マザP(Mother people)徐庶3~合言葉はマザコン(Mother complex)~
むむむ。
現代へと転移した徐庶の一日のはじまりは、愛する母へのお祈りだった。
劉備軍の軍師として頭角を現した矢先のことである。
曹操の画策した、彼の母LOVE弱点をついた偽書の計にまんまとハマリ、職を辞して魏に住む母の元へと帰ったが、母に一喝された挙句、怒り心頭で母ちゃん情けなくて涙がでるわと徐庶母は、猪突猛進で家の柱に額をぶつけ絶命したのだった。
「不肖の息子をお許しください・・・さてと」
ひとしきりお祈りが終わった徐庶は立ち上がる。
「楓殿(母に檄似)の味噌汁を所望しに参るか」
アパートの扉を開ける。
子どもの泣き声が聞こえた。
「うぇーん、ママ、ぼくようちえんにいきたくないよぉ」
「幼稚園にはケンちゃんのお友達がいっぱいるでしょ」
「ママがいい、ママがいいんだい」
「困った子」
ケンちゃんは、アパートの渡り廊下に座り込んでしまった。
「もし」
徐庶が婦人に話しかける。
「あ、三つ隣のコスプレイヤーさん」
婦人は自然と苦笑いがこぼれる。
「こすぷれいやあ・・・ケン殿は泣いておられる。どうでしょう、今日のところは学び舎を休ませるというのは」
「それは・・・癖になっちゃうといけないし」
彼女は頬に右手をあてて困った仕草をみせた。
すわっ!助け舟これ幸いと愛息ケンジが、上目遣いのアピール泣き顔を見せる。
「ママ殿」
「ママ殿?」
「息子が母に愛情を寄せるのはごく自然のこと、摂理なのです。世の男性の全てがそうなのです。母の胎内より出でし時からそれは未来永劫のさだめ。それを遠ざけるのは人・・・いや、母にあらずです」
「あなたマザコンさんですか」
「まざこん?」
「Mother complexのことだよ。おじさん」
ケンジが急に大人びた口調となる。
「まざこん・・・ママン好き好きの男子という訳ですな」
徐庶は思案する。
「そんな事も知らなかったのかい、おじさん」
さっきまで泣いていたケンが急にマセガキぶりを発揮する。
「少年、聞いた風な口を叩くではない」
「だって、おじさんはママの事が好きなんだろ」
「まあ」
婦人は驚く、
「否、私は私のママンが好きなのだよ。少年」
「いいとしして、ぼくとおんなじなんだね」
「年なぞ関係ないのだ。いくつになっても、母への愛は変わらない」
「じゃあ、ぼくとおじさんの合言葉」
「マザコンっ!」
二人に奇妙な友情が芽生えた瞬間だった。
「ママ〜」
と、婦人に抱きつくケンジ。
徐庶はふっと笑うと、愛するママンに激似の隣部屋、楓の元へ颯爽と向った。
徐庶と子どもの熱い友情が芽生える。




