scene6 結果:国家スケールの情報戦争(中身は全部噂)
王都の広場は、もはや市場ではなく“戦場”だった。
武器は言葉。弾丸は噂。
そして被害者は、真実そのものだ。
「勇者が勝ったんだ! 公式発表を読めよ!」
「いやいや、魔王が勝ったって旅人が言ってたぞ!」
「二人ともやられたって説もあるんだよな……」
議論は三つ巴。
広場には、いつの間にかこんな立て札まで出ていた。
【賭け受付中】
勇者勝利:倍率 1.8
魔王勝利:倍率 2.1
共倒れ:倍率 3.0
露店の店主が大声で叫ぶ。
店主
「はいはい! 今日は勇者が人気だよー!
魔王に賭けるなら今がチャンスだ!」
市民たちが金貨を握りしめて群がる。
そこには緊迫感も恐怖もない。
ただただ、娯楽としての“情報戦争”が繰り広げられていた。
◆
一方その頃、王城執務室。
レオンハルトは書類の山に埋もれながら、ぼそりと呟いた。
レオンハルト
「……誰か一人くらい、本人たちに会いに行けばいいのにな……」
すかさず側近が机を叩く。
側近
「殿下が言わなければ誰も行きません!!
“王国として正式に確認する”という指示を――!」
しかしレオンハルトは首を振る。
レオンハルト
「いやだよ。これ以上仕事増やしたくない。」
側近
「はああああああ!?」
レオンハルト
「それに、勇者も魔王も帰ってこないんだろ?
だったら、たぶん元気にしてるよ。」
※史上最高レベルの雑な判断が下される。
◆
こうして、
王国の誤解と混乱は、
宰相グラントの暴走と、王太子レオンハルトの仕事拒否によって、
ついに“最大値”へ到達するのだった。
――誰も真実を確かめようとしない、前代未聞の情報戦争。
その中心で、勇者と魔王は今日ものんびり村で畑を耕しているのである。




