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何もしたくない魔王と勇者のスローライフ やる気のない世界の中心で  作者: 南蛇井


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scene3 母性全開モード、発動

ミナの表情が、完全に“勇者の仲間”ではなく、

“行方不明の息子を捜す母親”へ切り替わった瞬間だった。


ミナ

「リオは……絶対どこかで弱ってる!

 着替えは? 食料は? 水は?

 消毒薬は!? 包帯は!?

 それから枕元に置くヒーリングアロマはどこ!?」


棚を開ける速度がもはや魔法。

次々と荷物が床へ積み上がっていく。


サポート僧兵

「せ、聖女様!? そ、それ全部お持ちになるのですか……?」


ミナ

「当然でしょう!

 リオ一人でも“山ひとつ”より大事よ!!」


僧兵

「い、いや……これは山三つ分くらい……」


ミナは聞かない。

聞く余裕など一ミリもない。


服の替えが五着、

乾燥保存食が一週間分、

水袋、包帯、消毒液、治癒魔法強化符、

“リオが好きそうな味”のハーブティー、

ついでに抱きしめる用のブランケットまで。


ミナ

「……あっ! 忘れるところだったわ。

 リオが疲れた時に頭を撫でる手袋!!」


僧兵

「えっ、手袋いるんですか!? 直接じゃダメなんですか!?」


ミナ

「傷があったら痛いでしょう!

 優しさは準備からなの!!」


気づけば――

荷物は彼女の背丈を優に超えていた。


僧兵(遠い目)

「……この荷物、もはや戦場の救護所ですね……」


ミナ

「リオのいる場所が、救護所になるのよ!!」


ぐわっと荷物を抱え、

そのまま軽々と――

いや、“母性の力”で持ち上げてしまうミナ。


ミナ

「よし、出発するわ!!」


僧兵

「え、今すぐ!? 休息は!? 作戦会議は!?」


ミナ

「リオが待ってるのよ!!」


大荷物の山を背負い、

嵐のように門を出ていく聖女ミナ。


その背中からは、

“母は強し”という言葉そのままのオーラが立ちのぼっていた。


(※なお当のリオは今、縁側でアザルとお茶を飲んでいる)

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