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何もしたくない魔王と勇者のスローライフ やる気のない世界の中心で  作者: 南蛇井


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scene4 宰相グラントによる“情報の暴走”

同日午後。


執務室の空気がようやく落ち着きかけた頃、

重厚な扉が勢いよく開いた。


入ってきたのは、王国随一の切れ者――宰相グラント。

だが今日の彼の瞳は、妙にギラついている。


グラント宰相

「殿下。勇者と魔王に関する“噂”とやら……

 すでに各部署で話題になっておりますな?」


レオンハルト

「……ああ。正直どっちが本当かも分からん」


グラントはその言葉を聞いた瞬間、

「面倒だ」という王太子の心情を100%理解してしまった。


そして――

理解したうえで、勝手に“最適解”を弾き出す。


グラント宰相

「民が喜ぶのはどちらか。

 勇者が勝ったほうでしょう。なら――決まりです」


レオンハルト

「おい、待て。何を決め――」


宰相は王太子の言葉を最後まで聞かず、

もう執務室の外へ向かって叫んでいた。


グラント宰相

「公式発表を行う!

 勇者リオ、魔王アザルを討伐――世界は安泰!!」


廊下に響き渡る力強い宣言。


レオンハルト

「……事実確認してないんだけど」


側近

「殿下、止めないのですか……?」


レオンハルトは疲れた目で書類の山を見つめると、

深くため息をついた。


レオンハルト

「公式発表が出ちゃったなら……まあいいか。

 どうせ、今さら調べに行く時間もないし」


――王太子の消極的同意により、

“事実無根の英雄譚”が王国の正式見解として固定された。


その日の夕方には、王都じゅうで

「勇者様が勝ったらしい!」

「魔王が消えたって本当か!?」

とお祭り騒ぎ。


レオンハルトは窓の外の喧騒を聞きながら、ぼそりとつぶやく。


レオンハルト

「……リオ、どこで何してんだろうな」


――だがその頃、肝心の勇者は、

隣村の子どもに「スコップ貸して」と頼まれているなど、

王国は当然知らないのだった。

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