scene6 政治的にも「まあ危険じゃないならいいか」で終了
王城・執務室の夕刻。
窓から差し込む薄橙の光の中、レオンハルトはまた一枚、噂報告書を放り投げた。
レオンハルト
「……で、今度は何だ?
“魔王の復活祝いに勇者が出席した”とかいう噂か?」
側近
「ち、違います! “両者が手を組んだ”との噂が……」
レオンハルト
「はいはい、もう好きにしてくれ……」
側近が頭を抱えたそのとき、
レオンハルトはふとペンを置き、腕を組んだ。
レオンハルト
「……まあさ」
側近
「は、はい?」
レオンハルト
「勇者が世界を救う気があるなら、とっくに報告くらい寄越すだろう?
魔王が世界征服を企むなら、とっくに攻めてくるはずだ。」
側近
「……まあ、確かに……?」
レオンハルトは肩をすくめ、どこか間延びした声で言う。
レオンハルト
「つまり――どっちにもその気がないってことだ。
じゃあ放っときゃいいだろ。平和ならそれでよし。」
側近
「殿下、それを“国家判断”と言い切るのは……!」
レオンハルト
「そんな大それたものじゃないさ。
危険じゃない。誰も困ってない。
だったら、今わざわざ騒ぐ必要もない。」
きっぱりと言い切り、
レオンハルトは未処理の書類の山を親指で指した。
レオンハルト
「それより、この山が危険だ。
俺の精神に対してな。」
側近
「……殿下がそうおっしゃるなら、私はもう何も……」
レオンハルト
「よし、それで決まりだ。
“勇者と魔王は、どこかで元気にやっている”――これが王国の公式見解!」
側近は頭を抱えつつも、
(……まあ、本当に元気にやってるのかもしれないし……)
と、結局は流されてしまう。
こうして王国の政治判断は、
拍子抜けするほどの“まあ危険じゃないならいいか”で幕を下ろした。
――じつはこの判断、限りなく正しかった。




