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マザP(Mother people)徐庶3~合言葉はマザコン(Mother complex)~

作者: 山本大介
掲載日:2025/12/26

 むむむ。


 現代へと転移した徐庶の一日のはじまりは、愛する母へのお祈りだった。

 劉備軍の軍師として頭角を現した矢先のことである。

 曹操の画策した、彼の母LOVE弱点をついた偽書の計にまんまとハマリ、職を辞して魏に住む母の元へと帰ったが、母に一喝された挙句、怒り心頭で母ちゃん情けなくて涙がでるわと徐庶母は、猪突猛進で家の柱に額をぶつけ絶命したのだった。


「不肖の息子をお許しください・・・さてと」

 ひとしきりお祈りが終わった徐庶は立ち上がる。

「楓殿(母に檄似)の味噌汁を所望しに参るか」

 アパートの扉を開ける。

 子どもの泣き声が聞こえた。

「うぇーん、ママ、ぼくようちえんにいきたくないよぉ」

「幼稚園にはケンちゃんのお友達がいっぱいるでしょ」

「ママがいい、ママがいいんだい」

「困った子」

 ケンちゃんは、アパートの渡り廊下に座り込んでしまった。

「もし」

 徐庶が婦人に話しかける。

「あ、三つ隣のコスプレイヤーさん」

 婦人は自然と苦笑いがこぼれる。

「こすぷれいやあ・・・ケン殿は泣いておられる。どうでしょう、今日のところは学び舎を休ませるというのは」

「それは・・・癖になっちゃうといけないし」

 彼女は頬に右手をあてて困った仕草をみせた。

 すわっ!助け舟これ幸いと愛息ケンジが、上目遣いのアピール泣き顔を見せる。


「ママ殿」

「ママ殿?」

「息子が母に愛情を寄せるのはごく自然のこと、摂理なのです。世の男性の全てがそうなのです。母の胎内より出でし時からそれは未来永劫のさだめ。それを遠ざけるのは人・・・いや、母にあらずです」

「あなたマザコンさんですか」

「まざこん?」


「Mother complexのことだよ。おじさん」

 ケンジが急に大人びた口調となる。

「まざこん・・・ママン好き好きの男子という訳ですな」

 徐庶は思案する。

「そんな事も知らなかったのかい、おじさん」

 さっきまで泣いていたケンが急にマセガキぶりを発揮する。


「少年、聞いた風な口を叩くではない」

「だって、おじさんはママの事が好きなんだろ」

「まあ」

 婦人は驚く、

「否、私は私のママンが好きなのだよ。少年」

「いいとしして、ぼくとおんなじなんだね」

「年なぞ関係ないのだ。いくつになっても、母への愛は変わらない」

「じゃあ、ぼくとおじさんの合言葉」

「マザコンっ!」

 二人に奇妙な友情が芽生えた瞬間だった。


「ママ〜」

 と、婦人に抱きつくケンジ。

 徐庶はふっと笑うと、愛するママンに激似の隣部屋、楓の元へ颯爽と向った。




 徐庶と子どもの熱い友情が芽生える。

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