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scene6アザル、布団の中でこっそり喜ぶ
マギルが静かに扉を閉めると、
寝室にはふかふかの布団の音だけが残った。
……もぞ……。
アザルは布団の中で小さく身体を縮め、
誰にも見られないのをいいことに、指先だけで
ちいさなガッツポーズを作る。
アザル(心の声)
(……今日も世界征服しなくていい……
ああ、なんて幸せ……)
魔王とは到底思えない、
平和で、ゆるくて、ほとんど休日の感想。
枕元に置いてある“世界征服したことにしておく書類”を
ひょい、と布団の中から出した手で撫で、
位置をきちんと整えると——
アザル「……今日こそ昼まで寝る」
その声はふわふわの布団に吸い込まれ、
外には一切漏れないほど小さい。
だが、魔王の宣言としては前向きで、
世界にとっては何よりも平和的だった。
魔王城は今日も、
**世界を征服する気ゼロの“平和な朝”**に
ゆるやかに満たされていく。




