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何もしたくない魔王と勇者のスローライフ やる気のない世界の中心で  作者: 南蛇井


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夕暮れの畑道は、金色の光を残しながら静かに夜へと向かっていた。

リオとアザルは肩が触れそうなほどの距離を保ちつつ、村へ戻る道を並んで歩いていく。


畑の黒土は温もりを含み、遠くでは村の子どもたちが家へ呼ばれる声が聞こえる。

そのすべてが、二人の歩幅に合わせるように穏やかだった。


ふと、リオが足を緩め、横目でアザルを見る。


「……ここでの暮らし、好きだな」


その言葉は、ためらいなく零れたものだった。

戦いも使命も伴わない、ただの“本音”。


アザルは少し驚いたように瞬きをし、けれどすぐに柔らかな笑みを浮かべる。


「……私もです。

 ずっと、このままでも……いいと思うくらいに」


夕暮れの風が、二人の間でそっと揺れた。


村の灯りがぽつぽつと灯り始める。

その光は、まるで二人を包みこむように温かく瞬き、帰るべき場所を優しく示しているようだった。


この世界で初めて知る――

戦いではなく、平和が“日常”になる感覚。


第二幕は、そんな静かな幸福の中で幕を閉じる。


そして。


寄り添う影がひとつ、またひとつと重なりそうになるように、

リオとアザルの心の距離は確かに縮まり始めていた。


その先に待つのは、まだ気づいていない“選択”と“転機”。


新たな物語の扉が、静かに開き始めていた。

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