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scene8 奇跡的な相性
二人の会話が一段落した頃、
ふと、どちらからともなく視線が森の奥へと向く。
霧がゆっくり流れ、木々の間で光が揺らめく。
ポヨン、とウサギ型魔物の鳴き声が響いた。
アザルとリオは、まるで打ち合わせたかのように――
同じタイミングで、同じ深さのため息をついた。
「…………」
言葉はない。
けれどその沈黙は、居心地の悪さとは程遠いものだった。
アザル(心の声)
(……この人、なんでだろう。話しやすい)
リオ(心の声)
(逃げたい気持ち……同じなんだ……)
わずか数分前まで“戦うべき敵”と教えられていた相手が、
いまは不思議なほど自然に、
“疲れた心を分かち合える相手”へと変わっていた。
この奇跡的な相性――
後に二人が世界の茶番をひっくり返す原動力になるとは、
まだ誰も知らない。




