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何もしたくない魔王と勇者のスローライフ やる気のない世界の中心で  作者: 南蛇井


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scene4 王都広場での市民大論争

昼過ぎ、王都の中央広場。

つい先ほどまで祝いの太鼓が鳴り響いていた場所は、

今や混乱と怒号の渦に変貌していた。


市民A

「勇者が勝ったに決まってるだろ! 公式発表を見てないのか!?

  “魔王討伐成功” ってはっきり書いてあったぞ!」


市民B

「公式が正しいわけないだろ!

 旅人も商人も“魔王が勝った”って言ってたんだ!

 現場の声の方が信用できる!」


市民C

「だったら……なんで王都はこんなに平和なんだよ!?

 魔王が勝ってるなら、ここに攻めてきてもおかしくないだろ!」


市民D

「……そ、それは……魔王が静かに支配を進めてるから……だと思う……

 気づかないうちに、もう……心を操られてるとか……」


市民A

「操られてたらこんな言い争い起きねえだろ!」


市民B

「いや、操られてるから言い争ってるのかもしれない……!」


市民A&C

「どういう理論だよ!!」



議論はさらにエスカレートし、別グループが加わる。


市民E

「いや待て、どっちも負けたって説もあるぞ!

 共倒れで両方消息不明らしい!」


市民F

「共倒れ!?

 じゃあ今この平和は……どこの誰のおかげなんだよ!?」


市民E

「知らん! だが共倒れなら……平和は続くんじゃないか!?」


市民G

「それはそれで怖いだろ!“次の魔王”とか出てくるかもしれないし!」


――もはや議論はカオスそのもの。



ただし、どれだけ声を荒らげても、

誰ひとりとして “本人たちを確かめに行こう” とは言い出さなかった。


理由は揃いも揃って同じ。


「危険だから」

「遠いから」

「勇者か魔王が本気なら“向こうから来るはず”だから」

「だから来ないということは安全」


という、妙に納得感のあるようで全く説得力のない謎理論。


広場全体が言い合いと不安でざわつくなか、

誰もが結論を出せず、

ただ“来ないなら平和”という曖昧な安心にしがみついていた。


――こうして王都は、

二つの噂に振り回されながらも、

結局は何も行動しないという

「混乱してるけど平和」な奇妙な午後を迎えるのであった。

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