表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーレンと仲間たちの旅 外伝①:始祖の鬼  作者: 凩冬馬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/10

第1話 白雲島に流れ着いた鬼の子

私の小説を読んでいただき、ありがとうございます。


本編終わってないのに外伝かよ!と自分でも思うのですが、どうしても、「最初の鬼」の話を皆様にご紹介しておきたかったのです。お楽しみいただけたら幸いです。


連載中の「アーレンと仲間たちの旅は、へんてこな武器から始まった」の10話から25話ぐらいまで読んでから、こちらの外伝を読んでいただくと、内容的につながる部分があるかなと思いますので、ぜひ本編のほうもよろしくお願いいたします。

夕暮れの海は、静かに揺れていた。白雲島の浜辺では、漁師の藤兵衛が一日の仕事を終え、網をたたんでいた。潮風に混じる藻の匂いは、島民にとって馴染み深い香りである。


そして、ふと見ると、波打ち際で、ゆらりゆらりと浮いている何かを見つけた。


「……おや、舟か?」


それは舟と呼ぶにはあまりに小さく、流線形の何かを入れる容器のようだった。波に押され、ゆっくりと浜へ近づいてくる。藤兵衛は胸騒ぎを覚え、足を濡らしながら駆け寄った。


小舟の中には、布で包まれた何かが置かれている。

藤兵衛は息を呑む。布の隙間から、赤子の顔がのぞいていたのだ。


「こりゃ……赤ん坊じゃねえか」


赤子は眠っていた。青白い肌は月光のように淡く、まぶたの下には大きな瞳が隠れているのだろう。頬は冷たく、長く海を漂っていたことを物語っていた。


藤兵衛は迷わなかった。


そっと抱き上げ、胸に抱き寄せる。

「生きてる……まだ温けぇ」


家に連れ帰ると、妻のお浜が驚きの声を上げた。


「まあ……なんて可哀想な。どこから流れてきた子なんだい」


「わからねぇ。だが、このまま放っておくわけにはいかん」


お浜は赤子を抱き取り、温かい湯で体を拭き、柔らかな布で包み直した。赤子は目を覚まし、ぱちりと大きな瞳を開く。


その瞳は、海の底のように深く澄んでいた。


「……きれいな目だねぇ」


お浜は思わずつぶやいた。


「何だか島の子とは違うねぇ……」


それでも二人は迷わなかった。


「きっと神様が授けてくださった子だ。うちで育てよう」


「ええ、そうしましょう」


夫婦は赤子に「みさき」と名をつけた。

海の岬に流れ着いた命。そして、島の未来を照らす灯火となるようにと願いを込めて。


みさきはすくすくと育った。


言葉を覚えるのも早く、礼儀正しく、いつも静かに微笑んでいた。だが、太陽の下に出るとまぶしくて何も見えなくなり、長く外で遊ぶことはできなかった。


でも、みさきには不思議な力があった。


ある日、藤兵衛が重い石を動かせずに困っていると、幼いみさきがそっと手をかざした。すると、石はふわりと持ち上がり、横へ転がった。


「み、みさき……今のは……」


「おとう、へいきだった? おてつだい、したかったの」


藤兵衛は驚いて言葉を失った。


みさきは成長するにつれ、より大きな岩や石を自在に操る力を見せるようになった。

島民たちは最初こそ驚いたが、その力が島民たちの暮らしを助ける場面も多々あったので、むしろありがたいものだと感じるようになった。

最近では鬼と聞くと人を食べたり、悪いことをすると感じる方が某漫画と一連のアニメシリーズで定着しているかもしれませんが、本作における鬼は違います。


皆様の周りで、一つの道を極めようとしている人とか、極めた人のことを、「~の鬼」といった表現を使ってその人となりを説明したりしませんか?


私がここで言う鬼とは、人をはるかに凌駕する力をもち、畏怖すべき存在という感じで使っております。ですので、角が生えたり、人を食べたりはしません。舞台となる白雲諸島では鬼というのは悪い意味を持たないのです。そこのところを、ご理解の上、読み進めていただきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ