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scene4 誰も傷つかない旅路
リオは仲間たちの様子を眺めながら、そっとため息をついた。
だがその表情は、どこか柔らかい。
(勇者パーティー……こんなんでいいのか……
いや、いいのかもな……平和だし)
ミナがぱっと手を挙げる。
「ねぇ、明日出発でいい?
早くしないと限定スイーツ売り切れちゃうし!」
ガルドは即答した。
「全力で急ごう。……旅の理由ができた」
シルフィは小さく会釈し、立ち上がる。
「弟子に……追加のメモ……置いてきます……
(帰れる時間を……書いておかないと……)」
リオは額を押さえつつも苦笑した。
(もう完全に観光だな……)
こうして勇者一行の“旅”は幕を開ける。
名目は魔王討伐——
だが、実態は観光とグルメ巡りという、
限りなく平和で、誰も傷つかない旅路だった。




