人の占有地となっている。


「ところで読み子さん」

「なんだい?少年。あ、ウサギさん食べないなら私が貰おう」


 見惚れるほどの素早い手つきで僕のお弁当からウサギさんりんごを奪っていく読み子さんを見ながら、コレだけは言わないといけない、と己を奮い立たせて話しかける。


「その歳になってクマさんパンツを履いているのはどうかと思いますよ」

「んぐっ!」


 あまりにも慌てて食べ過ぎたのか、哀れ読み子さんはウサギさんを喉に詰まらせて目を白黒させている。しかし、僕が背中をさすってお茶を差し出したことで最悪の事態は回避できたようだ。


「しょ、少年!一体何を言い出すんだ」


 確かに自分でもどうかと思うが、大人の女性とも言える歳としてクマさんパンツはやめたほうがいいと思う。

 僕がそう心の中で呟いていると、読み子さんは赤い顔で箸を振り上げて抗議を続けている。


「大体何を根拠に私がクマさんパンツを履いているだなんていうのだ!」

「屋上で寝ていたときにスカートが捲りあがってましたよ」

「そういう時は見てみぬ振りをして直すのが紳士というものだろう!」


 赤い顔の読み子さんはぷりぷりと怒りながらがつがつとお弁当をたいらげていく。怒りながらも手が止まらないのはさすがというべきか否か。


「それは気が回らなくてすみませんでした」


 とはいえこのまま彼女の怒りが静まらないと、いずれは僕の弁当にまでその魔の手を伸ばし、僕は空腹という魔物を抱えながら午後の戦いへと身を投じる事態になりかねないので素直に謝る。


「…まぁ、私も少しばかり言い過ぎた」


 読み子さんも興奮から立ち直ったのか、どこか顔色を伺うような視線を僕へと向けながらお茶を啜っている。


「そ、それで少年」

「何ですか?」

「その…だな…少年は…」


 もじもじきょろきょろし始める読み子さん。微かな満腹感と冬の日差しの暖かさに脳がやられかけている僕。


「その…少年は…ああいう…下着は…嫌いか?」


 まるで裁判官の判決を受けるかのごとく、おどおどとした表情で聞いてくる読み子さん。関係ないが、彼女の表情はコロコロと変わるので見てて飽きない。初めて見たときは、これで研究員が務まっていたのかと驚愕したものだ。


「いえ、嫌いじゃないですよ」

「ホントか!」


 やはり陽気にやられているのか、僕の口からはそんな妄言が漏れた。まぁ、読み子さんは嬉しそうにしているし、結果オーライということにしておこう。

 その後はいつもと変わりなく、時間いっぱいまで二人でだらだらと屋上で過ごした。

 それにしても、いい加減別の場所を考えないと午後の授業に遅れかねない。



□ □ □ □



 学校も終わり、徒歩数分という学校指定の寮へと戻ると、そこではコウが夕飯の準備をしていた。僕らが学校に言っている間コウは何をしているのか、ふと湧いた疑問と不安は食べ物の匂いにかき消される。

 その後はいつものように3人で食事を取ったり、今度の休みに水着を買いに行く事を話したりして時間を過ごし、順番にお風呂に入って寝る時間になった。いい加減我が家にもストーブ以外の家電製品を導入するべきだろうか。


「では、第33回バカップル談義をしようか」


 コウはもう眠いのか半分くらい沈んでいる中、読み子さんは目をらんらんと輝かせて嬉しそうに始めた。

 ちなみにバカップル談義とはバカップルとは何か、どういうことをするのか、という全く身にならないことを不定期に話し合うことらしい。発案者は当然ながら読み子さん。第○回は適当なので、本当にその回数やっているわけではない。

 しかしその談義も3分も経つとただの雑談と成り下がり、1時間もすると終了へと近づく。つまりいつも寝る前にしていることと大して変わらない。終了理由は僕が眠いから。


「ん、もう寝るのか?少年。ならしょうがないな」


 そんな僕の様子を的確に見抜ける読み子さんは、何処か不満げながらも話を切り上げてくれる。

 そして軽い問診をしてから、電気を消して二人とも布団へと寝転がる。当然ながら別々の布団である。そして今日も読み子さんは帰らなかった。


「…少年、もう寝たか?」

「いえ…まだです」

「そ、そうか」


 暗い部屋の中で読み子さんの声が聞こえてくるのできちんと返す。正直に言うとかなり眠いのだが、いざ寝ようとすると読み子さんの声で旅立ちにストップが掛かる。


「その…だな、少年?何か忘れてはいないか?」

「そうですね…」


 何か忘れていることはあっただろうか、と眠い頭で考える。明日の朝のご飯はセットした。洗濯物はコウと片付けた。宿題は出ていない。


「そ、その…アレだ、寝る前の…な?」

「んー…」


 どうも寝る前というのは頭が回転せず、ふわふわとした思考で読み子さんの言葉の意味を考える。


「何か…ありましたっけ?」


 段々と霞んでいく意識の中、読み子さんに返事をする。


「少年…?寝るな、寝るんじゃないぞ!ほ、私はまだ…お、お休みのきききキスをだな!?」

「…あー」


 そういえば…してなかったっけ。


「ん…」


 結論が出ると、わたわたとしている読み子さんへと近づき、長時間触れ合うだけのキスをする。


「…満足…しましたか?」

「…」

「では…おやすみなさい」

「うむ…おやすみ」


 読み子さんの言葉を最後に僕の意識は途切れた。

 そう、読み子さんは一応僕の彼女であり、つまり僕は読み子さんの彼氏ということになる。いざというとき、全くの他人よりは形式的にでも関係があったほうが都合がいい、という読み子さんの意見に納得してこうなった。どう都合がいいのかは教えてくれない。

 ちなみに僕としては読み子さんの様な人よりも、もっと大人しい人のほうが好みなのだが、そんなことを言った日には涙目でぼこぼこと殴られるのは目に見えてる。仮にも彼氏彼女という関係上、自分が好みじゃないといわれるのはきついものがあるのだろう。

 その経験の中でわかったのだけれど、読み子さんは意外と嫉妬深く、そして甘え下手だ。

 ということで僕は、一応彼氏という関係上彼女を気遣っていかなければならない。

 たとえ、そこに自分の意思があろうと無かろうと。



・読み子さんに辛いものや熱いものを与えないでください

・読み子さんに話しかけるなどの刺激を与えないでください

・読み子さんを見るときは明るいところで適度に離れて見ることにしましょう

・読み子さんは甘え下手なので上手に意思を汲み取ってあげることが大事です


さてさて・・・先行き不安しかないけど、どうなるんだろ?


とりあえず気が向いた時に向いたほうを書く予定なので、気長にどうぞ

誤字なんかの注意事項は活動報告かプロフィール

進行具合はプロフィール辺りに書いてます


ではでは、少しでも楽しんでいただけたら幸いです

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