「恐襲」
―――注意事項―――
・この小説は東方二次創作品です。キャラクターのイメージなどがずれてる場合がございますご了承ください。
・残酷描写タグは無いですが、東方キャラが消えるお話なのできつい人は見ない方がいいです。
・初投稿なので読みづらい部分や、おかしなところがあるかもしれません。許して。
・この小説内での設定は独自のものです。
違和感は、空気の密度だった。
「……重いな」
箒で高度を上げる。
飛べる。問題はない。
それでも、風が私を押し返してくる。
幻想郷は、抵抗している。
森の上空で、魔力の流れが乱れた。
「来るな……」
次の瞬間、
地面が爆ぜた。
弾幕じゃない。
演出も、宣言もない。
ただ、殺すための一撃。
反射的に回避する。
肩を掠める衝撃。
「……っ、痛ぇ!」
血が出る。
結界も張られていない。
これは遊びじゃない。
生存競争だ。
姿を現したのは、
名も呼ばれなくなった妖怪たち。
輪郭が揺らいでいる。
存在が、不安定だ。
「……まだ、見えるだろ……!」
一体が叫ぶ。
声が掠れている。
「魔法使いだ……!
人間だ……!」
その言葉に、
必死さが混じっていた。
歯を噛みしめる。
「……悪いな」
八卦炉を構えかけて、
やめた。
消し飛ばしたら、
それは“忘れられる”のと同じだ。
「逃げろ。
ここにいない方が――」
最後まで言えなかった。
妖怪たちは、
聞く余裕がない。
一斉に、襲いかかってくる。
弾幕でも、決闘でもない。
爪。
牙。
呪詛。
魔理沙は防御結界を展開する。
「……くっ!」
結界が、削れる。
攻撃が荒い。
無駄が多い。
でも――
全部、殺す気だ。
「見てろ……!」
妖怪の一体が、魔理沙に縋るように迫る。
「見えてるんだろ.....?」
その目は、
憎しみよりも、
恐怖そのものだった。
こいつらは、
勝ちたいんじゃない。
存在を証明したいだけだ。
「……くそっ!」
魔理沙は、あえて被弾する。
肩。
脚。
痛みが走る。
妖怪たちの動きが、一瞬止まった。
――恐れた。
それだけで、
妖怪の輪郭が、
ほんの一瞬、濃くなる。
「……それでいいんだろ」
魔理沙は、荒く息をつく。
「私を……
生贄にする気かよ」
返事はない。
代わりに、
さらに激しい攻撃。
戦闘は、長引いた。
森が、壊れる。
木が倒れ、地面が抉れる。
それでも、
妖怪たちは止まらない。
止まったら、
消えるからだ。
一体、また一体。
攻撃の途中で、
ふっと、消える。
倒されたわけじゃない。
力尽きたわけでもない。
恐れが、足りなくなった。
それだけ。
膝から力が抜ける。
「……はぁ、はぁ……」
勝った感覚は、ない。
ただ、
残されただけだ。
霧の向こうで、
最後の妖怪が、こちらを見た。
何か言おうとして、
言葉にならず。
次の瞬間、
そこには何もなかった。
森は、静かになった。
拳を地面に叩きつける。
「……ふざけんなよ」
怒鳴っても、
誰も恐れない。
誰も、聞いていない。
ただ、空を見上げた。
霧は、相変わらず漂っている。
「……霊夢」
初めて、
一人でいるのが怖くなった。
魔理沙は、箒にまたがる。
まだ、回らなきゃならない。
「まずは、紅魔館からだ」




