表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何もしたくない魔王と勇者のスローライフ やる気のない世界の中心で  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/155

第十六話 宰相グラントがさらに混乱を加速 scene1 宰相の独断発動

王都の政務棟。

窓から差し込む光は柔らかいが、空気はやけにざわついていた。


王太子レオンハルトが「放置でいい」と言い残して執務室を出た――その瞬間からである。


廊下の奥で、宰相グラントは目を細め、ゆっくりと頷いた。


(なるほど……“放置でいい”ということは……

 つまり“好きにしていい”ということだな)


彼はもともと、民を安心させるためなら多少の事実の歪曲は必要だと本気で信じている男だった。


グラント

「国民は真実よりも“聞きたい話”を聞きたい。

 なら、我々が用意してやらねば」


側近の文官が、おずおずと書類を抱えて近づく。


文官

「宰相閣下、勇者勝利説はあくまで噂でありまして……

 確認が必要かと――」


だがグラントは、手をひらりと振った。


グラント

「確認してどうする。

 もし魔王が勝っていたら困るだろう?」


文官

「……え、困りますが……それは“現実”として……」


グラントは胸を張り、堂々と断言した。


グラント

「事実より安定だ!」


文官

「安定ぃ!?」


聞いたこともない理論に文官は目を丸くするが、宰相はもう止まらない。


・“勇者リオ、魔王アザルを討伐”という文言

・祝賀ムードを煽る見出し

・王家の印を大きくあしらった公式文書


次々と指示が飛び、文官たちは半泣きになりながら筆を走らせた。


グラント

「魔王が死んだと言えば皆喜ぶ。

 ならそれが国の答えだ!」


その声がホールに響く頃には――


王都中に貼り出す公式広報が、すでに完成していた。


「勇者リオ、魔王を討ち滅ぼす!

 世界は再び安泰!」


事実確認?

そんなもの、宰相の辞書には存在しない。


こうして王国は、

勇者が村で草を刈り、魔王が子ども相手に薬草講座をしているとは露ほども知らないまま、

“勝利宣言”を大々的に発表してしまったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ