scene5 結論:何も分からないまま祝宴ムードへ
長々と続いた議論の末――
魔族評議会は、まさに“何も分からないまま”堂々たる結論を下した。
老魔族A
「よし……!
魔王様はきっと勝利しておられる!
帰還されないのは、その偉業の途中ゆえだ!!」
老魔族B
「おおお……さすが魔王様……!
今ごろ人間界を跪かせておられるのだろう!」
老魔族C(小声)
「……いや、帰ってこない理由は他にも色々考えられると思うんじゃが……」
しかし、その控えめな疑問は、祝宴準備の音と熱気によって瞬時にかき消された。
◆
老魔族A
「久方ぶりに“魔王勝利祝い”をするぞ!
酒樽を全部持ってこい!」
老魔族B
「宴の準備じゃ! 飲め! 食え!
世界は魔界のものだ!!」
若い魔族たちが走り回り、巨大な火鉢が灯され、テーブルには果てしない肉料理が積まれていく。
老魔族C(ますます小声)
「……本当に……そうなのか……?
そもそも“勝利祝い”って、まだ何も確定しておらん……」
老魔族D
「小声で不安を言うのは祝いの場の作法に反するぞ!」
老魔族C
「……わしが間違っておるのか……?」
◆
結局、合理的な疑問はすべて“大勢の空気”に押し流され、
魔族たちは“仮定の勝利”を盛大に祝う流れへと突入した。
こうして魔界にもまた、王国と同じく――
噂だけで盛り上がる祝宴と、実態ゼロの混乱が広がっていくのだった。




