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scene7 同時に気づく「同じ答え」
夜の村は、虫の声すら遠慮しているように静かだった。
リオは布団に潜り込み、薄暗い天井をぼんやりと見つめる。
隣の部屋にはアザルがいる。壁一枚越しの距離なのに、妙に遠く感じたり、逆にすぐ手が届きそうにも思えたりして、落ち着かない。
――ふう。
考えがまとまらないまま、吐いた小さなため息。
その瞬間。
「……え?」
すぐ隣から、ほとんど同じタイミングで同じ音が返ってきた。
リオは目を瞬かせる。
アザルも、きっと同じように驚いている。
(まさか……あいつも)
胸の奥に、ぽつりと温かいものが灯る。
自分だけの甘えではないのかもしれない、という予感。
布団の向こうで、アザルはアザルで静かに目を閉じていた。
隣室から響いたため息に、思わず唇が揺れる。
(リオも……帰りたくないって、思ってる?
ここに……いたいって)
初めて抱いた願いが、孤独じゃないかもしれない。
声をかける勇気は、まだ二人のどちらにもない。
けれど。
同じ壁に寄りかかるように眠ろうとしながら、
二人は確かに感じていた。
――選びたい未来は、同じ方向に伸び始めている。
その確信に近い感情が、静かな夜の中でそっと芽を出した。




