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再生  作者: 岡田 浩
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第2部 「義幸(よしゆき)」の再生

第1章 再出発

1-1 再出発

 学と弥生がドイツに旅立った次の日の月曜日から、僕らは、それぞれが新たな気持ちで生活をはじめた。

 朝、僕が工場に行くと、おやっさん、おかみさん、葉月が、妙に大声で


 「おはようーーー!!」


と声をかけて来た。そして、作業着を着たおやっさんと葉月は、お客さんから頼まれている自動車の修理に取り掛かった。おかみさんは、弥生に任せていた事務の仕事に戻って、会計処理などをはじめた。僕も、担当の自動車の修理に取り掛かった。

 こうして、何ごともなかったかのように、日々は過ぎていった。

 たったひとつ、変わったことがある。昼休みになると、葉月がパンと牛乳パックを持って現れ、僕が座っている長椅子の、僕の横に座って、いっしょに昼食をとるようになったことである。

 

 「どうしたの?今までは、家に帰って、家族で食事をとっていたのに?」


 「小春日和で心地いいじゃない。じゃま?」


 「じゃまじゃないよ。確かに、こうやって座って、パンと牛乳で昼食をとりながら、さわやかな風に吹かれるのは、気持ちがいいよ。幸い、僕は花粉症じゃないし・・・。

 特に、春と秋は気持ちがいいのさ。夏は暑いし、冬は寒いけど、僕は、この工場で働き始めてから、ずっと、こうして過ごしていたから、慣れてしまった」


 「そうね・・・。でも、あなたの昼食って、いつも同じパンと牛乳ね。飽きないの?栄養が偏るのじゃ?」


 「そういえば、そうだね。でも、大丈夫だよ?僕って、毎日同じものを食べても、飽きないタイプだから、昼食は同じものになりがち。でも、朝ごはんと夕ご飯は、お母さんがバランスの良い食事を作ってくれて、家で食べているから、栄養バランスは大丈夫だよ」


 「そうね。朝と晩でバランスの良い食事していたら、昼食は、同じものでもいいか・・・」


 そのようなたわいのない会話をしながら、僕らは、昼食をともに過ごすようになった。


1-2 日曜日、桜の木の下で

 その週末の日曜日。僕は何もすることなく、家の中でボーっとしていた。気づいたら、朝の11時。その時、玄関の方から、呼び出し「ピンポーン」という音がした。

 2階の自分の部屋にいた僕は、「どうせ、お父さんかお母さんのどちらかが出るだろう」と思って、放っておいた。そしたら、


 「ビンポーン、ピンポーン、ピンポーン・・・」


と何度も呼び出しの音が鳴る。

 「しょうがないなぁ」と思いながら、2階から降り、玄関のドアを開けた。

 するとドアの前に、真っ白なワンピースに、薄桃色のカーディガンを纏い、ちょっと大きめのバスケットを持った、葉月が立っていた。左手の薬指には、学と弥生を見送った時にあげた指輪をしていた。


 「どうしたの?」


 僕が聞くと、葉月が逆に聞いてきた。


 「今日、ヒマ?」


 「うん。ヒマだけど、どうして?」


 「良かったら、いっしょにお出かけしない?」


 「えっ、行けるけど・・・」


 「近くの『天満宮』の桜を見ながら、いっしょにお昼ごはん食べたいなぁって思って。サンドウィッチ、作って来たの。行かない?」


 僕は、葉月の急な誘いだったので、慌てたが、すぐに答えた。


 「わかった。行く、行くよ。ちょっと待って、着替えてくるから・・・」


 僕はすぐに、洋服に着替え、二人で出かけた。

そして、天満宮の桜の花が咲き誇る、池のほとりの木の下について、池のそばの椅子に座った。

 葉月が僕に話しかけてきた。

 

 「桜がきれいね。それに、今日も小春日和で、風も気持ちいいわぁ・・・」


 「そうだね・・・。ありがとう。僕、何もすることなくて、家でボッとしていたから、良い気分転換になったよ」


 「なら、良かったわ。さぁ。サンドウィッチ、食べましょう。水筒にアイスミルクコーヒーも入れてきたし・・・」


 葉月はそういって、バスケットから、大きめのお皿を出して、作って来たサンドウィッチを並べてくれた。卵サンドやツナサンド、野菜サラダのサンドなどが2つずつあった。」


 「好きなのから食べていいわよ」


 そういいながら、紙コップを出し、アイスミルクコーヒーを入れて、僕に渡してくれた。


 「ありがとう。サンドウィッチ、たくさんつくったね。以外だなぁ。いつもは、工場で自動車の修理をしている葉月しか見ていなかったから・・・。サンドウィッチなんかもつくれるのだ・・・」


 「これでも、一生懸命につくってきたのよ。あなたに食べてもらいたくって・・・」


 「でも、僕が家にいるって、よくわかったね」


 「だって、お姉ちゃんとの“回想思い出デート”をやめてから、あなた、休日は家にこもっていがちだって、あなたのお母さんから聞いていたから・・・」


 「そうか。ありがとう。本当に・・・」


 僕らは、桜の花を見ながら、サンドウィッチとアイスコーヒーで昼食をとった。

 ひと通り、食事をとった僕たちは、さわやかな風に吹かれて、椅子に座っていた。その時、僕は、気になっていることを聞いた。

 

 「その服は・・・?」


 「ああ。この服?この服は、お姉ちゃんが学さんの住んでいるマンションに引っ越しをする時に置いていったの。あと何着かあるわ。お姉ちゃんの『御下がり』なの。昔のお姉ちゃんのお気に入りの服みたいだったみたいだけど、お姉ちゃん、『置いて行くから、よかったら、あなたが着てね』って言って・・・」


 「そうか。実は、その服は、僕が弥生に婚約を申し込んだ時に、弥生が来ていた服なのだ」


 「ごめんなさい。とてもおしゃれな服だと思って着てきちゃった。いやだった?」


 「いや、いやじゃないよ。でも、ほとんど、『作業着』姿の葉月のイメージしかなかったから、最初見た時、びっくりした。さすが、姉妹だね。よく似合っているよ」


 「そう・・・」


 そういうと、葉月は、持っていたコーヒーカップを椅子に置き、座って、池のほうを見ながら、一つ、深呼吸をした後つぶやいた。


 「私、おねえちゃんの代わりにならないかなぁ・・・」


 僕は、急な葉月の一言で、動揺して聞き直した。


 「代わりって?」


 すると、葉月は、ちょっと顔を赤らめて、つぶやいた。


 「私、本当は、あなたのことがずっと好きだったの。お姉ちゃんに遠慮して・・・我慢して言えなかったの。『お姉ちゃんの代わり』って言い方は失礼だよね。『代わり』じゃない。真剣に、私と、お付き合いしてほしいの・・・」


 「ぼっ、僕と?」


 「そっ、そうよ。どうかなぁ?」


 一時の沈黙の後、僕は改めて聞き直した。


 「でも、僕のこと、そんなに知らないでしょ?私生活や、僕の性格なんて・・・」


 「お隣通しなのよ。子供のころから、あなたのことはよ―く知っているわ。知っているから、好きになったの・・・。もう一度言うわ。私とお付き合いしてほしいの」


 僕は、葉月の一言で、一瞬、目が覚めたような気がした。


 「そう言われると、よく考えたら、弥生よりも葉月の方が、気兼ねなく、なんでも話しあえるものなぁ。そうか、気づかなかった・・・」


 僕がそう答えると、葉月は、頬を膨らませながら、僕の方を見て言った。


 「違―――う。鈍いわねぇ。私が聞いているのは、『お隣通しの仲良しの幼馴染』ではなく、『一人の女性』として、あなたは私のことをどう思っているかって聞いているの!!」


 少し顔を赤らめながらも、頬を膨らませて、半ば怒っている葉月を見て、「かわいいなぁ」と思った。  そして、葉月にあやまりながら、答えた。


 「ごめん。ごめん。僕って、確かに『鈍い男』だな。言われてみたら、『一人の女性』としても、僕、葉月のこと、好きだ。今、気づいた。本当にごめん」


 「もう・・・。お姉ちゃんから告白された時は、もっとロマンチックだったのでしょ?祥さんから聞いているわ。本当にもう・・・」


 そのように怒りかけている葉月の手を取って立ち上がらせ、僕は、人目もはばからず、葉月のことを抱きしめた。


 「ごめん。ロマンチックじゃなくて。でも、葉月のこと、好きだよ。僕も『お姉ちゃんの御下がり』だけど・・・」


 「私は、お姉ちゃんよりも早く、あなたのことを好きだったの。先にお姉ちゃんがプロポーズしただけ。あなたは、お姉ちゃんの『御下がり』ではないわ・・・。来週から、毎週、デートに連れ出すから、覚悟しておいてね・・・」


 葉月は少し目を潤ませながら、しっかりと義幸に抱き着きなおした。

 僕は、改めて、葉月よりもギュッと葉月を抱きしめた。


第2章 体の異常

2-1 手からすべり落ちた工具

 葉月から告白を受けてから、僕と葉月はデートを重ね、2か月後、結婚を前提に付き合い始めた。

 平日も、工場でいっしょに働き、お昼は、葉月がさまざまな具の入ったおにぎりを用意してくれ、いっしょに昼食をとる。

 その雰囲気をおやっさん、おかみさんや、僕の両親も好意的に見ているようだ。

 仕事中、僕がお客さんの自動車のボンネットを開けて、エンジンルームのメンテナンスをしていると、にやにやしながら、おやっさんとおかみさんが近づいてくる。おかみさんが、


 「もう、あなたたち、『夫婦』みたいね。あなたたちに、この工場を任せて、そろそろ、私たちは『隠居しようか・・・』って話しているの」


と言っている。横で、おやっさんは、にやにやして聞いている。

 そうすると、その自動車の下に入り、エンジンオイルなどが漏れていないかを確認していた葉月が、ちょっと赤めた顔を自動車の下から出して、


 「もう・・・。ちゃかさないで。仕事中でしょ」


と言うと、おかみさんが、にやにやしながら、


 「あら。同じ自動車を二人でメンテナンスしていたの。仲のいいこと。フフッ」


とさらに僕らをちゃかしながら、自分たちの仕事場に戻っていく。

 僕が家に帰って、両親とともに夕食をとっていると、お母さんがニコニコしながら、

 

 「葉月ちゃんと結婚したら、何処に住むの?あなたたちさえよければ、葉月ちゃんに家に来てもらって、2階に住んでもいいのよ。工場はお隣だし、便利でしょ?」


などと、気の早いことを言う。


 「わかったよ。二人で決めるから、ちょっと待って」


 僕と葉月も、「結婚式は、費用が溜まってから行うとして、『入籍』しようか」と話していた。

 そのような幸せな日が続いた、梅雨のある日のことだった。

 僕は、メンテナンスをしている自動車のタイヤ交換をするために、工具棚にあるレンチを取ろうとした。その時、僕の右手に“しびれ”を感じ、レンチを落としてしまった。工場に、レンチが床に落ちた音が響いた。


 「どうしたの?」


 他の自動車の修理をしていた葉月が聞いてきた。僕は、しびれた右手を左手で押さえながら、笑顔をつくって、


 「ごめん、ごめん。ちょっと、手がすべったのだ」


と、その場を取り繕った。

 しかし、その後も、たまに、手や足がしびれたり、数分、手足が動かなかったりした。またある時は、急に、メンテナンスの時に使う工具の名前を忘れて、


 「葉月、工具棚から、“アレ”取って?」


 「“アレ”って?」


 「ほら、この、ネジを締めるヤツ・・・」


 「ああ、ドライバーね。どのタイプのドライバー?大きさは?」


 「ええっと。ごめん。こちらに来て、見てもらえるかなぁ・・・」


 「わかったわ。ちょっと待って」


 葉月は僕のところに来て、僕の作業しているところに来て言った。


 「どれ?」


 「ここ。このネジを緩めて、フタを開けて、中を見たいのだ」


 「ああ、普通の“マイナスドライバー”ね」


 葉月は、工具棚から、マイナスドライバーの入っている工具箱からマイナスドライバーを取ってきて言った。


 「どうしたの?最近、何か動作がぎこちなさそうに見えたり、いろいろな物の名前を忘れたり、ちょっと、おかしいわ」


 そう葉月に言われて、僕は、正直に今の体の“変調”を話した。


 「実は、作業をしている時に、急に手足にしびれるような感覚があったり、手足が動かなかったり、今みたいに、“物”の名前を忘れたりするのだ」


 「そう。心配だわ。今度、近くの病院に行って、検査してもらいましょうか?何科の病院がいいかしら・・・」


 そのようなやり取りをした数日後のことだった。


2-2 緊急搬送

 7月初旬のある平日の朝、僕は、いつものように、工場に来て、入り口から中へ入ろうとした。その時、僕の意思通りに、右足が動かなくなった。転ぶと思い、右手で支えようと思ったが、右手も動かなかった。僕は、そのまま、倒れ、頭を強く打った。

 “ドスン”というような大きな音がしたのだろう。たまたま、朝早くから来ていた葉月がそれに気づき、


 「何?」


と言って、工場の入り口のところまで来て、頭から血を流しながら倒れている僕を見つけて、


 「キャー。どうしたの。大丈夫?」


と僕に話しかけてくる。僕は、意識はあったが「痛い」と言う言葉が出ず、うめくしかなかった。葉月は、大声で、工場とつながっている自宅の方に大声で、叫んだ。


 「お父さん。お母さん。義幸さんが大変なことになっているの。救急車を呼んで」


 それに気づいたおやっさんとおかみさんもあわてて僕の様子を見に来て驚き、おかみさんが救急車を呼んだ。

 僕は、すぐに来た救急隊の人たちに、応急処置をしてもらった上で、救急車で「都中央病院」に運ばれた。葉月が付き添いで、いっしょに救急車に乗ったようだ。僕に、涙声で


 「大丈夫?大丈夫?」


と何度も声をかけてくれるのがわかった。

 病院に着いたようだ。僕は、担架に乗せられて、救急隊に運ばれた。そして、救急治療室のベッドに寝かされた。そして、複数のお医者さんたちが、僕の頭の治療や、体の触診をしてくれているようだ。その時、聞き覚えのある声がした。


 「義幸君。話せるか?」


 中山教授だった。


 「その声は、なっ中山教授ですか?はい。今は、話せます。でも、倒れた時は、話すことができなかった・・・」


 そう言うと、僕は気を失った。


―――――


 僕が気を失っている間、僕は外科の診察室の横の部屋のベッドに運ばれたようだ。

 そして、診察室では、中山教授が、葉月に僕の状況について、聞いていた。


 「葉月さん、久しぶりですね」


 「教授、お久しぶりです。その節は、姉が大変お世話になりました」


 「弥生さんは命が助かって良かった。ただ、今の医療では『記憶』の再生まではできなかった。申し訳ない。ところで早速ですが、どのような状況で義幸さんはあんな大けがをされたか、わかりますか?」


 「すいません。何が原因かはわかりません。私は、『ドスン』と言う音が聞こえて、その方向を見てみると、工場の入り口で、義幸が頭から血を流しながら倒れていました。わたしが『大丈夫』って聞いたら、何か、話したそうな感じでしたが、言葉にならないようで、うめき声をあげていました」


 「義幸さん、意識はあったのに、話せなかった・・・」


 「私にはそう見えました」


 「そうですか・・・。他に、最近の義幸さんのことで、何か、気になることはありますか?」


 「はい。義幸は最近、『急に手足にしびれるような感覚があったり、手足が動かなかったり、日頃から使い慣れている工具などの“物”の名前を忘れたりする』って言っていました。もしかしたら、今日、倒れたのも、急に、手足が動かなかったのかもしれません」


 「最近って、どれくらいですか?」


 「ここ2~3か月くらいです。学君と私の姉がドイツに旅立って、すぐだったと思います」


 「それまでは何もなかった?」


 「はい」


 「そうですが、ここ2~3か月の間ですね。急に手足が動かなくなったり、物忘れしたりするとのことですが、もしかしたら、何か、ここ2~3か月で『脳』に障害が出たのかもしれませんね。MRIやCTスキャンで脳の検査をしてみます。今、応急処置をして頭の止血をしましたし、他の医師が触診した限りでは、頭以外に外傷はありませんし、骨などにも異常がありませんでした。今からすぐMRIやCTスキャンで検査をします。2時間後には結果が出ると思いますので、お待ちいただけますか?」


 「はい。私は、義幸に付き添いながら、結果をお待ちします」


 二人の話は終わり、すぐに義幸は、「搬送用医療ベッド」に移され、MRI、CTスキャンのある検査場まで運ばれた。葉月は、義幸に付き添った。

 葉月は、青山家の両親、山田家の両親に携帯電話で、今の状況と検査結果が出るまで、義幸に付き添うことを連絡した。おやっさんは、「仕事のことは気にせず、義幸君のそばにいるように」と話し、山田家の両親は、「ありがとう。すぐに、都中央病院に行く」と話してくれた。


―――――


 僕は、MRI、CTスキャンの検査を受けるために、搬送用医療ベッドで運ばれている時に、気がついた。 

 目をさますと、可動式ベッドの上で寝ているようで。右側に、葉月が心配そうな顔をして見ているのに気づいた。


 「葉月・・・」


 「義幸。気がついた。今、『都中央病院』よ。今から、MRIやCTスキャンの検査を行うからね」


 「わかった。ありがとう」


 僕は、MRI、CTスキャン検査を済ませ、外科の診察室の横のベッドまで運ばれ、そこで横になっていた。葉月は、ベッドの横の椅子に座り、僕の右手を握って、目を潤ませながら座っていた。そのうち、僕の両親が来た。お母さんが僕に話しかけて来た。


 「義幸。大丈夫?」


 「ああ。大丈夫だよ。心配かけたね」


 僕のお父さんは、ベッドの左側に立って、僕のことをほっとした顔をして立って見ていた。

 僕らは、検査結果が出るまで待っていた。どれくらい待っただろうか?僕のベッドのところに、中山教授が来た。


 「検査結果と、今後のことについて、話したいと思います。私の診察室に来てもらい、MRI、CTスキャンの検査結果などを見てもらいたい。義幸くん。歩けますか?」


 僕は、体を起こそうとして、体に力を入れようとした。しかし、僕の右半身にまったく力が入らなかった。


 「すっ、すいません。右手と足に力が入りません。起きようとしても、起きられないようです」


 「そうですか・・・。それでは、車いすを用意しましょう。看護師の手を借りて、車いすに乗り、私の診察室に来ていただけますか?」


 「わかりました」


 僕がそう答えると、中山教授は、数名の看護師に指示をして、車椅子を用意した。そして、2名の看護師が僕に手を貸してくれて、なんとは、僕は車椅子に座ることができた。僕は看護師の一人に車椅子を押してもらい、中山教授の診察に行った。葉月や僕の両親もいっしょに来た。


2-3 検査結果

 診察室に入ると、正面の左側に中山教授のデスクがあり、大きなモニターとそれに連結されているダブレット端末がデスクの上にあった。すると、入り口から中山教授が入ってきて、デスクの前の椅子に座った。そして、中山教授は、椅子を僕らの方に回転させて、僕らの方を向いた。その上で、


 「看護師さん、私の前に義幸君の車椅子を。それから、関係者の方々が座れる椅子を用意してください」


 看護師さんの一人が、僕の乗った車椅子を中山教授の前に運んでくれた。そして、他の看護師さんが、葉月と僕の両親用の折りたたみ椅子を用意してくれた。折りたたみ椅子は、僕を囲むように置かれ、葉月は僕の左側の椅子に、僕の両親は、僕の右側の椅子に座った。


 「それでは、現時点の診断結果をお話しします」


 「義幸君の病状の原因ですが、脳の萎縮だと考えられます。『若年性アルツハイマー病』に似た症状です。私の前のモニターを見ていただけますか?」


 僕と、葉月、僕の両親は、モニターを見た。中山教授は、話を続けた。


 「一年前に、義幸君が大けがをされた時に撮影していた時のMRI、CTスキャン画像と、今日、撮影したMRI、CTスキャン画像を比較しました。それを見ると、脳の萎縮、特に、からだの動作や内臓の動作を制御する前頭葉と小脳の萎縮が大きく、正常時に比べると2/3程度の大きさになっています。記憶を司る側頭葉にも、前頭葉や小脳ほどではないですが、それでも、3/4程度に萎縮しています。

 何が原因で、このような病状になったのかは正直、わかりません。もしかしたら、1年前の事故の後遺症が、今頃になって、出て来たのかもしれません。

 ところで、義幸君。君が体の変調を感じたのはいつくらいですか?」


 「ここ2~3か月くらいです」


 「そうですか。先ほど、葉月さんにお聞きしたことと同じですね。もし、義幸君や葉月さんのお話通り、2~3か月前から脳の萎縮が始まったとしたら、萎縮するスピードが非常に早い。1週間程度様子を見て、MRIやCTスキャンの検査をして、脳の様子を見てみますが、義幸君の病状は、『若年性アルツハイマー』よりも重症です。このスピードで脳が萎縮してしまえば・・・、記憶がどんどん失われていくことはもちろんですが、体が動かなくなる。そして、内臓を動かす命令を脳ができなくなり、それが心臓に達した時に、死に至ります。私の見立てでは、このまま放っておくと、義幸君の寿命は2~3か月だと思います」


 葉月は僕の横で大粒の涙を出して泣いていた。僕の両親もガックリと肩を落とした。それを見た中山教授は、ひと呼吸して、何か、覚悟を決めたような表情で、僕たちに話しはじめた。


 「たった一つだけ、義幸君を助ける道があります」


 すると、泣いていた葉月が、中山教授に祈るようにたずねた。


 「それは、どんな方法ですか?」


 「『弥生さん』の時に行ったことと同じ処置。義幸君の体内からIPS細胞を取り出し、義幸君の『新しい脳』を培養し、今の脳と取り換える。新しい脳を移植する『脳』の再生手術です」


 一瞬、そこにいたみんなが静かになった。中山教授が弥生に行った「処置」の後のことを知っているからだ。その沈黙を破って、僕があえて、中山教授にたずねた。


 「その処置を行うと、僕の『からだ』は再生できても、僕の『記憶』は再生できないということですか・・・」


 「残念ながら、そうなってしまう。『弥生さん』のように・・・」


 それを聞き、ひと呼吸置いて、僕は中山教授に答えた。


 「ちょっとだけ、考えさせてください。みんな、この件は、僕に決めさせてくれないか」


 さすがに、葉月や僕の両親は何も言えなかった。中山教授も


 「わかった。どうするかは、君に決めてもらうよ。とりあえず、君はこのまま入院してくれ。手続きは、私も手伝いますし・・・。個室を用意してもらおう」


 診断は終わり、僕は入院した。中山教授は、僕に、個室の病室を与えてくれた。入院手続きをしてくれた葉月と僕の両親は、


 「できるだけ、会いに来るからね」


といって、病院から帰っていった。


2-4 義幸の決意

 ベッドの中で、僕は、今後の処置をどうするか、考えていた。その時、僕はあることを思い出した。そして、一本の携帯電話をかけた。


 「僕の相談にのってくれないか・・・」


と。

 次の日の午後、携帯電話をかけた相手が僕の病室を訪れた。その人物は、病室のドアを開けて入ってくるなり、


 「今度は、お前が入院か。またまた、びっくりしたよ」


と言った。僕の親友の『祥』である。


 「どうした?今度は何があったのだ?」


 僕は、ベッドから体を起こそうとした。しかし、右腕が思うように動かない。

 それを見かねた祥が、


 「大丈夫か。手を貸すよ」


と言って、僕のところに近づき、僕をささえて、起き上がらせてくれた。


 「ありがとう」


 「何か、大変そうだなぁ。体が思うように動かないなんて、どうなっているのか、聞かせてくれ」


 そうたずねる祥に、空港で学と弥生を見送ってからのできごとを話した。

 ・葉月と僕が結婚を前提につきあっていること

  葉月が僕のことを昔から「好きでいてくれた」こと

 ・僕の病気のこと

  重度の「若年性アルツハイマー」のようなもので、このままだと寿命が2~3か月しかないこと

 ・僕の病気を治すのは、「記憶」が失われる確率が高いが、再生医療で僕に「新しい脳」を移植するし かないこと

 ・再生治療を行うかどうかを僕に決めさせてほしいと、中山教授や葉月、僕の両親に話したこと


 それを一通り聞いた後、祥がたずねた。


 「それで、お前、どうするつもりなのだ」


 「それを決めるために、お前に連絡を入れたのだ。ところで、僕が見たいと頼んだものは持って来たか?」


 「ああ。持って来たよ」


 そう言うと、祥は、カバンの中から、自分が生成AIをベースにつくった「バーチャル彼女」のシステムポットを取り出し、僕のベッドに備え付けられているテーブルの上に置いた。


 「スイッチを入れるから、会話して見ろよ」

 

 そういって、祥は、スイッチを入れた後、僕に話した。


 「このAIポットの上のモニターに、アニメだけど、俺の好みの女の子の画像がでているだろ。その下にスピーカーがある。モニターは画像認識用のレンズにもなっているし、スピーカーはマイクも兼ねているから、お前、モニターを見ながら、スピーカーの部分に話しかけてみろよ」


 モニターのアニメ顔の女の子は、ちょっと笑顔を浮かべている。僕は、そのモニターの「彼女」を見ながら、話しかけた。


 「こんにちは」


 「こんにちは。あなたははじめてみる顔ね。あなたはだーれ?」


 「僕は、山田 義幸といいます。祥さんのお友達です。よろしくね」


 「あの、世界一カッコ良くて素敵な『祥』さんのお友達なの。うらやましいわ」


 「祥が『世界一カッコ良くて素敵・・・?』」と思いながら、続けて僕は話しかけた。


 「君のお名前は?」


 「私の名前は、『ユイ』。こちらこそ、よろしくね」


 「ユイさんの趣味は?」


 「祥さんといっしょに行く『散歩』。いろいろ、景色のきれいなところに連れて行ってくれるのよ」


 そう言うと、モニターの画面に、「桜」「紅葉」などの植物や、「富士山」「エッフェル塔」などが写し出された。その後、スピーカーから、ユイの声が聞こえた。


 「祥さん、私を連れて、いろいろなところに行ってくれるの。祥さんがいろいろ説明してくれて、楽しいわ。あなたは、何が好きなの?」


 「僕が好きなのは『葉月』さ」


 「『葉月』って?」


 「僕の彼女。彼女もいろいろなところに行くのが好きだし、彼女のおにぎりやサンドウィッチはとてもおいしいのさ」


 「そうなの。いいわねぇ。義幸さんにも好きな人がいて。ところで、葉月さんの写真。見せてくれる」


 僕は、祥に携帯電話を取ってもらって、撮った『葉月』の写真をユイに見せた。

 すると、モニターにユイのニコニコした顔が出て来た。


 「可愛い彼女ね。やさしそうな人じゃない。大切にしてあげなきゃね」


 「そうだね・・・」


 一通り、AIポットのユイちゃんとの会話を済ませ、「それじゃね」と言って、祥にポットのスイッチを切ってもらった。そして、祥に聞いた。


 「『ユイ』ちゃんって、誰だよ。お前、このキャラクター、どうやって作ったのだ?」


 「簡単さ。俺の好みの女優さんの映像や写真などを生成AIに読み込ませて、土台のイメージをつくってもらい、最後は、俺好みに微調整してつくったのさ。今は、肖像権など、厳しいから、好きな女優さんやタレントさんをそのまま使うことはできないけど、権利に引っかからないように、既存の『データ』から、架空の、かつ、俺好みのキャラクターをつくった。趣味と実益を兼ねて、楽しいぜ。

 今は、『対面でのデート』が苦手な『草食系男子・女子』が多いから、注文を受けてから、その人の好みのAIポットを作ってから販売している。そんなに儲からないけど、食いつないでいくくらいはできるよ」


 「そうか。最近の『生成AI』って、すごいのだなぁ。生成AIの中では、祥も『世界一カッコ良くて素敵・・・』になるのだね。これはちょっとやり過ぎだと思うけど」


 半ば、半笑いしている僕を見て、祥が話しかけた。


 「ところで、携帯電話で言おうとしていた『相談』ってなんだ」


 真顔に戻って聞く祥に、僕は答えた。


 「僕、中山教授のせっかくの申し出だけど、『再生医療』で生き残るのを断ろうと思っている。たとえ、『新しい脳』を移植して僕の体が生き残っても、僕の心は失われる。本当の『僕』ではなくなるのだ。『弥生』を見て、そう思ってしまった」


 「それじゃあ、葉月ちゃんもお前の両親も悲しむだろう」


 「それで思いついたのだ」


 「何を?」


 「僕の“心”を、僕の“魂”を残すことはできないだろうか?って。お前に、僕の『AIポット』、作ってもらえないだろうか?って」


 「そういうことか。お前らしいなぁ」


 「今、見せてもらった『ユイちゃん』のようなことができる『僕』を2台つくってもらいたい。

 1台は、うちの両親に渡して、寂しい時の話し相手になってもらう。

 もう1台は葉月に。ただ、僕はこれで、葉月の『心』を縛り付けようとは思っていない。あくまで、葉月が、もっと良い『彼氏』を見つけるまでの話し相手になればいいと思っている。葉月に渡す時は、お前が、葉月に注意しておいてくれ。『新しい彼氏ができたら、このAIポットを捨てるように』って」

 

 それを聞いて、祥は静かにうなずいた。


 「わかったよ。その注文、受けるよ。友達の“よしみ”だ。タダにしておくよ」


 「そうか・・・。ありがとう。入院代とか、いろいろお金がかかりそうだから、助かるよ」


 それを聞いた祥が言った。


 「それじゃあ、明日から、さっそく仕事に取り掛かるか・・・。幸い、まだ、何も学習させていない「さら」のAIポットが数台、会社に残っていたはずだ。お前のことを学習させるために、お前の家にいって、お前のアルバムや写真なども借りるぞ。

 もちろん、お前と葉月ちゃんにも手伝ってもらうぞ。なんせ、「葉月ちゃんが大好きな義幸」のAIポットをつくるのだから。

 お前には、自分が思っていることや、残したい思いを語ってもらう。

 また、お前と葉月ちゃんがいちゃいちゃしているところも学習させなきゃならないしな」


 「ありがとう」


 「それじゃあなぁ」


 祥は、自分が持って来たAIポットをカバンに入れて、僕の病室を出ようとした。その時、祥が僕に、


 「お前のその決意。葉月ちゃんやお前の両親には話しにくいだろうから、お前の家に行きがてら、俺が話しておくよ。お前は、中山教授に、お前の決意を話せ」


と言い残して、出て言った。

 祥はその足で、僕の家に行き、葉月と僕の両親に、僕の「決意」を丁寧に話してくれた。

 1週間後のMRI、CTスキャンの結果は思わしくなかった。僕の脳の病状は進んでおり、やはり、余命2~3か月だった。僕は、見舞いに来ている葉月と僕の両親、そして祥の前で、中村教授に、僕の「決意」を話した。葉月は、大粒の涙を流しながら、僕の傍で聞いていた。中山教授は、


 「義幸君の決意はわかりました。君のいう『AIポット』ができるまで、できるだけ、薬物療法などで、延命措置をとります。祥君。『義幸君の魂の入ったAIポット』、完成させてください」


と言った。祥はしっかりとうなずいていた。

 

第3章 「記憶」の学習

3-1 「記憶」の学習

 検査結果が出た次の日の昼、祥は一つのAIポットを持って、僕の病室に現れた。

 そして、僕をベッドから起こして座らせ、AIポットをベッドに備え付けられているテーブルに置いて、AIポットのスイッチを入れた。そして、祥が僕に話した。


 「AIポットの一台をここに置いていく。定期的に充電をしてもらうように、看護師さんにはお願いしているから、お前は、モニターの方に顔を向けて、自分の名前や生年月日、経歴や、葉月ちゃんとの思い出話など、お前が思いつくことを、このAIポットに話しかけ続けるのだ。聞いていてわからないことがあったら、AIポットが聞いてくるから、それに答えれば良い。とにかく、お前が『頭の中で考えていることや思い』をAIポットに話し続けるのだ。

 俺は、お前の家に行って、お前の部屋に上がらせてもらうぞ。もう一台のAIポットに、お前の写真や持ち物、それから、ご両親がいたら、お前の小さい頃の思い出などをしゃべってもらう。

 そして、その2つのAIポットどうしに学習させて、2台のAIポットを完成させる」


 そう言い残すと、あわただしく、祥は病室を出て言った。


―――――


 祥はその足で、山田家にいった。日頃は、平日は、義幸の両親は働いていたが、その日は、義幸のお母さんの奈々が休みを取っていた。


 「ごめんください」


 「祥さん。ありがとう。さあ、上がって」


 奈々は、祥を義幸の部屋に連れて行った。


 「ここが義幸の部屋よ」


 「ありがとうございます。それでは、義幸の写真や持ち物を見させてもらいますね」


 そう話すと、祥は、片っ端から、義幸の写真や持ち物を、持って来たもう1台のAIポットに学習させ始めた。そして、夜には、帰ってきた義幸のお父さんとお母さんに、義幸の思い出話をしてもらい、AIポットに学習させた。

 また、別の日には、義幸が働いている工場に行き、AIポットに工場の画像を読み込ませたり、葉月や葉月の両親に、義幸の思い出話をさせたりした。

 

――――――


 ある日のこと、祥は義幸の部屋で、義幸の思い出になりそうなものを、片っ端にAIポットに学習させていた。

 その時、義幸の本棚の一番上にある段ボール箱を見つけた。祥は、それをそっと降ろし、中を見た。

 中には、かつて、弥生と付き合っていたころの写真や、結婚式の披露宴の時に流す予定だった映像の入ったUSBを見つけた。


 「これは、どうするかなぁ・・・」


 祥は、段ボールの中から、何枚かの写真とUSBをカバンに入れて、都中央病院に向かった。


―――――


3-2 昔の思い出

 祥が都中央病院の僕の病室に入って来た。

 そこに、ちょうど、葉月が見舞いに来ており、義幸を起こして介護をしていた。


 「ちょうど良かった。二人に相談があるのだ」


 「なんだ」


 僕が聞くと、祥が話した。


 「お前の部屋の中に、こんなものがあったよ」


 それは、祥が義幸の部屋で見つけた、「弥生」との思い出の写真やUSBだった。


 「これ、AIポットに学習させるか?」


 葉月は、一瞬、黙った。そして、


 「それは、学習させないほうが・・・」


と言いかけた葉月の言葉に重ねるように、僕が言った。


 「学習させよう」


 「いいのか?」


 ためらう祥と葉月に対して、僕は言った。


 「その思い出があってこその、本当の『僕』だ。『弥生』とは、最後は残念なことになったが、それまでの思い出は、かけがえのないものなのだ。そして、それを乗り越えて、今は、『葉月』を愛している。それを、明るく話せるような、『俺』のAIポットを作ろう」


 それを聞いて、


 「わかった。そのように、AIポットには学習させるよ」


と祥が言った。それを聞いていた葉月は、思わず、僕を抱きしめ、キスをしてきた。

 それを、ベッドのテーブルにおいていたAIポットが凝視していているように見えた。


 「それそれ。お前ら、一緒にいる時は、いちゃいちゃしてくれよ。AIポットの完成度があがるから」


 祥に言われて我に返った葉月は、急にはずかしくなったのか、僕に抱き着いたままだが、顔が真っ赤になっていた。


 「そうそう。その表情もいいね。どんどんいちゃついてくれ」


 「もう、ちゃかさないの」


 そのようなやり取りがいつまでも続けば良いと思っていたが、僕の症状は重くなり、だんだん体が自由に動かなくなってきていた。記憶も、ところどころ、忘れることが多くなってきた。僕は葉月の前で、本音をポロっと言ってしまった。


 「再生手術で、『記憶』がそのままなら、本当は、再生手術を受けて、生きていたいなぁ・・・」


 それを聞いた葉月は、だんだん、哀しくなり、9月半ばのある日、祥が見舞いに来ており、中山教授が巡回で僕の症状を病室まで見に来た時、


 「中山教授、祥さん。お話があります。聞いてもらえますか?」


と言った。中山教授と祥は了承し、3人は病室を出た。僕は、中山教授と同行していた看護師の方に介護してもらった。


3-3 あきらめきれない思い

 葉月は、思いつめたような表情を浮かべ、中山教授と祥を、病院内の喫茶店に連れて行き、頼んだコーヒーを一口飲んだ後、話し始めた。


 「やっぱり、義幸の『脳の再生手術』、行ってもらえませんか?介護に来るたびに、弱っていく義幸を見ているのがつらいのです」


 一瞬、中山教授と祥は、無言になったが、中山教授が、話を切り出した。


 「葉月さんの気持ちはわかります。ですが、義幸さんご本人が、『再生手術』ではなく、『延命措置』を選ばれたのですから、医師としては、当事者の意思を尊重しなければなりません」


 それに対し、葉月は、涙ながらに訴えた。


 「『再生手術』で彼が元気になれば、私はいいのです。彼は、お姉さんのことがトラウマになり、自分がお姉さんと同じになった時に、私を悲しませるのではないか?と恐れているのです。この前、彼が本音をもらしていました。『再生手術』で生きたいっと。別の人格になったとしても、私は、彼に生き続けてほしい。『再生手術』で彼の体を、『AIポット』で彼の魂を残せばいいじゃないですか?どちらかを選ぶ必要があるのでしょうか?」


 それを聞いた祥が話した。


 「中山教授。俺たちは、義幸の体を残すか、義幸の魂を残すかのどちらかを選ばないといけないと思い込んでいたのかもしれません。葉月ちゃんの言う通り、両方、残せばいいじゃないですか?それに、弥生ちゃんの例もあるように、『再生手術』をしたからといって、義幸が、『すべて』を忘れるわけではないかもしれません。たまたま、弥生ちゃんは葉月ちゃんと学のことを憶えていただけで、もしかしたら、義幸は、『再生手術』をしても、葉月ちゃんを憶えているかもしれない。ここは、義幸が『若年性アルツハイマー病』で正常な判断ができなかったということで、葉月ちゃんや義幸の両親が、『再生手術を望んだ』ということにすれば良いのではないでしょうか?」


 それを聞いた中山教授は、二人に話した。


 「実はある日、僕が義幸君の回診を行おうと思って、義幸君の部屋に入ろうとした時に、義幸君と葉月さんの会話を聞いてしまったのだよ。義幸君は、『再生手術で、『記憶』がそのままなら、本当は、再生手術を受けて、生きていたいなぁ・・・』って葉月さんに言っていたよね・・・」


 そう言うと、中山教授は、腕を組んで考えていた。

 その時、僕の介護をしていた看護師が、走ってきた。


 「義幸さんの様子が変なのです。脈拍が乱れ、苦しそうなのです。意識も失ったような気がします」


 中山教授、葉月と祥は、急いで、僕の病室に戻ってきた。

 僕は、完全に意識を失っていなかった。

 中山教授が、呼びかける声がする。


 「義幸君。義幸君・・・」


 僕に取り付けられていた血圧計や心電図の波形は乱れていた。


 「義幸。義幸。いやーーーーー。死なないで」


 葉月が泣き叫ぶ声が聞こえる。しかし、僕は、声が出ず、何も答えることができなかった。


 「僕は、このまま死ぬのか・・・。お父さん、お母さん、おやっさん、おかみさん、お世話になりました・・・。学と弥生、幸せに暮らせよ。祥、最後まで協力してくれてありがとう。僕のAIポット、葉月とお父さん、お母さんに渡してくれ。

 それから、それから、葉月、僕がふがいなくて、幸せにしてあげられなくてごめん。大好きだったよ。これからは、早く、新しい恋人を見つけて、幸せになるのだよ・・・」


と思いながら、僕は気を失った。


第4章 再生手術

4-1 再生手術へ

 「脈拍が乱れている。補助人工心臓を使った、心臓のバイパス手術を行おう」


 中山教授の一言で、僕は手術室に運び込まれた。そして、中山教授の執刀で、補助人工心臓を使った心臓のバイパス手術が行われた。僕は手術後、ICU(集中治療室)に運ばれた。


―――――


 ICUに、手術を終えた中山教授が戻ってきた。


 「教授・・・」


 戻ってきた教授に、葉月が声をかけた。教授が葉月に答えた。


 「一旦、命は取り留めました。やはり、脳の収縮が、内臓を動かす機能にも障害を与えているように思えます。心臓の鼓動が弱かったので、補助人工心臓を体内につなぎ、動きが弱っている心臓を支えています。ただ、他の臓器にも影響を及ぼし始めるかもしれません。予断は許しません」


 「助けて・・・義幸を助けて・・・」


 葉月は一緒にICUのところに来ていた祥に泣きながら、もたれかかっていた。その時、義幸の両親が到着した。


 「俺が、義幸の両親に連絡しておいた」


 祥が言った。葉月と祥の元へ、義幸の両親が駆けつけたところで、中山教授が、葉月たちに話しかけた。


 「実は、義幸君がここに運び込まれ、病状を聞いた時に、“もしや”と思い、義幸君からIPS細胞を採取し、代わりとなる『脳』を培養していました。当初、義幸君は、『再生手術』を拒む発言をしていましたが、彼の時折見せる表情やふいに話すこと、そして、葉月さん、祥さんにお聞きする限り、それは義幸君の“本意ではない”と判断しました。ご両親の了解が得られれば、3日後には『脳の移植手術』を行うことができます。どうしますか?」


 すると、義幸の父の幸太が答えた。


 「再生手術をお願いします。一番、息子を“生かしたい”と思っているのは、葉月さんだと思いますので・・・」


 「わかりました。それでは、再生手術の準備に入ります。手術は3日後。時を急ぎますし、準備を行いますので、私はこれで・・・」


 中山教授は、ICUにいる医師たちに指示を出した後、教授の診察室に戻っていった。


4-2 帰ってきた「学」と「弥生」

 懸命の治療の甲斐もあって、3日間、義幸は耐えた。

 そして、手術当日の早朝、1台のタクシーが、都中央病院に着いた。

 タクシーから降りて来たのは、ドイツに行っていた学だった。

 学は着くと、すぐに中山教授の元に向かった。

 

 「教授。お久しぶりです。メールとお電話をいただき、ありがとうございます。すぐにも戻ってきました。」


 「ありがとう。元気にしていたか?今回は、君の親友の『山田 義幸君』の再生手術だ。君に執刀を手伝ってもらいたくて、ドイツの病院に無理を言って、君に一時帰国してもらった。手術は今日の昼からだ。大丈夫かね」


 「はい。大丈夫です。いただいたメールに添付されていた義幸の病状に関するカルテと、今回、『脳の再生手術』を行うことは、理解し、手術のプランと手順を想定してきました。念のため、確認をさせていただきますか?」


 「わかった。ところで、妻の『弥生さん』に変わりはないか?」


 「はい。いっしょに連れて帰ってきました。今頃、タクシーで実家の青山家に着いていると思います」


 「そうか、それでは、手術の手順を確認しておこう」


 「はい」


 そう言うと、二人は、ICUに行き、義幸の状態を確認した上で、手術の手順の確認を行い始めた。


―――――


 その頃、学と一緒に、一時帰国した弥生は、青山家にタクシーで帰ってきた。

 タクシーから降りるところを見かけたおかみさんが、弥生に声をかけた。


 「あら。弥生じゃないの。どうしたの?」


 「義幸さんが今日、『再生手術』をすると連絡があって、ドイツから急いで学さんと帰って来たの。学さんは、都中央病院に行ったわ。学さんは、義幸さんの『再生手術』の執刀をされる中山教授の助手をするようよ。

 ごめんなさい。ドイツに行ったあと、まったく連絡をせずに。やっぱり、気まずいものがあって、なかなか連絡ができなかった」


 すると、おやっさんが出てきて、弥生に言った。


 「義幸君は、もう、お前のことを許してくれているよ。安心しなさい。あの後、葉月が義幸さんと、『結婚を前提』にお付き合いをしている。葉月も義幸君のことが、本当は好きだったらしい。仕事も、デートも仲良くしていたのに、まさか、義幸君がこのようなことになろうとは・・・。葉月は3日前から、ずっと、義幸君のところにいるよ」


 「・・・良かった。私、義幸さんに『悪いことをした』って、ずっと自分を責めていた。学さんが『しょうがないよ。気を病まないように』って、私を支えてくれていたの」


 少し、目を潤ませる弥生を見て、おかみさんが、


 「ドイツから大変だったでしょう。とにかく、家にあがって、一休みしなさい」


と言われ、弥生は、荷物を持ち、工場の入り口から、青山家へ入っていった。


―――――

 

4-3 再生手術

 昼になった。義幸は、ICUから手術室に運ばれた。葉月と祥、それから義幸の両親は、手術室の前の椅子に座った。その時、手術室に執刀する中山教授を筆頭とする医師団が手術室に入ろうとしていた。その時、僕らに声をかける医師がいた。学だ。学は、葉月、祥と義幸の両親に声をかけた。

 

 「祥、お久しぶり。葉月さん、義幸のお父さん、お母さん、必ず、手術を成功させます」


 そう言うと、学は、医師団の最後に、手術室に入っていった。


―――――


 「再生手術」が始まった。葉月は祈るように両手を合わせて座っていた。

 義幸の両親もずっと、うつ向いたまま、静かに座っていた。祥は、手術室の入り口の前にずっと立って、手術が終わるのを待っていた。

 手術は、弥生の時と同様、10時間にも及んだ。手術が終わったのは、夜の10時過ぎ。医師団が手術室の入り口から出て来た。最後に出て来た学が、葉月、祥、義幸の両親に言った。


 「手術は成功だ。『脳』移植は、神経細胞同士をつなぐので、想定以上に時間がかかった。だか、脳波は正常だし、心臓も、補助人工心臓なしで、正常に動いている。みなさまもお疲れでしょう。僕がICUで見ていますので、一旦、みなさまはご帰宅して、お休みください」


 学の後ろで、学の話を聞いていた中山教授も話した。


 「今、学君が言った通りです。ICUで我々が見守っていますので、後は我々におまかせいただいて、一旦、お休みください」


 それを聞いた、葉月・祥・義幸の両親は、それぞれ、家路についた。


―――――


 手術後、義幸は昏睡状態が続き、弥生同様、2週間が過ぎた。


第5章 義幸の「再生」

5-1 新しい「義幸」

 「んんっっ・・・。なんだ?」


 僕はそう思いながら、目を開けた。すると、僕のまわりに、大勢の人の顔が見える。

 

 「誰だ。この人たちは?なんか、たくさんの人がいる。何か言っているぞ・・・」


 「新しい脳」を移植された僕は、ほとんどの記憶を失った。僕は、右横の人を見た。


 「義幸、義幸?気がついた?私がわかる?」


 「僕のそばで、僕の手を強く触っている人が何か言っている。『強く触っている』って『握る』って言うのだったっけ?それから、「目」って言うのだったかなぁ。そこから、水のようなものが流れている。これって、「涙」って言うのだったっけ・・・」


 僕は、少しずつ、自分の中で見たものが何というか?「言葉」を思い出しながら、考えながら、話しかけてくれている人の方を見た。


 「私は、葉月。私のことがわかる?」


 葉月が僕に話しかけて来た。


 「は・づ・き?」


 「そう、葉月よ?憶えている?」


 「えーーーっと。ごっ、ごめん。君の名前?は、わからない・・・」


―――――


 僕の周りには、右側に僕の右手を握って、涙を流しながら僕を見続けている葉月がいた。そして、僕の寝ているベッドを取り囲むように、右側の葉月の後ろには、僕の両親が立って、僕のことを見ていた。左側には、中山教授が椅子に座り、僕の方を見ていた。中山教授の後ろには、学が立っていた。


―――――


 続けて、僕は、カタコトの言葉で話した。


 「君の名前はわからない。でも、君の顔・・・はわかる。君の顔を見ていると、僕は気持ちがいい」


 すると、僕の周りにいる人たちが、何か、ホッとしたような顔をした。続けて、左側にいる人が話しかけて来た。


 「君は言葉が理解できるのだね。私は、『中山』というものだ。私の言っていることがわかるかい?」


 「はい。なんとなく。あなたは、『中山さん』?」


 「そうだ。私は、中山というものだ」


 中山教授は、続けて、僕にゆっくり、話した。


 「君の周りにいる人たち、わかるかい?」


 「すっ、すいません。『葉月さん』って言う人の顔だけです。それから、葉月さんの顔を見ていると、何か、心が、『落ち着き』ます。『心地よい』です。


 「そうか。少しずつ、考えてみて、思い出したら、言ってくれ」


 「はい」


 そのやり取りをしている時に、新たに二人、病室に入って来た。


5-2 義幸の「AIポット」

 「義幸。元気か?」


 入って来たのは、祥と弥生だった。


 「俺が義幸のところへ行こうとしていたら、義幸の病室の前で、『何か入りにくそう』にしている弥生ちゃんを見つけたので、一緒に入って来たよ」


 すると、祥といっしょに入って来た弥生が言った。


 「義幸さん、無事で良かった。今の義幸さんは、私が再生手術を受けて、最初に目覚めた時と同じ感覚だと思う。記憶にない人に囲まれて、最初は怖かったわ。今は、彼がわかる人が接してあげるのが良いと思う」


 続けて、祥が話し始めた。


 「そうか。それじゃ、俺たちのことを憶えているか、確認したほうがいいなぁ。おい、義幸。俺たちのことを憶えているか?」


 祥の問いかけに僕は答えた。


 「君は、『祥』。わかるよ。それから、その横にいるのは、『弥生さん』」


 「そうか。俺たちのことは憶えているみたいだなぁ。ちょうど良かった。お前に頼まれていたものが完成したので持って来たよ」


 そう言うと、祥は、AIポットを僕のテーブルに置いて、スイッチを入れた。

 すると、AIポットが、ベッドに寝ている僕の方にモニターを向けて話し始めた。


 「僕は、山田 義幸。君も山田 義幸だよ。僕は、昔の君。体を起こしてベッドの上に座ってごらん」


 僕は、葉月に支えられるようにベッドから体を起こし、座って、AIポットの方を見て言った。


 「僕が、『山田 義幸』?」


 「そうだよ。君は、山田 義幸って名前なのだ。僕の言っていることがわかるかい」


 「少し・・・だけ」


 「いいよ。少しずつ、覚えていこう。・・・」


 AIポットと僕が話をしている間、祥が周りにいる人たちに話した。


 「これは、『再生治療』を受ける前に、義幸から頼まれていた、生成AIで作った『AIポット』。名付けて『葉月ちゃん大好き。“口下手ではない山田 義幸“AIポット』さ。口下手な部分は、俺が微調整して、積極的に話すようにチューニングしている。2台用意して、1台は葉月ちゃん、1台は山田家用に用意した。葉月ちゃん、義幸の前のAIポットに話しかけてごらん」


 義幸と会話をしているAIポットに、葉月が話しかけてみた。


 「義幸さん」


 すると、AIポットが回転して、モニターを葉月の方に向けた。すると、モニターに笑顔の義幸が現れ、葉月の方に話しかけて来た。


 「葉月、葉月だね。大好きだよ。すぐに入籍しよう。一緒に住もう」


 それを聞いて、葉月の涙は止まり、顔を少し赤らめながら言った。


 「祥さん。チューニングの仕方、ちょっと間違っていない。積極的に話す部分は、祥さんみたい」


 「悪い、悪い。AIポットは、会話をして“なんぼ”だから。最初、素のままの義幸でAIポットを作ってみたのだけど、試してみたら、こいつ、自分から話そうとしないから、その部分だけ、俺の要素を学習させた」


 「まあ、素直に自分の気持ちを話せるだけ、ましだけど・・・」


 「それは、“おのろけか”?」


 「もう、知らない」


 僕はキョトンとしていたが、僕の周りのみんなは、クスクス笑っていた。

 すると、祥が葉月に話した。


5-3 義幸の「再生」

 「葉月ちゃん。葉月ちゃんのAIポットを貸してくれない?」


 「なせ?」


 「再生手術が終わってからすぐ、中山教授と学から相談があったのだ。この『AIポット』を使って、今の義幸に、『再生手術』を行う前の義幸の『記憶』を学習させることはできないかって。

 このAIポットを『葉月ちゃん大好き』モードにしたのも、『積極的に話す』ようにしたのも、実は、その狙いがある。幸い、再生した義幸は、葉月ちゃんに好意を持ったままの記憶が残っている。

 このAIポットと今の義幸に話をさせて、義幸の今の『脳』に昔の義幸の『記憶』を学習させたいのだ。  

 もしかしたら、話しているうちに、今の義幸の脳の中に残っている『記憶』があれば、それも呼び起こせるしね。だから、葉月ちゃんのAIポット、今の義幸に貸してくれない?」


 それを聞くと、葉月は目を潤ませながら言った。


 「ありがとう。ぜひ。私も、時間がある時は、AIポットと一緒に、義幸と話をするようにするわ」


 それを聞き、中山教授が言った。


 「それでは、ここは、祥君の作ったAIポットと葉月さんに任せて、我々は退散しますか・・・」


 義幸の両親、中山教授と祥が、病室を出た。弥生が葉月に声をかけた。


 「ドイツに行ってから、全然連絡を取らずにごめんなさい。でも、義幸さんとあなたが幸せになりそうなのを見られて、良かった」


 「ありがとう。学さんと幸せにね」


 弥生は、学に肩を抱かれながら、病室を出て言った。

 ベッドの義幸は、AIポットの義幸から、いろいろと過去の自分のことを聞いていた。


最終章 So together

 あれから、1年の月日が経った。

 学は、義幸のことを中山教授に任せて、弥生と再び、ドイツに戻った。たまに、青山家に連絡があるようで、幸せに暮らしているらしい。

 義幸の両親は、最初は、祥からもらった「昔の義幸の記憶を持ったAIポット」を頻繁に使って楽しんでいたようだが、「口下手でなく、おせっかいな」義幸のAIポットと会話するのが“うっとうしく”になったようで、今は、ヒマな時だけ、AIポットのスイッチをオンにして使っているようだ。

 祥は、引き続き、自分の会社を経営している。ただ、「バーチャル彼女」から卒業したようだ。いつのまにか・・・?都中央病院の看護師さんと仲良くなって、お付き合いをしている。バーチャル彼女のAIポット「ユイ」ちゃんは、「お役御免」になったようで、今はあまり使っていないようだ。

 そして、僕は・・・

 病院でのリハビリやAIポット・葉月からの学習をへて、昔の自分を今の脳に刻み込んだ。そして、中山教授からの『太鼓判』をもらい、無事退院した。

 それから間もなく、僕は葉月と結婚し、今は葉月の家に同居している。引き続き、AIポットで自分の過去の記憶を覚えながら、仕事は、葉月から教えてもらっている。

 おやっさんとおかみさんは、仲良くしている僕と葉月を微笑ましく、見守ってくれている。


―――――


 ある日、僕が、いつもの通り、自分のAIポットと話をしていると、AIポットがある質問をした。


 「君が一番愛している人は誰だい?その人を一生、幸せにするかい?」


 僕は、当然のように答えた。


 「僕が好きなのは『葉月』さ。一生、幸せにする」


 すると、AIポットのモニターの僕が笑顔になり、答えた。


 「君に、もう教えることはないよ・・・」


 それを僕の後ろで聞いていたのか、葉月が、僕のAIポットのスイッチを切った。そして、笑顔で僕に言った。


 「私も、AIポットと同じ意見よ。もう、学習は終わり。AIポットに教わることはなくなったわ。後は、私と一緒に、幸せな家庭をつくりましょうね」


―――――


 平日の昼休みは、葉月がつくってくれたおにぎりを、葉月と二人で楽しみながら食べる。

 僕はこのような、かけがえのない日常を過ごすのが、最高に幸せだと思っている。


                                         第2部 完


(誤字、脱字のチェックがまだ、完全ではありませんので、修正することがあると思います。ご了承を)






 本著を執筆しているうちに気持ちが変わり、当初考えていたものと違うエンディングになってしまいました・・・。

 当初は、

・「再生医療」で自分の「体」を残すか?

・「生成AI」で自分の「魂」を残すか?

を問うことを、本著の「テーマ」にしようと思っていましたが、ある夜、この書籍の登場人物の「葉月」が、私の夢の中に出てきて、「両方残せばいいじゃない」って説教されました(^v^)。

 私は、さらなる再生医療とAIの進化を願っています。そして、それらを融合して、有効に活用すれば、より良い世の中、人生になるのではないかと思っています。


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