第十四話
ガチャ
「え・・・」
ガチャ
私は開けかけた自室のドアを閉めた。
今、一瞬ドアの外に正装したセシウス様がいらっしゃったように見えたのは気のせい・・・?
よね、きっと。
私はもう一度ドアを開け・・・・・すぐに閉め
「なぜ閉めるのですか。」
られなかった。
セシウス様にドアを押さえられてしまったので、慌ててドアから手を離す。
セシウス様はにやりと笑うと、細く開けたドアからするりと中に入った。
「へぇ・・・これはまた・・・」
彼はじーっと上から下まで私を見て自分の顎を撫でる。
なんとなくいたたまれなくて、下を向きかける、が、今日は自分に自信を持ちたい。
私は、姿見を見る時よりも大きな勇気を振り絞って、セシウス様の顔を見た。
見上げた彼の顔は、いつものように意地悪そうな感じではなく、少し驚いたといった感じだ。
「どうして、セシウス様がここへ?」
「もちろん、あなたを迎えに来たのですよ。それにしても、美しいですね。一瞬誰か分かりませんでした。」
失礼な!
と思ったものの、いつも全くのノーメイクで適当に一つにまとめているだけなので、今日はいつもと別人かもしれない。
彼は私の近くに来ると、右手を差し出してひざまずいた。
「リディア様にはフィリップ様が迎えに行っているでしょう。
レディ、私と出掛けていただけますか?」
私は、ただリディア様に着いて行くだけかと思っていた。
でも、この状況は考えていたものと全然違う。
ドレスアップした男女二人組で、男性が女性にひざまずいている。
ぽーっとなってしまって深く考えることができない。
私は夢見心地でセシウス様の右手に左手を重ねた。
馬車の中で、セシウス様と二人きりでいる、という事実が急に現実的になってきたが、特にセシウス様は気にしていないといった感じだったので、私も気にするのはやめた。