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何もしたくない魔王と勇者のスローライフ やる気のない世界の中心で  作者: 南蛇井


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scene6 結果:国家スケールの情報戦争(中身は全部噂)

王都の広場は、もはや市場ではなく“戦場”だった。

武器は言葉。弾丸は噂。

そして被害者は、真実そのものだ。


「勇者が勝ったんだ! 公式発表を読めよ!」

「いやいや、魔王が勝ったって旅人が言ってたぞ!」

「二人ともやられたって説もあるんだよな……」


議論は三つ巴。

広場には、いつの間にかこんな立て札まで出ていた。


【賭け受付中】

勇者勝利:倍率 1.8

魔王勝利:倍率 2.1

共倒れ:倍率 3.0


露店の店主が大声で叫ぶ。


店主

「はいはい! 今日は勇者が人気だよー!

 魔王に賭けるなら今がチャンスだ!」


市民たちが金貨を握りしめて群がる。

そこには緊迫感も恐怖もない。

ただただ、娯楽としての“情報戦争”が繰り広げられていた。



一方その頃、王城執務室。

レオンハルトは書類の山に埋もれながら、ぼそりと呟いた。


レオンハルト

「……誰か一人くらい、本人たちに会いに行けばいいのにな……」


すかさず側近が机を叩く。


側近

「殿下が言わなければ誰も行きません!!

 “王国として正式に確認する”という指示を――!」


しかしレオンハルトは首を振る。


レオンハルト

「いやだよ。これ以上仕事増やしたくない。」


側近

「はああああああ!?」


レオンハルト

「それに、勇者も魔王も帰ってこないんだろ?

 だったら、たぶん元気にしてるよ。」


※史上最高レベルの雑な判断が下される。



こうして、

王国の誤解と混乱は、

宰相グラントの暴走と、王太子レオンハルトの仕事拒否によって、

ついに“最大値”へ到達するのだった。


――誰も真実を確かめようとしない、前代未聞の情報戦争。

その中心で、勇者と魔王は今日ものんびり村で畑を耕しているのである。

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