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scene5マギルの追加業務報告
マギルは、書類の束をさらに一枚めくりながら、
まったく抑揚のない声で報告を続けた。
「それと、本日予定されていた“侵略軍の進軍式”ですが……
天候不良ということにして、中止にしました」
その瞬間だけ、布団から覗くアザルの瞳が
かすかに きらり と光った。
「……えらい」
(助かる……)
その声は、寝起きとは思えぬほど真剣で、
しかし布団に沈んだままなので迫力はゼロだ。
アザル心の声:
(外出しなくて済んだ……天候不良ばんざい……
むしろ一年中、天候不良でもいい……)
マギルは表情一つ変えず、淡々と頷く。
マギル脳内:
(どうせ晴れていても、外には絶対出たがらないことは
数百回の統計で証明済みです)
マギルはひと呼吸置いてから、
次の書類を布団の山の上へ静かに重ねた。
魔王城の朝は、今日もやさしく、そしてゆるいままだった。




