第十九話
とりあえず、ここらで一区切りです。
R15かな?
ちょっとシリアスです。
王城に着いたので、馬車を降りる。
これで、シンデレラは終わりだ。
すべての魔法がとかれ、いつものみすぼらしいただの侍女に戻る。
「あの、本日はありがとうございました。楽しかったです。」
ななめ下を向きながらそう言う。
その言葉は本心だったけれど、同時に村娘はどんなに着飾っても所詮村娘なのだと感じたのは確かだ。
壮大な劇場の特別席、煌びやかな高級レストランのVIPルーム。
私が求めているのは、そんなきらきらしたものじゃない。
私は、ごく平凡な人と結婚して、ごく平凡な人生を送りたい。
「またお誘いしても?今度は二人きりで。」
私は、首を左右に振る。
「なぜです?」
「・・・今日は、ただの仕事です。では、失礼します。」
私はそう言ってお辞儀すると、侍女棟のある南棟へ向かおうと踵を返した。
そのとき。
腕がぐいっと引かれて、視界が反転した。
「・・・んっ!!」
信じられないことが起こっている。
目の前にセシウス様の顔があって。
「んっ!!」
腕で押して抵抗しようとすると、片手でまとめられる。
身をよじろうとすると、強く腰を引かれる。
そのうち、口の中に何かぬめっとしたものが入ってきて、私は本格的にパニックに陥った。
「んっあ・・・やっ」
密着すると、腰に固いものが当たるのが分かった。
その間もずっとセシウス様の舌が私の中で動いている。
絡めるようにしたと思ったら離れ、口の端からこぼれた唾液はあごを伝った。
舌をすわれるたび、おなかの奥の方がきゅんとする。
息が苦しくなってだんだんと意識が朦朧としてきた。
しばらくして、セシウス様の拘束の手が緩んだ一瞬のすきをついて、私はそこから走り抜けた。
後ろの様子なんて、気にしている余裕はない。
侍従者用のドアを入って、階段を駆け上る。
脚はふらふらだけど、どうにか、自分の部屋まで戻ってくることができた。
私はそのまま、自分のベッドにダイブする。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
胸がどきどきしている。
どうして。どうしてあんなことをしたの・・・?
私は、身分違いの恋なんてしたくない。
これ以上、セシウス様を気にしたくない。
それなのに。
「はぁ・・・・はぁ・・・・・・・・」
頬が熱くなってしまうのは、私が男の人に慣れていないから。
この胸の高鳴りは、初めてお姫様扱いをされて舞い上がっていたから。
私は無理やりそう結論付けると、自分の気持ちに蓋をした。
自分が、傷つかないように・・・
ぬるいですね・・・すみません。
次からもまた一進一退の攻防が続きます。