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Heart〜急に他人の心の声を聞けるようになった俺は、色々と企むことにした  作者: くろくまくん


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7/7

お前の子供、なんて名前だったっけ?

婆ちゃんに、従兄弟の兄ちゃんの話を聞き、


改めてこの力は恐ろしいと感じた俺。


婆ちゃんの言うままに少し京都でゆっくりすることにし、


その晩は婆ちゃんちに泊まった。


◯登場人物


松岡まつおか 修二しゅうじ 23歳

IT企業勤務、システムエンジニア

人付き合いが苦手

急に他人の心の声を聞くことができるようになった。ボリューム調整可能


松岡まつおか 真司しんじ 20歳

シュウジの弟。既婚。子供がもう少しで生まれる


松岡まつおか 京子きょうこ 51歳

シュウジの母親


倉橋くらはし キヨ 82歳

シュウジの母方の祖母

 「まぁでも、ひとつだけは言うとくわ。人間しかできひん悪いこともあるんやけどな。人間しかできひん良いこともあるわ」


 なんだそれ、なんか曖昧な言い方だな。


「なんだよ婆ちゃんそれ」


「あとは自分で考えや。あ、シュウジどうするんや。ゆっくりしていくんか?」


「そうだな…まぁせっかくだからゆっくりしようかな。京都観光でも行く?」


 俺は軽口を叩いたが、もうすでに仕事にも戻るつもりも無くなっていた。


 じっくり。これからどうするかを、じっくり考えていこう。その日、俺は婆ちゃんちに泊まらせてもらった。1週間は居る気はないが、考える時間は少し必要だと思ったからだ。


 婆ちゃんちに泊まらせてもらったその夜。俺は寝床で一人、昼間に婆ちゃんが言っていたことを思い出す。


 人間にしかできない、良いことと悪いこと。


 良いことってなんだ?人助けか。相手の気持ちを思いやるとかそういうことか。自己犠牲の精神というやつか。


 逆に悪いこととは。当たり前の日常に飽き飽きして、更に欲望を追求することか。人を蹴落としてまで自分に得になることを追い求めることか。


 きっと。俺はこの心の声を聞く力を手に入れなかったとしてもだ。そのうちきっと心は壊れていた。なぜなら俺は人を信用することができなかったからだ。学校の教師も、同級生の連中も、付き合ってきた女も、会社の上司も、会社の同僚も、そして育ててくれた母親も。実の弟でさえも…。


 俺は昔から人より考え過ぎるほうだと言われていた。考えなくてもいいことまで考えてしまう。それを賢いと取るか、余分なことと取るかは、その物事によるのだろう。


 何も考えず、アホみたいに食べて、飲んで、なんとなく暮らすだけの毎日なら、どんなにか気楽だったろう。


 こいつはこの顔の裏で、何を考えているのか。こんな笑顔の裏で、どれだけドス黒いことを考えているのか。そんなことばかり考えて過ごしていたら、そのうちそれが怖くなって、自分が何をしたいのかがどんどんわからなくなっていった。


 顔も知らない俺の同世代の誰かが死んだことで手に入った、この能力は。きっと俺のずっと思い描いてきたこの心を。心底から願っていたことを、神様が叶えてくれたんだと俺は思う。


「シンジ…子供生まれたんだっけ?」


 俺は一人、暗闇の部屋の中でつぶやいた。確か今年に生まれる予定だとか母親が言っていた気がする。たまに少ない言葉のやり取りしかしないから忘れてしまったが、生まれてくる子は、男の子と言っていた。


『男の子でよかった』


 そう言ってたっけ。男の子で何が良かったんだろう。女の子ならダメだったのか?そもそも、シンジの奥さんてどんな女だったっけ。結婚式とかも挙げてなかったと思うから余計にわからない。


 まぁいい。とりあえず仕事を辞めないとな。仕事をしていては自由に動くこともできない。仕事しなくてもいいようにするにはまとまった金が必要だな。手っ取り早いのは博打バクチか。心の声を読む能力を最大限に活用することのできる博打。


 金を手に入れたあとは、人だな。人を手に入れるのは金の力と、あとは知恵を活用しよう。人を動かすのはソイツが何を求めているかわかるのが先決だ。


 俺は…何を考えているんだろう。俺は、何をしたいんだろう。寝る前にひとつ、弟にメールを送った。


『お前の子供、なんて名前だっけ?』

俺に目覚めた力について思いを馳せている途中に


ふと思い出した弟の子供のこと。


性別は男の子だっけ?


名前はなんだったっけ?


『男の子でよかった』そんなことを言っていた気がするが、それを誰が言ったのかは思い出せない。

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― 新着の感想 ―
だんだん赤ちゃんのシン君の事が出てきましたね。 シユウジはちょっと危ない橋を渡りそうで怖いです。 いつものくろくまくんの作品とは一味違いますね。 ʕºᴥºʔ
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