scene3 王太子の“冷静(という名の無責任)判断”
レオンハルトは椅子に深々と背を預けた。
天井を見つめ、ゆっくりと思考を整理しようとする。
(勇者も魔王も、誰も城へ来ない。
国境も静かで、討伐依頼も増えてない。
つまり――今のところ困った事態は起きていない。)
そう結論づけた瞬間、彼の中の“王族らしさ”よりも
“本来の性格”が先に顔を出した。
レオンハルト
「……よし。危険がないなら放置でいい。」
側近&兵士
「「……は?」」
二人は顔を見合わせ、あまりの判断の軽さに息を呑む。
レオンハルトは、まるで天気の話でもするかのような声で続けた。
レオンハルト
「戦争が起きてないなら、それが答えだ。
どっちが勝ったかなんて、後でわかるだろう?」
側近は引きつった顔で、小さくつぶやく。
側近
「殿下……それを“国家の決定”としてしまうのは……
大変問題があるように思われますが……」
レオンハルト
「書類の山が減るなら何でもいい!!」
机を叩いた。
だが、決意の音というより“業務拒否の悲鳴”に近い。
側近と兵士は顔をこわばらせたまま硬直する。
レオンハルトは満足げにうなずき、言い放った。
レオンハルト
「よし、これで決まりだ。勇者と魔王の件は、放置。」
――王太子の怠惰な判断は、その日のうちに王国中へ伝わり、
“よくわからないが、たぶん平和らしい”という
フワッとした空気だけを広げていくのだった。
この瞬間、王国は確かに平和だった。
だが――誤解はさらに大きく、面倒くさく育っていく。




