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scene4 伏線 ― 茶番の終わりの始まり
アザルが沈む陽を見送り、
リオが湯気越しに空の色を追っていたその頃――
二人はまだ知らなかった。
すでに世界は、ゆっくりと“次の頁”をめくり始めていることを。
数日後、まったくの偶然を装って訪れる邂逅。
それは誰も望まぬ本物の戦争ではなく、
むしろ、長い年月続いた“平和の茶番”をそっとほどいていく、静かで優しい革命の合図だった。
魔王アザルと勇者リオ――
本来なら相反し、刃を交えるはずの二人。
だが肩に下がる看板の重さ、
平和のために演じ続ける虚しさ、
誰にも言えない疲れ。
それらは不思議とよく似ていた。
そして、似た疲れを抱えた者同士が出会ったとき、
物語は“役目”ではなく“願い”に導かれて進み始める。
この世界のゆるい平和は、
二人の邂逅によって、
より柔らかく、温かい形へと変わっていく――
これは、その始まりの物語。




